やり抜く力を育てたい   

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保育の基本 191改良 縄跳び 遊びをとおして総合的保育とは

保育の基本 191 改良 子ども園・保育所・幼稚園とも教育は同じ「遊びを通して総合的指導」とは、資質と能力の三つの柱と五領域の内容を通し10項目を点検・評価し記録の例とします。学校の教師も理解が必要です

 元東海学園大学 教授  国際子ども研究所  飯田 和也

 

「遊び」を通して総合的指導の大切さと10項目の記録例

縄跳びの遊びで総合的指導を考えると、幼保連携型認定こども園教育・保育要領改訂・保育所保育指針改定の方向性において幼児期に身につけたい資質・能力を「知識・技能の基礎」「思考・判断・表現力等の基礎」「学びに向かう力・人間性等」の三つに整理し、五領域で立案と実践、さらに、10項目で「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」として評価します。


遊びを通して総合的な指導の中で幅広い発達を身につける幼児教育には重要な考えといえます。

 

この考えを参考にしながら保育所・幼稚園・子ども園で「縄跳び」を通して困難を乗り切る力と主体性や社会の変化に対応できる能力を身につける教育に結び付けたいものです。三つ目の柱である「学びに向かう力・人間性」非認知的能力など知能テストでは測りづらい自尊心・思いやり・我慢してり遂げる力やチャレンジする生き方も含めた教育の見直しが図られます。これらの教育の見直しも参考として縄跳びについて考えたいものです。

 

縄跳びで、生涯にわたる生きる力の基礎を培うため園の理念や方針を考慮し質と能力の三つの柱をとらえることです。一つ目「縄跳びの知識として縄は何でできているか、どのようにすると跳ぶことができるか、他の遊びとの違いは何かといった知識を身につけることです」

また「技能として縄の回し方や持ち方をするとうまく跳べるか」と縄跳びの知識と技能を身につける一つ目の柱があります。

二つ目「思考力として、跳ぶときに縄跳びの知識として縄は何で技術を使ってさらに数多く跳べるにはどのようにしたら発見することで思考力を身につけることです。

また、前回に跳んだ時に持ち方を替えたらもっと跳べたことで少しの持ち方の違いを判断する能力を体験することです。さらに、最初と比べると縄で床をたたく音を大きくし、ジャンプして跳んだ時の床の音の強弱を味わうことで表現する面白さを身につけることです。」


この二つ目の柱は今後の大学入試に求められることが決定していて高校生まで続く資質・能力を身につけることになりました。

三つ目の柱「学びに向かう力・人間性など」として、前跳びができるように最後までやり抜く力、自分は前跳びもできるようになったという自信をもち、能力があることを自覚して自尊心を養うことを身につけることです。

前跳びができた後、後ろ跳びや交差跳びに挑戦する意欲や我慢して最後まで跳び続ける力を持つことなど三つ目の柱は知能テストでは図ることができない非認知的能力を園の温かい愛のある雰囲気から味わうことです。

 

このよう資質と能力の三つの柱は生きる力の基礎になります。しかし、偏った発達を育てないためには五領域で子どもの姿を捉え指導計画に立案し、発達支援する教育が望まれます。

発達を五領域『健康・人間関係・環境・言葉・表現』として偏らないための視点として捉え、生き抜く「やり遂げる」力やチャレンジする意欲など知能テストでは測りづらい資質や能力を卒園までに身につけ小学校に送り出したいものです。

 

 幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿を点検・評価するには、今までのように上手に跳ばすことが教育と思い込んでいると間違った記録となります。子どもの姿を温かく受け入れることが幅広くないとここに自分の癖・偏りが出ています。


跳ばせればいい・やらせればいいと言うのでなく乳幼児=相手の心を受入れる感性・よく見る観察力が教育には求められています。養成校でここを教わらなく現場にでて保育者として偏った考えでかってに技術中心の教育がいいと思い込んでいる実態がありました。幼児教育を行う施設として共有すべき事項に述べられています。

 

幼稚園・保育所・こども園として三つの柱に述べられている育みたい資質・能力を理解し立案や発達支援に取り入れることが大切です。同じく、発達を偏らないで理解し五領域で捉える知識と技術があれば幅広く発達を捉える能力のある保育者と言えます。

