何故「養護を正しく理解できない養成校・大学の先生が多いのか」

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何故「養護を正しく理解できない養成校・大学の先生が多いのか」

何故「養護を正しく理解できない養成校・大学の先生が多いのか」

養護は未満児や障がい児が園生活の中でできないことを保育者がしてあげることです

この言葉を学生に伝えることが最も理解しやすいですよ。

元名古屋柳城短大教授 飯田和也

 

1 養護は保育者が未満児や障がい児の命を守ることで訓練や鍛錬ではありません。

具体的に「散歩のとき交通事故で死亡・プールで溺死・食事中の窒息・遊んでいる時の誤飲などで死亡させないために保育者が命を守ること。」未満児や障がい児に危険なことをしない、危ないところに近づかないといった自分で危険を気づいたり、自分で危ないとみつけたりして命を守り園児が生きる力を身につけるのは教育=五領域の健康です。

未満児や障がい児は身体の機能が未発達、動きが素早くスムーズでない、危険なことを認知する力も少なく判断する能力も偏っていて命を無くし、大きなけがをする場合が見られます。

未満児や障がい児は、自分で命を守ることができない場合に保育者=大人が命を落とすような場面を観察し危険かを判断して命を守り、安全な環境を作るのが養護の働きです。

未満児や障がい児は保育者に見守られていると感じることで安心して、園生活の中で自分から行動できるようになるために養護の働きがあって自分から身を守り身に付ける教育となります。

 

2 養護は未満児や障がい児の情緒の安定を図ることです。

朝の登園の場面で未満児や障がい児が一人にさせられることで不安となって「ママおいていかないで・一人にしないで」と泣き叫ぶことがあります。そのような情緒が不安定な時に、保育者が「ママお仕事行ったけどすぐ戻ってくるからね」と笑顔で優しい言葉と抱き上手な肌のぬくもりを与えることで情緒が安定します。

ここで早く泣き止ますために「いつまでも泣かない」という不安になる言葉をかけるのでなく、保育者の温かい肌のぬくもりと笑顔にあふれて未満児や障がい児も保育者から愛されているという雰囲気を味合わせることです。未満児や障がい児は人とのかかわり方において敏感な時期の場合があります。

「泣かないで我慢しなさい」と厳しい言葉をかけ、無関心な態度をすることでなく、園全体に温かい愛情をあたえられている環境を作るのが養護の情緒の安定を図ることです。未満児や障がい児の甘えを受け止める働きが養護です。

 

3 養護は生理的欲求を満たすことです。

一日を十分活動できる体力は未満児や障がい児には不足している場合があります。一日中疲れなく活動できる体力がないため休憩や昼寝が必要な場合があります。未満児では昼食をとっている最中にうとうととして眠ってしまう子どもも見られます。

眠くて昼寝が安心してできるようにするのも保育者の務めといえます。真っ暗闇でなく温かい色彩と明るさ、適度な室温と静かな雰囲気の中で眠ることができるように未満児や障がい児の生理的欲求を満たす必要な養護の働きです。

また、長い一日の保育時間を体験する場合にはおなかが空いて活動ができない場合におやつや食事が必要になり、未満児にはミルクや食事を保育者が用意して飲めた喜び、食べられた満足感を与えるのも生理的欲求を満たす大人の働きとして養護です。

ミルクやおかずで嫌いなものを全部食べさせようと、口の中に無理やり食べさせるのでなく楽しく食べる温かい雰囲気を与え、食育を通して生きる力を与えるのが養護の生理的欲求を満たす働きです。最後まで頑張って食べさせるような訓練や鍛錬は養護ではありません。

未満児や障がい児は排泄やおしっこをコントロールできない場合が多くあり、我慢させるのではありません。おむつを替えるときは笑顔で優しく言葉をかけたり、肌をさすってあげたりして生理的欲求を満たすことも保育者として養護の働きといえます。

 

4 保健衛生的な環境を整えることも保育者の働きとして必要な養護です。

未満児や障がい児は暑いときに自分から暑いとなかなか言えません、寒いときにも窓閉めて、服着せてといった自分から調節したりすることもできません。夏の暑いときには熱中症にならない配慮、冬の寒いときにはインフルエンザや風邪にならないため室内の温度調節をします。

室温の調節を未満児や障がい児はできません。そこで保育者が衣服の調節をし、室温を状況に応じて対応するのを保育者がすることで養護の働きになります。訓練や鍛錬が困難な未満児や障がい児には子どもが主語になった保育が求められ養護の基本に結び付きます。

 

5 養護は保育者の温かい笑顔と優しい言葉かけがあることで未満児や障がい児は生きいる喜びを味わうことになります。このように園全体が養護に包まれている中で困難に出会っても自分で乗り切る力=教育の源がわいてくるのが保育という営みです。

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