「遊びを通して総合的指導」とは、三つの柱と五領域の内容を通し10項目を点検・評価します。
国際子ども研究所 飯田 和也
「遊び」を通して総合的指導の大切さを保育の中で見つけるために次のようにまとめてみました。例えば、何のために縄跳びを保育に取り入れていますか。保育園・子ども園・幼稚園で取り上げていると思われる理由を答えてください。
理由をノートに書いてください。書いた文章に指導内容の保育者の癖がでます。
縄跳びをただ跳ばせればいいと言う考え、それも失敗をさせないで上手に跳ばせればよいと言うだけの狭い教育観、縄跳びを通して発達を幅広く捉えられない知識の偏った独りよがりの自分が一番というような教育観、ここで自分の保育実践を点検・評価し改善に結びつけたいものです。
縄跳びの遊びは、幼保連携型認定こども園教育・保育要領改訂・保育所保育指針改定の方向性において
幼児期に身につけたい資質・能力を
「知識・技能の基礎」「思考・判断・表現力等の基礎」「学びに向かう力・人間性等」の三つに整理しさらに、10項目を「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として遊びを通して総合的な指導の中で行うことです。幅広い発達を身につける幼児教育には重要といえます。
これらを参考にしながら「縄跳び」を通して困難を乗り切る力と主体性や社会の変化に対応できる能力を身につける教育に結び付けたいものです。
三つ目の柱である「学びに向かう力・人間性」非認知的能力など知能テストでは測りづらい自尊心・思いやり・我慢してやり遂げる力やチャレンジする生き方も含めた教育の見直しが図られます。これらの教育の見直しも参考として縄跳びについて考えたいものです。
縄跳びでは発達を五領域『健康・人間関係・環境・言葉・表現』として偏らないための視点として捉え、生き抜く「やり遂げる」力やチャレンジする意欲を卒園までに身につけ小学校に送り出したいものです。
観察と記録 実演として一回目・飯田和也が跳びづらいひもを研修生の目の前で跳びます。そして、問いかけます「担任の・・先生として言葉をかけてください、出来たらほめるような言葉をかけてください。縄跳びの場面を観察してノートに今の縄跳びの場面を出来るだけくわしく書いてください。」
自分の癖「健康を中心に見る人・環境だけを見ようとする人・人間関係を中心に捉える人・上手な跳びかただけを観察する人」など個人差が明確に出ます。
記入例 飯田和也の紐を跳んでいる姿を観察して書いた事例として「ワア、上手」『みんなの前で跳んだね』「たくさん跳べてすごい」この書いた事例では縄跳びを跳ばせれば良いという考えの先生です。また「友達に邪魔しないで上手に跳んだね」と人間関係を見ている捉えかたなど様々です。
子どもである飯田和也の発達を考える言葉をかけた場合「発達を自我能力と主体性,社会の多様な変化に対応する能力」を身につける教育などと捉えると、「●●回跳んだね」と数えることが第一歩になります。
子どもは数えてもらいたい心です。『ワア、じょうず』では子どもは『どこが・何が』といった心です。最初の出会いは具体的な子どもが理解しやすい「数える事から始まります」しかし、ただ跳んだ数を数えるだけでは保育のプロではありません。
子どもの発達を見つけるだけでなく発達を卒園までに身につけるのがプロです。次に発達を見つける方法の一つです。
次の二回目を見る時『子どもの発達』を見つけて・発達を気づかせ発達を身につける教育をしてください。
飯田和也はここで様々な行動をする子どもだったらという心で紐にかかわる姿を示します。例えば「 ・・・をします。××を考えます。△△を調整します。●●を替えます。何回か飯田和也跳びます。・・・」ひも・縄にかかわる姿を観察します。自分の子どもを観察する時の癖・偏りを点検・評価するチャンスです。ここで発達の課題を見つけるプロとして、二回目をほめて下さい。基本は跳んだ回数を数えます。
そして、一回目と違って二回目に変わった姿を観察し書きます。・・・保育観・教育観が出ている書き方の一つとなります。
一回目と違ってスリッパ脱ぎました。服脱ぎました。観察しているほとんどの保育者は縄跳びのことしか見ていません。上手に跳ばすことが教育と思い込んでいる先生です。子どもの姿を受け入れることが本物でない先生です。
ここに自分の癖・偏りが出ています。跳ばせればいい・やらせればいいと言うのでなく相手の心を受入れる感性・よく見る観察力が教育には求められています。養成校でここを教わらなく現場にでて保育者として偏った考えでかってに技術中心の教育がいいと思い込んでいる実態です。
発達を偏らないで理解したいものです。五領域で捉える知識と技術があれば幅広く発達を捉える能力のある保育者と言えます。注意は資質と能力の三つの柱についても考慮するのが課題です。
子どもの発達を見つける教育を考えると、「〇〇先生は・・・したね、びっくり」と具体的に共感します。子どもは自分の行為を受入れられたと感じて〇〇できた事で自信に結びつきます。「××してすばらしい」と工夫したところを見つけて気付かせます。
子どもは自分が工夫した事を見つけてくれる先生に出会ったということで自分には能力があることを自覚します。「△△を考えて跳んで頭いいね」と具体的にほめます。
具体的にほめられる事で自分には考える能力をもっていた事を気付かせられ自信となり困難を乗り越える力に結びつきます。
