飯田 和也
大学で、知識と技術中心の教育であると学生や乳幼児の人や物を大切にする生き方まで丁寧に伝える時間・ゆとりがない実態が見られます。
学生時代の実習で保育現場を観察する時に、先生が『机みんなで片付けて』と指示・命令を聞いて子どもたちが机を自分ひとり、または友達と一緒に持って片付けているのを見ても、「あ、片付けている」『あ、仲良く片付けて子どもたち立派だ』としか捉えられていない場合があります。
片づけの場を良く観察すると一人で片付けるが机の脚が引きずってがたがたと音を立てていても気付かない。また、二人で机を持つが一人は力いっぱいもって相手は引きずられている。そして元の位置にガタンと大きな音がしても気づかない実習となっています。
そのような机に優しくできない、友達の動きに合わせることができない態度を体験実習したまま就職して園長や主任から物や人に優しくするのが園の方針と言うことを伝えられていないと自分ひとりだけの担任になった場合に気付かないで教育をしてしまいます。
此れが『人は環境を通して相互作用で発達する』と言う言葉に結びつきます。物に優しくない悪い環境で生活しているとそのまま考えや態度が育っています。
園長・主任や先輩は新人やベテランでも机をガタガタと押して元に戻している場合、子どもの前で注意をしない。
人を育てるためには、机を優しく持っている子どもを見たら『〇〇チャン、優しくもって置いて素敵だね』優しく机を元に戻している子どもを見たら『△△くん、優しく机をもどす姿かっこいいね』二人で協力して机を運んでいるのをみたら「〇〇ちゃんと××ちゃん、優しくもつと 二人とも優しい心になって先生、うれしいよ」と優しい持ち方と優しい態度の子どもを具体的に共感してほめる事で先生への配慮と子どもたちへの気付きに結びつきます。
このような机や椅子を元に片付ける時に乱暴な態度、相手への思いやりの無さ、自分勝手な姿勢を直す時には、良い態度をしている子どもを見つけることでクラスに温かい愛のある雰囲気ができます。
子どもがいない時優しい態度ができていない先生には『保育室には鏡がある』と言う言葉をつかいます。
大学では、その園が何を大切にして創立されているかと言う理念や目標を説明できません。保育の場になった時に物や人に優しくする事で子どもたちは『思いやりと人を愛する心』『物を大切にする態度』などを一生身につけて育っていきます。
多くの園の理念に『人や物を大事にする心』を育てるために創立されているはずです。日常の保育の中でたった一言であるが「優しく」を宝物にしたいものです。