幼稚園・保育園・小学校の連携の会議に出席しました。司会者が『幼保の教育は発達の方向性、小学校は到達目標を重視した教育です』と言われました。
この幼稚園・保育園と小学校の違いをお母さんも学校の先生も正しく理解して欲しいと願っています。
特に、小学校一年生を受け持つ先生は入学当初から厳しくして一生懸命がんばらせて発達を身につけさせる事が教育と思っている場合が見られます。
しかし、入学まで子どもたちは幼稚園や保育園で「今は上手に絵を描けなくていい、うまく形にならなくていい、全部数えなくていい、次に描くときに今日より形になっていれば良い、卒園する時まででいいよ、今は鉄棒失敗しても良いよ、来週できるようになるのを信じているよ。」などと先生方は今・又今日上手に完璧にさせる事をしていません。
次のチャンス、来週、来月、さらには一年先に上手になりたいという意欲を大切にしています。そのために今日は『すこしだけ出来てよかったね、聞けて良いね、傍にいるだけでよいね』といった教育を心がけています。
しかし、今日ここまで上手にしなければならないという到達目標の考えであると『失敗してはいけません』「絵が上手に描けなければ○○しなさい・こうすれば描けるでしょう」「全部きれいにがんばって食べなさい」限られた時間の中で完成・完璧に身につけさせることが到達目標の教育となります。到達目標を持って努力させ、身についたときは先生も子どもも達成感が与えられ大きな喜びとなります。とても大切な体験になります。
しかし、小学校一年生の先生が新入児童は育った家庭環境が違う事、教育を受けた幼稚園や保育園の方針も異なっている事を理解することが第一といえます。
そして、入学当初は子どもの発達の個人差を見つけること、傍にいることがやっとの子、見ているだけで精一杯の子、言葉に出す事が得意でない子、先生の話を聞いているだけの子、しかし、積極的に先生や友達にかかわり楽しんでいる子も大勢います。
一人ひとりの身体のこなし、手先の器用さ、ことばの理解の仕方や表し方の異なる事、友達との距離感が違う事を入学当時一年生の担任全員が共通に理解して四月だけでも幼稚園や保育園と同じような温かい雰囲気を学校の中に環境として作ってあげてほしいものです。
さらには幼稚園・保育園での環境の違いを把握し言葉に言い表す事が出来ない子と出遭ったら「今、考えているのだね」と言う受け入れる態度があればすぐに自分を出す事ができない子は愛されている・認められていると感じてその担任の温かい愛を感じ、自分を少しずつ言葉や態度で表すことができるようになります。
このように幼稚園・保育園、小学校一年生の担任と全国のお母さん方が教育の違いを正しく理解することで四月は「多くのことを要求しません・ひとつで良い・失敗してもいい」といった温かい愛のある雰囲気の中で生活できるようになり、子どもたちは困難を乗り切る力や人や物を大切にする生き抜く力を身につける教育が行われます。
四月にお母さんが『自分の子は出来ないから仕方ない』そして先生は『この子は出来ない子』と言うレッテルを貼ったり、決め付けたりして劣等感を与えない触れ合いが求められます。
四月は一生懸命がんばりすぎる教育をして、ここまで出来ることと言う厳しい態度だけでなく、温かいほめ上手な笑顔を見せれば日本の教育は変わります。
園長 飯田 和也