『●●の位置考えて最高』とよく観察して共感します。自分で発見した事を見つけられることでこれからの生き方で意欲となります。「続けて跳んでいるところを見守ります」がんばって続けている事で我慢する能力を見守ってくれる人一人いるという生き方になります。
「引っかかった時ちょっと残念」と励まします。失敗しても大丈夫と言う感覚になり困難を乗り切る原動力になります。「床を跳ぶ音,気付いてリズム感ある音造ったね。」と感性を気付かせます。
ここまで見ていてくれる先生がいるという安心感となりチャレンジする心に結びつきます。このように様々な体験しているのが子どもです。
縄跳びは何のため、ただ上手に跳ばせるだけでない。人生を生き抜く教育のためです。〇●園卒園までに生きる基礎である心情・意欲・態度を育て発達を身につけるのが教育です。ここまで子どもを愛する態度が保育者には大切です。
ねらい『縄跳びで様々な音・肌触り・リズム・友達とのかかわり・跳んで楽しむ、味わう』縄跳びへの楽しみ方・味わい方には発達の個人差があります。
発達とは『自我能力=困難対処する力』と『主体性=自分で〇〇する力』『社会の多様な変化に対応する力』です。豊かな体験や発見は自分でする場を保障する事が教育には求められています。
子どもに卒園まで上手に紐を跳ばせるだけでない「ねらい」発達の方向性を大事にします。紐を見ているだけでよいというかかわる力、跳んでいるときのぴょんぴょんと言う音を聴いて楽しむ力、先生や友達の失敗したり工夫して楽しんでいる姿を見るだけでいいときの情緒の安定している状態など楽しみ方は個人差があることを理解するのが「ねらい」です。
指導したい内容として五領域で一度捉える事を工夫する事で、幅広い発達を保障する縄跳びの教育に結びつきます。10項目との点検・評価
縄跳び・
健康・・「身体を十分使って前跳びをする」手先や身体を十分使って前跳びを体験する指導したい内容です。
身体的な力強さ、疲れたときの調整力、手先の能力、忍耐力など10項目で「健康な心と身体。自立心など」を点検・評価します。
人間関係・「友達と一緒に跳んだり、先生にかかわる力、ルールを守って遊ぶ」一人だけで縄跳びを遊ぶのでなく友達や先生と関わる力、そのときにルールを守る等指導したい内容です。
そして、10個項目で幼児期の終わりまで育っているか、「協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活とのかかわり」を幼児期の終わりまでに身につけているかを点検・評価します。
環境・・ 跳ぶ数を数える能力、ひもの特性を知る」縄跳びを通して数を数えたり、縄跳びの特性を知らないので知るような指導したい内容になります。
10項目の中で「思考力の芽生え、自然とのかかわり、生命尊重、数量・図形・文字等への関心・感覚など」様々身につけたい多様性の中で卒園までに教育できているかを点検・評価して小学校に接続したいものです。
言葉・・ 跳ぶ時に歌ったり、数えたり、出来たという言葉のやりとりをする。縄跳びを黙って跳ぶだけでなく跳んだ数を数えたり、先生や友達に『出来た』という言葉のやり取りをする体験を指導したい内容にします。
卒園まで身につけたい10項目では「言葉による伝えあい」が身についているか点検・評価することです。
表現・・ リズムを変えて自分なりに跳ぶ、縄跳びの音を作って聞く感性を気づく。縄跳びをただ跳んでいるだけでなく跳んでいるとリズムがあること、また、床を叩く音が在る事を気づくことで自分の感性を気づかせる教育に結びつける指導したい体験となります。上手に縄を飛ばせるではありません。
10項目のなかで「豊かな感性と表現」を身につけたか点検・評価します。
10項目と絡み合って発達する目安で、縄跳びにおいても上手に跳ばすのでなく五領域で発達を偏らない事、さらには幼児期の終わりまでに育ってほしい中身として10項目で評価します。そして、改善に結びつけるのが教育の基本となります。
縄跳びを通して子どもの発達を見つけるのが教育のプロ
縄跳びを通して子どもに発達する能力があることを気づかせるのがプロ
縄跳びを通して子どもは自分で発見する力があることを自覚させるのがプロ
縄跳びを通して子どもに生きる力をもっている自信をつけるのがプロ
縄跳びを通して生き抜く「やり遂げる」力を持たせ一年生に送るのがプロ
縄跳びを通して多様な社会に対応する力を身につけさせるのがプロ
縄跳びを通して親に発達する能力を持っていることを伝えるのがプロ
「遊び」を通して五領域で偏らない発達を見つけ、総合的な指導の大切さとしてここで10項目に結びつける実践を点検・評価します。健康な心と体、自立、協同、道徳、社会生活、思考力の芽生え、自然とのかかわり・生命尊重、数量・図形・文字等への関心・感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現など能力を気づかせる教育です
縄跳びを通して世界で生き抜く「やり遂げる力とチャレンジする心」等の自信をもたせ、多様な社会に対応する能力を身につける教育が求められます。
縄跳びの技術を高めるだけでなく多様な発達を気付き、子どもに発達を気付かせ、保護者に子どもが発達する力をもっていることを縄跳びから伝えるのが「保育園・こども園・幼稚園」の幼児教育の基本です。