保育の基本 199 幼児期の終わり「幼稚園・保育園・こども園修了ごろ〉までに育った欲しい三つの柱と10項目について

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資質と能力を理解し身につける教育に求められるもの。     国際子ども研究所 飯田 和也

 

 今まで教育課程・保育課程と指導計画で立案してきた五領域を引継ぎ三つの柱と10項目に沿って子どもの発達と発達支援の見直しを図ることが幼児期の終わりまでに求められるものです。「ねらい」は、第1章の1(2)に示された保育の目標をより具体化したものであり、子どもが保育所において安定した生活を送り、充実した活動が出来るように、保育を通じて育みたい資質・能力を、子どもの生活する姿から捉えたものである。

「内容」は『ねらい』を達成するために、子どもの生活やその状況に応じて保育士等が適切に行う事項と保育士等が援助して子どもが環境にかかわって経験する事項を示したものである。

 例えば、今までと同じように注意する事は、四月の保育場面で上手にさせ、きれいに〇〇できるようにさせるのでなく「自分で発見する主体性と学ぶ意欲と社会の多様な変化に対応でき困難を乗り切る能力を身につける教育」とも言えます。

 

将来、安全で快適な環境は少なく地震や津波・大雨などの自然災害や交通事故や悲惨な事故・事件に巻き込まれる場合があります。食べ物が少ない、寒さ・暑さなど自然環境の変化に立ち向かう時と場、困難な場に出会った時に自分で危険を感じ・気づき「発見は自分でする」生き方「主体性」を身につける教育が幼児期の終わりまでに求められます。

幼稚園教育要領改訂・保育所保育指針改定のポイントのひとつである資質・能力の三つの柱『知識・技能の基礎』何を感じ・気付き・わかり・できるようになるのか。『思考力・判断力・表現力等の基礎』とは、さらにどう考え、試し、工夫し、表現するか。

そして知能テストでは測りづらい非認知能力として『学びに向かう力・人間性等』心情・意欲・態度が育つ中でいかにより良い生活をするかなど身につけることが求められます。これらは遊びを通して総合的な指導が必要です。

 この三つの柱と五領域の内容を踏まえ、五歳児修了までに育ってほしい姿として「健康な心と体、自立心、協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活とのかかわり、思考力の芽生え、自然とのかかわり・生命尊重、数量・図形・文字等への関心・感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現10項目があげられています。

これらは遊びを通して留意する必要が在ります。このことは小学校の教育との接続が重要になります。幼稚園も保育園もこども園も教育は同じと言う考えで、保育園だから教育はないということはありません。正しい情報をもって学校の先生や保護者、地域の人々にも伝えることです。

教育の改善を必要とする子どもの事例として、園修了まで周囲に起こっている事象を発見できない「自分で〇〇する主体的が少ない」、友達の行動を見ているだけでかかわらない態度「無関心」、雪が降ってきても「不思議とか」「きれい」などを感じなく声も発しない『無感動』、何故自分から行動しないかの理由に保育場面や家庭で過保護・過干渉な育て方や他人に頼る生き方が多いため主体的な生き方が出来ない環境が見られます。

保育所・こども園・幼稚園とも発達支援の具体的な働きとして『子どもは環境との相互作用で発達する』を重要視しています。保育で「感動を味わうような環境」を工夫して子どもが興味・関心に相応しい物的・人的・雰囲気を作ることです。さらには幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として10 項目について遊びを通して育ってほしい姿として願っています。

例えば、保育の場面では季節にあわせ花を育てる・野菜を栽培する・動植物を飼育する・園の周囲を観察し匂いをかぐ、植物に触る、虫を探す体験、雪や氷に触り・冷たさや寒さや熱さを味わう環境を準備する事です。子どもが自分からかかわりたくなる物的環境を準備し個人の能力に併せて身につくような環境と発達支援が必要になります。「健康な心と身体、自立心、協同性、道徳性、社会生活、思考力の芽生え、自然との関わり・生命尊重、数量・図形、言葉による伝え合い、感性」などが10項目に付いて考慮します。


そして、保育者が人的環境として〇〇見て、触って、匂い嗅いでと指示するのでなく、保育者がモデルとして触り・嗅いで・具体的に言葉や態度で感動を示し・説明する事で一人ひとりの感性を刺激する教育実践を豊かにすることです。当然、周囲には積極的にかかわる子どもや消極的な態度の子どももいて様々な人的環境や雰囲気が見られ豊かな体験を味あわせるのが幼児期の教育です。

このようなさまざまな体験の中に発達「きれいと感じ、花に気づき、色や匂いを把握し、他の花との違いを気付き、花びらの硬さや柔らかさを試し、それを見つけ、気づかせ、卒園までで絵に描いたり、仲間と一緒に折り紙で表現してよりよい生活を営むこと」を幼児期の終わりまでに育てることが教育です。

さらに育てたい三つの柱の中で知能テスト等で測ることが困難な我慢する態度、挑戦する意欲、愛された喜びなどを身につける教育を考えると奥が深いとなります。

指導計画のねらいと内容を整備する時の物的環境・人的環境・雰囲気の立案に三つの柱の中で我慢する力・挑戦する力・自尊心・やり遂げた満足感を味合わせできた喜び、頑張る意欲、我慢する態度や困難な環境を乗り切るためにも必要となります。 四歳・五歳児の具体的な立案の事例です。

