大学では「掃除はなぜするかという養護の基本が教えられていません。」
飯田 和也
多くの学生が保育園や幼稚園で実習します。その時に「掃除はなぜするのですか」と云う質問をするとほとんどの学生が「きれいになるから」「気持ち良くなるから」「次に使う人が使いやすいから」といった言葉が返ってきます。
ここで重要な事が保育は養護と教育から成り立っていること、特に、保育園・子ども園の未満児や幼稚園における障害児に対して配慮すべき大人の活動として
養護「命を守ること・情緒の安定を図ること・生理的欲求を満たすこと・保健衛生的な環境で病気にさせない」といった働きのことです。
この養護の中にある命を守り、病気にさせないための大人の働きとして掃除をすることで危険な物が落ちていたら踏んづけて大けがしないようにきれいに片付ける、汚れた水がたまっていれば、ばい菌が湧かない様にきれいにする、ごみが落ちて汚れていたら虫がわいて病気になるのできれいにする、部屋や廊下に埃やごみがあれば保健衛生的に施設や設備をきれいにして病気にならない様に大人がすることです。
「養護に包まれて教育がある」
この言葉の意味は保育室では、温かい愛のある雰囲気として先生の「ありがとう」の言葉とやさしい笑顔に満ち溢れていることです。この保育者の優しい態度により乳幼児は保育室で失敗してもいい・自分で○○する=主体性といった安心感が与えられます。
自分は命を守られ、甘えを受け入れられていることで情緒が安定し自分で危険な事をしない、友達とルールを守り、様々な出来事や物の性質を理解します。また、安心する雰囲気の中で先生や友達と言葉でやり取りをして自分なりに表現する力を身につける教育が与えられます。
この養護の基本の一つが掃除をする事になります。園長先生は掃除が好きだからやらせておけばいいではありません。養護の理論に基づいた園長先生は先生や子どもたちのモデルとして掃除をする姿があります。
園長・主任はお母さんやお父さんにも乳幼児の命を守り、病気にさせないために掃除する姿を示すことです。この保育で使う専門的な言葉「養護」を親に説明し保育の質を高める努力をしたいものです。
お母さんとお父さんに掃除を何故するかと言う理由を解からせる事でここまで乳幼児を大切にする幼稚園・保育園・子ども園での養護に包まれて教育をしていることを伝えることです。
朝、園に乳幼児が来た時のそのままの姿で、怪我をさせない・病気にならないで、帰る時に親に返す事が第一ということです。
家庭で掃除をする事の意味を理解して家族で怪我や病気にならない生き方を伝える事が教育になります。