 

こどもの発達「資質と能力の三つの柱と五領域」を見つける縄跳びで発達を保証する教育を考えると、「〇〇先生は、縄跳びで・・回も跳んだね、びっくり」と具体的に共感します。

子どもは自分の行為を受入れられたと感じて〇〇できた事で自信に結びつきます

「××してすばらしい」と工夫したところを見つけて気付かせます。子どもは自分が工夫した事を見つけてくれる先生に出会ったということで自分には能力があることを自覚します

「△△を考えて跳んで頭いいね」と具体的にほめます。具体的にほめられる事で自分には考える能力をもっていた事を気付かせられ自信となり困難を乗り越える力に結びつきます。

『●●の位置考えて最高』とよく観察して共感します。自分で発見した事を見つけられることでこれからの生き方で意欲となります。「続けて跳んでいるところを見守ります」がんばって続けている事で我慢する能力を見守ってくれる人一人いるという生き方になります

「引っかかった時ちょっと残念」と励まします。失敗しても大丈夫と言う感覚になり困難を乗り切る原動力になります。「床を跳ぶ音,気付いてリズム感ある音造ったね。」と感性を気付かせます。ここまで見ていてくれる先生がいるという安心感となりチャレンジする心に結びつきます。

 

このように様々な体験し身につけているのが子どもです。

資質と能力の三つの柱と五領域の発達を正しい情報で理解し、発達を見つけ、発達を子どもに気づかせ保障するのが保育のプロといえます。

 

縄跳びは何のため、ただ上手に跳ばせるだけでない。人生を生き抜く力を身につける教育のためです。〇●園卒園までに生きる力である資質と能力の三つの柱を育て偏らない発達=五領域を身につけるのが教育です。

 

  指導計画「縄跳び」の例と記録の例  

ねらい『縄跳びで様々な音・肌触り・リズム・友達とのかかわり・跳んで楽しむ、味わう』縄跳びへの楽しみ方・味わい方には発達の個人差があります。

 

 発達とは『自我能力=困難対処する力』と『主体性=自分で〇〇する力』『社会の多様な変化に対応する力』です。豊かな体験や発見は自分でする場を保障する事が教育には求められています。

 

 子どもに卒園まで上手に紐を跳ばせるだけでない「ねらい」発達の方向性を大事にします。縄跳び・紐を見ているだけでよいという事物にかかわる力、跳んでいるときのぴょんぴょんと言う音を聴いて楽しむ力、先生や友達の失敗したり工夫して楽しんでいる姿を見るだけでいいときの情緒の安定している状態など楽しみ方は個人差があることを理解するのが「ねらい」です。

 

 指導したい内容として五領域で幅広く捉えて工夫する事で、様々な発達を保障する縄跳びの教育に結びつきます。10項目で点検・評価を次のような書き方を参考にします。

 縄跳び・健康・・「身体を十分使って前跳びをする」手先や身体を十分使って前跳び・後跳びを体験する指導したい内容です。 身体的な力強さ、疲れたときの調整力、手先の能力など10項目の中で「健康な心と身体。自立心など」を点検・評価します。このような縄跳びの場面で上手に前跳びや後ろとび、あや跳びをする事だけを評価するのでなく自分からチャレンジして我慢する態度や跳べたと言う自信を卒園までに身につけたかを評価します。

 

到達目標ではないこと小学校に入学してからでもいいよと言う見守り、ここを学校の先生との連携が求められます。学校との連携ができていないと不幸な教え子になります。

具体的にAは、年中の時は、前にだしてぴょんであったのが年長になると友達が前跳び・後ろ跳びそして二重跳びを頑張って跳ぶ姿をみると自分も跳びたい意欲が見られた。

 手先を使って持ち方を変える工夫もでき、最後は前跳びもあやとびも交差とびも自分から縄跳びをもちだして跳べるようになった。疲れていても一度だけでなく何度もチャレンジして持続力と少し休む時をみつける調整力など身体発達している姿が見られた。

 

  人間関係・「友達と一緒に跳んだり、先生にかかわる力、ルールを守って遊ぶ」一人だけで縄跳びを遊ぶのでなく友達や先生と関わる力、そのときにルールを守る等指導したい内容です。そして、10個項目で幼児期の終わりまで育っているか、


