共に育つ愛の保育 489 お母さんのような温かさが保育場面にはあります、改めて子どもはこんなにかわいい、子どもも先生も心を癒される場面は10年先の生き方に影響します。 飯田 和也
職員室で六か月の赤ちゃんがベットで遊んでいる場面でした。三歳児が転んで痛いと言い治療して欲しいと入ってきました。担当者が手当てを終わると赤ちゃんが少しぐずりだしたのを見つけて、三歳児にあやしてあげてといわれました。
そこで鈴の音が出る小さなぬいぐるみを片手で振るが小さな音しか出ませんでした。すると三歳児はもっと大きな音を出してあやそうと、両手でもって顔の前で振り始めました。
赤ちゃんは最初、音が聞こえなかったが両手で振ることで大きく振ると、コロコロと音が出ると赤ちゃんもケラケラと笑うのでした。三歳児はさらに6ケ月の子に対して顔につくぐらい振ると、ニコニコ・ケラケラ笑う赤ちゃんでした。
三歳児は赤ちゃんの笑顔を見て、かわいいなあと笑顔になり「にこっ」としました。さきほどケガしたから直してと言っていた三歳児は、初めて赤ちゃんをあやす場面となり痛いのを忘れて、にこっと笑顔になった満足そうな顔がとても印象的でした。
このように家庭とは全く違って年下の赤ちゃんが幼稚園や保育園、こども園にいることで自分は痛いのを我慢して、かわいいという情緒の発達があり、やさしさが見られる場面です。
保育場面では家庭と違った人間関係のかかわりが広がり、社会性の発達に役に立っていることを理解したいものです.
この保育場面を保育者や大人は「危ない・触ってはいけません」「顔におもちゃが当たるからあやさないで」「静かに見てて」といった禁止句を使って止めるのでなく、五年・十年先に人とのかかわりとして非認知能力の思いやりを育てる場として温かく見守り、発達を育てるため周囲にいる大人は大切にしたいものです。
保育場面では、三歳児でも四歳児でも赤ちゃんを見ると全員が「かわいいなあ」「ほっぺ触りたいなあ」「手を握りたいなあ」「抱きたいなあ」というおだやかな気持ちで安定し、やさしさの心に結び付いています。
温かいおもいやりの心を保育園・幼稚園・こども園で、年下の子をかわいがる体験、身体の不自由なこどもに世話しすぎないで優しくする体験、明らかに手先が使えない時に少しだけ手伝いしてありがとうと言われる教育場面を工夫させたいものです。
このような家庭だけとは異なり、年下の子どもや年上の子どもたちに囲まれて温かい雰囲気がある幼稚園・保育園・こども園で知識・技術だけでなく考える力や自分なりに表現する力、そして知能テストでは測ることができない我慢して最後までやり遂げる力、自分から挑戦する力、さらに人を大切にする思いやりなどは、10年・20年先に影響することを周囲にいる大人は理解して育てたいものです。
保育場面で子どもが子どもをほめたり、優しく手を握ったり、温かいぬくもりを与えて抱きしめたり、優しい笑顔のある雰囲気の体験で、いじめや差別をなくす心を育てたいものです。