心を開くには「愛」が必要です

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心を開くには「愛」が必要です

 

 初めての場・初めての人との出会いでは、大人も子どもでもどのようにふるまったらいいか判断が出来ずに不安となる場合があります。今まで一人でいることや小さな集団で生活していることに安定していた子どもが、急に子どもや大人が大勢いる場に出合ったら不安感を持ち動けなくなってしまうのが当たり前と言えます。

 保育室には友達が大勢いて、その雰囲気になれない女の子が心を開いていく場面を解説します。その女の子は疲れていたのか、寝たりないのか理解できませんでしたが保育室の床に寝転がって子どもたちがブロックしたり、トランプで神経衰弱をしたりして楽しそうにしているクラスの子どもたちを見ていました。

 私は、近づきすぎず・遠すぎない距離を保ってその女の子「出会って二日目」に対して、可愛いい女の子だなあという気持で見始めました。女の子は最初、私に気づかないで遊んでいる様子を見ていました。しばらくするとこちらの見つめている視線を感じたのかチラッと眼と眼が合いました。

 

 そこで小道具を使いました。牛乳パックでお化けのイッターモーメンの細長い形を切り抜き、それに新聞紙を細長く切って凧あげの尻尾を作り頭にはクリップを二つ着けてオモリにしたものを作りました。それを寝転がっている女の子の方に向けて飛ばすとヒラヒラ・ストーンと近くに落ちました。

 

 その子はあれという顔をしました。そして、近くに行き横たわっているイッターモーメンの凧を再度飛ばすとヒラヒラ・ストーンと頭の近くに落ちました。

 今度はアレ、コレ・なんだという顔を見せ眼と眼が合いました。三度目も拾って飛ばすとヒラヒラ・ストーンと落ちるとついににこっと笑って自分からその凧をひろって持ち方は違うが下手で投げると私が投げたようにヒラヒラ・ストーンと落ちたのでした。そこでケラケラと笑う姿になりました。

 

 ここで子どもが見たくなる・触りたくなる・聴きたくなるという子どもの眼・耳・鼻・口・手・足になろうという姿勢が大切になります。何とかはやく一緒に遊ばせようでは在りません。

 

 この子の近くにいた子が「園長先生ガイム描いて・迷路書いて・キティちゃん描いて」と言う要求に対して、子どもの腕に描き始めると横に来て見ていました。

 ここで女の子の心の中に入り過ぎないこと・見ているだけで良いよ、友達の匂いをかぐだけで良いよと見守る事です。

 

 そこで「キティちゃん描いてあげようか」と言うと『私好きでないもん・ジェルペット描いて』というので左手をそっと触りジュエルペットを描くとニコッと笑顔がでるのでした。その子の興味・関心に合わせてあげようという心遣いが重要になります。

 

 次の日、他の子どもたちが私に抱かれて庭を見ていると抱きついてきたので「おもいねえ、○○見られる』と問いかけると『もっとあげて、○○見られない』と言うので抱き上げて10秒ぐらい抱いていました。このような甘えた行為を示す事で、生き抜く能力があることが見られ、これから安心して見守る事ができると確信しました。

 

 この子に大切なのは、あなたの生き方を受け入れていますよ・失敗しても良い・多くのことを望んでいませんよと言う温かい愛のある雰囲気を与える事が重要といえます。

 

子どもたちに生き抜く力を与えるには、愛のある雰囲気の体験が必要です。小学校になってから三つ子の魂100までという諺があるように、愛された経験をした子どもたちは人を愛し、辛い時乗り切る力を友達と一生持ち続けます。

 

しかし、幼児期に愛された経験が少ないと人の話をじっと聴いたり、忍耐が出来ません。

                園長 飯田 和也

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