園の行事の節分が終わった次の日「園長先生、昨日、青鬼と赤鬼が園に来て怖かった、今年は豆をいっぱい投げて泣かなかったよ」「今年は、泣かないでがんばったね、大きくなったね」「園長先生!けれど、赤鬼や青鬼より、うちのお母さんのほうがもっと怖いよ」「どんな風に怖いの」と問いかけると「眼はギョロ・ギョロと口はパクパクして大きく,ガアーとものすごい声で鬼よりもっと怖いよ」「じゃあ頭から角が出てた」「うん、すごいよ、ものすごい大きな角がガアーと伸びているよ」こんな会話が次の日にありました。
子どもの発達を考えると、世の中にはいいことだけでない・うれしいことや悲しいこと・怖いことなど様々な体験を通して大きくなっていきます。お母さんや先生は普段はとても優しい、可愛がってくれる、しかし、怒ったら怖い、怒られないように気をつけることなど気がついて生きていって欲しいと願うばかりです。
何故お母さんは怒るのか、それは、子どものことを真剣に思い、将来、困難を乗り切るために生きていって欲しいとの願いと伝えたいものです。
・心からあなたのことを愛しているから怒ります
・将来のこと思うから怒ります
・子どもの幸せを願うから怒ります
・何度も失敗しないために怒ります
・一人で生きていって欲しいから怒ります
・人や物を大切にして欲しいから怒ります
・親が死んだ後、心配・不安だから怒ります
親として子どもに対して、様々な思い・願いがあって子どもに伝えたいこと、大切にしたいこと、残したいことがあります。親として願いがかなっている場合は安心して見守ることができています。しかし、何度も同じ失敗することを繰り返すわが子の姿、親として身体のことを心配したり、勉強ができるように願ったり、人間関係で不安になったり、ひとりで生きていけるか見ていてできていないと少しは見守ることができています。しかし、何度も失敗したり、余りにも親の期待とかけ離れているとついに怒りたくなります。
この怒らなければならないときに、許してしまうことは親の責任を放棄することにもなります。怒らないで自由にしていればいつかは気がついてくれるという態度は改めることです。大人になったとき、叱ってくれた・怒ってくれたことを「なぜか」思い出して同じ失敗をしないように気がつくことがあります。ほめられたことも心に残りますが、自分が失敗したことを本気で心配してくれた親の言葉や先生の態度により注意することがあります。
卒園児から「園長先生に火遊びを注意されたことが一番怖かった、一生火遊びはしないと思った」「友達の大事なものをとってしまい、うそついて怒られて怖かった」と心に残り一生自分は気をつけなければならない態度となります。また、親から叱られて家の外に出されて「もうしません」と泣いたときの真っ暗闇での不安感を持ったことで悪いことはしないと心に誓ったこと、何度も忘れ物したり、時間を守らなかった時ついに母親に怒鳴られて「もうしません」と謝ったことでその後の生き方が変わった経験を思い出したいものです。しかし、いつも怒りすぎは注意ですね。
親・先生として相手のことを大切に思う気持ちを素直に伝えること、そして怒ることも生きる力のためには重要な態度として必要といえます。「鬼よりもっと怖いお母さんの顔だよ」という心に残った言葉から辛く・苦しい時を乗り切る力の元のひとつと改めて思いました。参考にしていただければ幸いです。