飯田和也の保育の基本 新人保育者を育てるには

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飯田和也の保育の基本 新人保育者を育てるには

保育の基本 1  新学年が始まりました。多くの新人は笑顔と明るさで張り切っていると思います。就職した園でしっくりいかない保育者には、温かい雰囲気を与えていますか。園長・主任が先輩から受けた指導「頑張ればだれでもできる」では新人はついてきませんね。

飯田和也

新人保育者は、こどもがかわいいというだけで、園に勤めたのではありません。様々な条件の中から就職した園での、新しい出会いを求めたはずです。小さいときから幼稚園や保育園の先生にあこがれて、養成校で資格を取って就職ができた。小さいとき外から眺めていた就職と、養成校で学習し資格をとって保育の場に入ってからのギャップ「こどもと楽しく遊んでいればいい」に戸惑っている新人もいます。

現実は保育の知識と技術を身に付ければよかったはずが、現場にかかわると学生時代とは全く異なり、子どもは好き勝手な行動、泣いて全く自分の言うことを聞かない、保育の記録はたくさんある、未満児だとおむつを替えたり、ミルクを飲まないで寝てしまうのを起こしながら飲ますこと、赤ちゃんを抱いてばかりで身体はくたくたとなり、少しの楽しみしか見つからないなど、様々な新人も見られます。

 

このような就職する前と後とではあまりにも違いがあって戸惑い・不安となり,どのように対処していいか困っている場合が見られます。困った時に、共に泣いてくれる仲間・先輩がいるかいないかによって、困難を乗り切る力をもらうことができます。園長や主幹・主任が『頑張ればできる、努力すればだれでも通ってきた保育の道、毎日努力すれば何とかなる』といった安易な励ましの精神論ではない言葉かけが新人には重要です。

例えば、ピアノや電子オルガンなどで、朝の歌・季節の曲・こどもの歌を弾くことが得意でない場合があります。特に、楽譜通りにひかせようとしても経験の浅い先生には努力が何倍もかかります。頑張って頑張っても間違えて挫折をする、このような先生を無くすことが求められます。少しでも子どもが音を楽しく『音楽』に親しめるためには伴奏の左手のパートを簡単にして、メロディを明確にして歌いやすくする譜面を用意したり、今まで園で使用している子どもにあった奏法を譜面で残して伝えることが必要になってきています。ここで新人は、努力して最後までやりとげる力が求められます。

重要なことは、音楽の資質も能力も低い新人や経験の浅い先生です。全く簡単な曲を三歳児に歌わせようとしても、間違え・間違えて全員が歌えない状態になっても失敗したことを感じていない態度、忍耐・努力が見られない先生です。このように子どもの前で間違えても、はずかしい、悔しい、子どもに悪いと思わないタイプがいます。

この先生に対しては、先輩が簡単に弾けるように優しく、わかりやすく、 丁寧に、そして一つでいいからできた時にほめてわかる言葉で教えることが重要になります。このタイプにはピアノ以外に特異な保育技術で、自信を持たせながら育てることが要求されます。園全体でピアノの弾く順番を配慮し、できる曲を選択しながら根気よくほめて育てることです。

問題は、自分ができないことを自覚していない新人です。気づかない人を気づかせる保育の場を、園全体で準備することです。

最も困った先生は、自分が保育している時に自分が悪いのではない、子どもがうろうろする態度が悪いという先生がいます。

経験の浅い先生は、自分が約束をしていないで絵本を読んだり、手遊びをしたりします。子どもにとって絵本や手遊びが「面白い」「たのしい」といったみたい・やりたいという意欲があればいいが、魅力がないと椅子から離れたり、ピアノの方に行って触ったり、絵本コーナーで読もうとしたりします。

保育者の中には、自分が下手な保育技術を気づかない・理解していないで子どもの行動を自由にしている場合があります。先輩は、その間違いを具体的に気づかせるために、示し、説明し、わかる言葉が大切になります。

このような保育場面を先輩が見つけたら、その後、保育のモデルを示して、気づかせることが求められます。

例えば『紙芝居を読むとき・手遊びの時に子どもに約束をします」クラス全員のこどもに対して「約束します、静かに聞いてね。友達に邪魔しないでね」と伝えた後「間は魔物」という保育の技術で『少しの間』を使います。そして子どもが面白いと感じる手遊びや面白いと思える絵本を「こどもの間の取り方に合わせて演じたり、読んだりして引き付ける保育技術をつかいます」大切なことは『間がないのを間抜け」「間がありすぎるのを間延び」と言います。

このように子どもの目・耳・口・鼻・手・足になって保育の教材を選び、保育の知識や技術を使い分けて手遊びや絵本、紙芝居を演じて終わった時に、「静かにきいてくれてありがとう「友だちに邪魔しなくてすばらしい」といったほめ方として約束を守ったことを認める保育をします。

クラスのなかにほめ上手な温かい愛の雰囲気を作り、約束を守ることで人や言葉を大事にする保育を実践していることを親にも伝え、社会で人を大事にする思いやりのできる、生き方を伝えている園ということを宣伝したいものです。

 

新人や経験の浅い保育者がクラスの雰囲気で自分の保育技術や知識が、子どもたちの発達に合っていない場合を見つけたら、具体的で次の保育の時に改善出来るように的確に伝える先輩でいたいものです。

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