協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活とのかかわり」を幼児期の終わりまでに身につけているかを点検・評価します。一人だけで黙々と跳ぶだけでなく友達と一緒に数えたり、競争したり、跳ぶ時のルールを作って人とかかわる能力が育っているか縄跳びを通して10項目で発達を評価します。

 具体的にAは友達と大縄跳びを跳べるようになってから自信をもった。年中では消極的であったが仲のいい〇君の影響があった。年長になって〇くんが何度も跳べる姿に意識して負けず嫌いが出て競走が見られた。最後は二人で協力して跳ぶ時周囲の子どもたちにぶつからないようにぶつかると危ないと注意するようになっていた。自分たちで安全にする事、数える係りを作るなどルールを守り道徳性が芽生えていた。

 

  環境・・ 跳ぶ数を数える能力、ひもの特性を知る」縄跳びを通して数を数えたり、縄跳びの特性を知らないので知るような指導したい内容になります。

    10項目の中で「思考力の芽生え、自然とのかかわり、生命尊重、数量・図形・文字等への関心・感覚など」様々身につけたい多様性の中で卒園までに教育ができているかを点検・評価して小学校に接続したいものです。縄跳びを跳ぶ時にどうしたらもっと跳べるかを考えたり、回し方を工夫したり、友達と数える事を通してあたらしい考えで跳び方をみつけた喜び、なわの形や性質を捉え不思議さや面白さを卒園までに身につけたかを評価します。

   具体的にAは年長になると前跳び・後ろ跳び・あや跳び・交差跳び・二重跳びなどの数える紙をおたがいにつくり、ひもの性質を考えて数えるまで成長した。怪我をさせない気配り等見られた。縄跳びの場面では数に対する能力が育っている。

   文字に対しての評価は別の場面で、名前の書き方や跳んだ数の数え方など評価が正しいといえます。同様に生命の尊重は怪我をしない・させないことに対して身につけているか縄跳びの場面では少ないが、他の保育場面で観察したいものです。

 

  言葉・・ 跳ぶ時に歌ったり、数えたり、出来たという言葉のやりとりをする。縄跳びを黙って跳ぶだけでなく跳んだ数を数えたり、先生や友達に『出来た』という言葉のやり取りをする体験を指導したい内容にします。

卒園まで身につけたい10項目では「言葉による伝えあい」が身についているか点検・評価することです。縄跳びを通して『出来た』『もっと跳びたい』『約束は〇〇』『いくつ跳んだ』といった言葉によるかかわりができているかを評価します。

 具体的にAは縄跳びの数え歌を歌ったり、言葉で「数えて」と要求したり、「後〇〇まで」と言葉のやり取りができ楽しんでいた。さらに、「失敗」「二重跳び跳べた」といった仲間と言葉でのやり取りができるようになった。

 

  表現・・ リズムを変えて自分なりに跳ぶ、縄跳びの音を作って聞く感性を気づく。縄跳びをただ跳んでいるだけでなく跳んでいるとリズムがあること、また、床を叩く音が在る事を気づくことで自分の感性を気づかせる教育に結びつける指導したい体験となります。

 上手に縄を跳ばせるではありません。10項目のなかで「豊かな感性と表現」を身につけたか点検・評価します。縄跳びを跳んでいるときに快いリズムを作ったり、音の違いを味わったり、跳び方を工夫して様々な音・色・形・匂いなど縄跳びの遊びを通して感性があることを気づくことで様々な表現を身につけているかを評価します。

 

 具体的に、A木製の床の上で跳んでいるときに音が違う事を気付いておもしろいといって楽しんでいた。二重跳びのときに大きな音になったと気付いて楽しんでいた。〇〇チャンの跳び方かっこいいと違いを見つける感性が育っていた。このように縄跳びの場面で卒園までに10の姿で発達していることで幅広い資質と能力を捕らえることを小学校に伝える努力が求められます。

 

 10項目と絡み合って発達する目安で、縄跳びにおいても上手に跳ばすのでなく五領域で発達を偏らない事、さらには幼児期の終わりまでに育ってほしい中身として10項目で評価します。