ねらい「園にある動植物に触れ、チュウリップを育て楽しむ。」『卒園までに動植物に触るだけで良い、上手に世話をしなくても自分なりに花の種類を理解し水をあげてチューリップが生長するのを見るだけで良い。卒園の時に大きくなって花びらがきれいだ、良い香りだなど味わう事で感性が豊かになり、我慢し、新しい色・形・数に対して興味・関心を持つこと、仲間と一緒に生きる力となる教育がねらいです。

養護として『子どもが快適で安全に過ごせるようにする。』「子どもが情緒の安定した一日を過ごせるようにする。」といった養護と教育の一体的に行う立案も工夫したいものです。

 

内容 指導したい内容「豊かな体験を通して知的・技能、思考・判断・表現、よりよく生き抜くため」等の発達のために立案します。

健康 「身体を使って球根に水をあげる。」「ここでは身体を使い集中して水を入れ物からこぼさない、そして球根まで我慢して水が届いた体験する事です。植物を可愛がる事で人や物に優しくする思いやりの体験をする事になります。このような指導したい身体的・手先を使い優しく器を扱う内容で上手にやらせる実践ではありません。知識や優しく持つ技能を身につける経験の場です」

このように五領域の中で10項目について捉えると「健康な心と体、自分の力で手伝ってもらわないで水をあげる自立心、球根に積極的に関わり球根の性質や仕組みを感じる。』など考え卒園までに身についたか点検・評価が求められます。

五領域で偏らない発達を捉えて園修了までに育てたい10項目の中で健康に関わっている項目を取り上げる保育者の能力が求められます。

人間関係 「友達と一緒にチュウリップの球根を植える。」「一人だけでなく友達が失敗してこぼしたり、丁寧に水をあげる姿からモデルとして身体的に調整する事を学習する場にもなります。水をあげるときに友達に邪魔しないといったルールをきづいたり、守る体験をする事で将来人や物のあり方を気付いたり、試したり、思いやりを身につける指導したい内容として理解します。

10項目の中で友達と関わってチュウリップを育てる中で互いに協力する力、邪魔しないで相手の気持ちになる態度を卒園までに身につける教育が求められます」

環境 「チュウリップの球根を知る」「球根を見る・触る・もつ・匂いを嗅いてチュウリップの球根を理解することです。大きさや重さを把握するために持ち上げたり、摘んで試す事で判断力を身につける内容を理解します。10項目の中で球根の仕組みを理解し形や重さの感覚を身につけ思考力の芽生えが身につけたかを点検・評価したいものです。」

言葉 「きれい・冷たい・面白いといった言葉のやりとりをする。」

「水をあげたり、草をとったりする中できれいとか冷たい、虫がいることを気付いた事を言葉でやり取りをする体験をする内容として理解します。保育士や友達と経験した事を伝えあい、相手の話を聴く態度ができ楽しむ姿があるか点検・評価します」

表現 花の美しさやしぜんの面白さに気づき表現する

「チューリップきれい、この花良い匂い・へんな匂い、このまえより葉っぱが大きくなったことなど気付き、自分で発見したことを自分なりの表現できる体験をする内容として理解します。

10項目の中で花がきれい・チュウリップの匂いが素敵と感じ自分で絵にかいたり、粘土で作ったり、友達と製作する等表現する事を喜んでいるかを点検・評価して卒園までに身につけた教育ができたか問われます」

 

このように幼児期の終わりまでに知識・技能、思考・判断・表現力、より良い生活を営む力と愛され出来るようになった体験、挑戦する気持、我慢する態度等様々に三つの柱が絡み合って発達する事を理解して環境構成と発達支援しなければならないのが幼児教育です。

保育者の「問いかけ・励まし・慰め・助言・共感・見守り・受け入れ・指示など」様々な発達支援をクラス全体で使う事、又、一人ひとりの発達を見つけ卒園までに10項目が身についたか使い分ける事です。

特に、複数の保育者の場合には三つの柱と五領域、10項目が絡み合っているという保育観の共有が最も要求されます。保育者自身が正しい情報を持つことで、勝手な教育は許されません。

保育者として養護に包まれて教育があるという命を守り、情緒の安定を図り、さらに、子どもたちが何を好んでいるか、クラスの雰囲気で失敗してもいいということであれば自分からと言う主体性を発揮します。

保育室では『多くのことを要求しない・失敗するのが当たり前一つでいいよ』といった温かい愛のある雰囲気を保育者が作る事で子どもは主体的になります。それが、どのような生き方に結びつくかと言うと友達や先生や親から言われなくても・指示されなくても自分でやろうという挑戦する意欲に結びつきます。特に、我慢して最後までやりぬく力と人と関わる教育といえます。それが小学校になった時の環境に対して対応する力をもたせることに結びつきます。

 幼児期の終わりごろまでに育てたい教育は、家庭と協力して、保育者が先に答えを出し、手をかけるのでなく子どもたちに自分で感じ・気づき・自分で発見する時と場を保障することです。そして、子どもたちが何を気付いたり、何がわかり、どう考えたり、試したり、挑戦する力や忍耐でやり遂げる能力を示している時を見つける眼プロと言えます。

 子どもが主語であるときを保障するためには『子どもの眼・耳・鼻・口・手・足になろうとしなければなりません』大人の都合でなく子ども最善の利益である事が教育には求められます。 

  

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