国際子ども研究所 飯田 和也
園式をする前に、始めて園に親子で登園するとき母親が見知らないお母さんたちとどのようにかかわったら良いか、また、話したら良いか不安感と緊張でいっぱいです。
そのような母親の不安などをことばで言い表すことができない時に、園長や主任は「温かい愛のある雰囲気」を作ることで母親は安心できます。
しかし、一度だけでは欠席された方が雰囲気に入りづらい事のないように配慮することも園としては留意します。二度・三度と短い時間をとることで園の教育方針や教育方法を具体的に伝える事でこども園・保育園・幼稚園が大事にしている事を理解していただくチャンスとなります。
入園式だけのときに教育方針や約束事を保護者は聞いていない場合があります。一度では理解しようとしない保護者には手紙で説明し行事のときに「判る言葉で優しく」繰り返し伝えたいものです。
同じ事が新任や若い保育者にもいえます。電話のかけかた・連絡ノートでの伝え方、面接での対応など、かってに約束事を解釈しクラス方針を伝えさせないことです。このような始めての集まりでは、働いているお母さんには配布の手紙やメールを見て理解して戴く事も子育てには大事と言う事を伝えたいものです。
次のようなスケジュールで実践しました。参考にして下さい。
1 母親は親子で受付します
2 母親だけホールまたは保育室に入室します。別々の時には子どもへの配慮が必要になります。新入園児は同い年の子と先生がいる保育室に入室します。ベテランの保育者がここで泣いてもすぐお母さんと会えるから大丈夫だよと、安心する雰囲気を作り受け取ります。
3 部屋・ホールでは、母親は椅子に円形で顔が見えるように座り、一人ひとりが自己紹介『子どもの名前と住んでいる場所を紹介』など簡単に言えるテーマにします。
4 続いて、母親は隣の人と仲良くなるための自己紹介『テーマは無し』
5 自己紹介が終わり隣同士がわが子の「いい所を五つ紹介」します。
重要 良い所を言い合っている場、そこで笑顔になっている全員に対して「ハイ、ちょっと話すのやめて下さい」と話を中断して
『今、温かい愛のある雰囲気を味わっていますよ』コレがこの園の方針ですよ。『園の中では、先生と子どもたちはお互いがほめあっていますよ。』このような説明と体験を味あわせます。
温かい愛のある雰囲気は、自分は受け入れられ認められている体験となり、人の話をじっと聞く態度に結びつきます。
6 子どもたちが母親の元に帰ってきたら「今日は部屋や友達を見るだけで良いよ・手遊び見ているだけ、聴いているだけで良いよ」と優しい態度をします。
母親が聴きたいことやさせたいことをいう、自分の都合にならないで言葉をかけてあげてくださいと話します。
こでは、母親の目の前で全員に見守ってあげてじっくりと遊ばせて下さい。
7 帰りはトイレで明るさ・広さ・匂い・友達がトイレを使う姿などを見せ、トイレの使い方を優しく説明すると子どもはトイレに対して安心する場合となります。親子でトイレの雰囲気を味あわせて下さい。
このような一回目の安心する出会いを配慮すると、帰りには「このような機会を与えていただいて助かります」という母親たちでした。
–ポイント 2-30分間でいいから子どもを始めての部屋にて子ども同士で過ごす。クラスには、当然ベテランの保育者と同じ年齢集団がいて優しい雰囲気を作りだす子どもがまっています。
保育者は2-30分間という時間の中で「多くのことを要求しません、ここで泣いてもいいのだよ、見ているだけでいいのだよ、匂いをかぐだけでいい、可愛いと見つめながら始めての体験を温かい雰囲気をつくる」と言う共通な保育観で保育します。
受付で母親はホールに入り、子ともたちは四月から同じ学年となる子どもたちが待っている保育室に別れて入ります。子別れするときに「安心して預けてください、」と伝えて別れさせます。
ホールにて全員の母親が集まらないときには、温かい雰囲気を司会者は造ります。例えば、姉を入れていた保護者に「みなさん悩んでいることがあるかもしれません、先輩の保護者として自己紹介と不安なことがあれば一つでもいってください」と言うと「トイレが心配」という話が出ました。
このような話題に対して「判る言葉で優しく説明をします」
トイレットトレーニングについて、母親が何時自分のこどもが膀胱にいっぱいになっておしっこをしたくなっているかを把握すること。トイレへの子どもの行動・サインを見つける眼が母親の努力です。
そして、したくなるタイミングを見つけ、それに合わせることでたまにおしっこが合います。失敗するのが当たり前の時にうまくいった時間、間隔を探り失敗しても怒らないで出来た時を見つけ、励ますのがタイミングを計ることになり、トイレトレーニングの第一歩となります。
おむつは乾いているときを見つけて気持ちがいいねと声をかけ、濡れた時に気持ち悪いという感覚を気付かせることも子どもからサインの出すきっかけに結びつきます。
このように多くの母親が不安なことに対して安心できる説明・わかる言葉を使いこれから子育てに対するポイントを具体的に与えることで安心します。
母親への対応として参考にしていただければ幸いです。