 

 「遊び」を通して五領域で偏らない発達を見つけ、総合的な指導の大切さとしてここで10項目に結びつける実践を点検・評価しますがそれぞれが絡み合っている事を理解したいものです。

 

健康な心と体、自立、協同、道徳、社会生活、思考力の芽生え、自然とのかかわり・生命尊重、数量・図形・文字等への関心・感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現など資質と能力を気づかせる教育ができたか評価します。

 

地域との連携が求められます。

このように保育園・こども園・幼稚園では縄跳びを上手に跳ばせる教育だけでないことを小学校の先生に伝えることが求められています。また、小学校の先生や中学校の先生も縄跳びでも奥が深いということを理解できるような資料を作成し示し・説明する努力が今後大切になりました。


小学校や中学校の先生は幼児教育の実態を理解することに正しい情報を持たないで保育園は教育をしていないとか、幼稚園は教育だけといった偏った情報しか持たない教師が多いと思われます。また、教師の自分の子どもが保育園・こども園・幼稚園に通っていても幼児教育を理解をしようとしない現実があります。

その園に通っている子どもの学校の先生に対して行事等で保育園も幼稚園・こども園も教育は同じということ理解してもらうことが第一です。

この縄跳びの事例のようにただ跳ばせているだけでないこと、発達の資質と能力、そして発達を偏らないために五領域で捉えていることを理解することをもたないと小学校・中学校の先生として把握することを伝えることです。

 

先生の子どもを具体的に指導の仕方・方法を通して幼児教育の点検・評価して正しい情報を与えることです。

知識と技術を伝える努力が日本中の保育関係者に求められます。

保育・教育は難しいでなく奥が深いことを確認する事例です。

 

縄跳びを上手にとかうまくできていなくても一年先・二年先に上手にできればいい、この子には資質も能力も幅広く身につけようとしていますよ。


幼稚園・保育園・こども園で知能テストでは測りづらい力、チャレンジ・思いやり・最後まで我慢してやり遂げる力を身につけて小学校に入学します。高校生までに生きる力の基礎を保育園・こども園・幼稚園では能力を身につける基礎ができるように信じて送ります。よろしくお願いします。〇〇園より

 

この発達の資質・能力の三つの柱の二つ目が大学の入学テストに変わったことで幼児教育から高校生まで連携が求められていることを学校と協力したいものです。

学校だけでなく市町村の教育委員会とも共通な教育観が大切になりました。

 

縄跳びを通して世界で生き抜く「やり遂げる力とチャレンジする心」等の自信をもたせ、多様な社会に対応する能力を身につける教育になりました。

 

縄跳びの技術を高めるだけでなく多様な発達を気付き、子どもに発達を気付かせ、保護者に子どもが発達する力をもっていることを縄跳びから伝えるのが「保育園・こども園・幼稚園」の遊びを通してといわれる幼児教育の基本を多くの人に伝えることです。 

やり抜く力を育てたい   

やり抜く力を育てたい 統括園長 飯田和也

今、教育の世界で話題になっている一つ、これから大学入学テストが変わるということです。特に、暗記するテストから思考力・判断力・表現力が試されるようになることです

同時に、一つのことを最後までじっと我慢してやり遂げる能力も備えることと言われます。


これらは知識を知能テストで測るようなものではありません。また、何もしないで自然にできるように身につくものではありません


おやつの袋を開けられなくて「こんなの無理!」「もーう、いいや」とあきらめて食べられないのではありません。どうしたら袋を開けることができるか自分で発見する力が求められます。

今開けることができないのは何が違うのか、どうしたらいいのか、手先の力が弱いのか、歯で食いちぎったらと判断できることです。


そして、歯でだめなら、はさみを使って開けて困難を乗り切る生き方です。しかし、このような体験は自分だけでは身につきません。周囲にいる子どもが我慢して最後まであきらめないでお菓子の袋を開けておいしそうに食べる姿があり、モデルを真似すれば変わります。

しかし、周囲にいる大人が先に手をかけて手伝ってしまう過保護・過干渉では身につくことはできません。

あきらめないため家族の最後まで我慢してやり遂げるモデルと毎日の努力がしつけには必要なります。

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