保育の基本 87  新人を育てる  ねらいとは何か、書き方の指導

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                    飯田 和也

 

 新人に「ねらいと言う言葉の理解はしていますか」と問いかけると「・・・」となってしまいました。また「はっきりわかりません」と言う答えも返ってきました。日案を見ると《ねらい》と《内容》が混在している文章で会得できていないということがわかりました。

 

 ねらいは発達の方向性と言うこと、この発達については保育所保育指針第二章の「子どもの発達」を開いて、《子どもは、様々な環境との相互作用により発達していく》そして豊かな心情、意欲、態度を身につけ、新たな能力を獲得していく過程である。

 

大人による保護や世話などを通して、次第に子どもとの間でも相互にかかわりを深め、人への信頼感と自己の主体性を形成していく。と明確に発達について説明しているので時々保育所保育指針を読み返してねと伝えました。

 

この発達は、先生が教え込んで上手に歌わせたり、絵を描かせたり、すべてをやらせれば出来るのでないという教育観となり、発達の過程を重視する考えから立案と実践にとりいれて欲しいことも話しました。

 ねらいを何故、保育実践に取り入れたかは《発達の方向性》として、出来る・出来ないという到達目標でなく、今日上手に出来なくて良い、今、出来なくても良い、明日できるように、次に出来れば良いという考えです。このような保育観があれば先生も子どもの見方が幅広くなりゆとりができ、子どもたちも今日うまく出来なくてもいいという安心となった一日に結びつきます。

 

 豊かな心情・意欲・態度を身につけるための《ねらい》の書き方は、・・・楽しむ、味わう、広める、深める、しようとするといった文章を書く事で保育実践の時に子どもの発達を見つめる時に支援できます。

《楽しむ》というときに傍にいるだけでいい・聴いているだけで良い・見ているだけで良いなど子どもの眼や耳になった援助・支援となります。

《味わう》とは、触るだけで良い・舌をちょっとつけるだけで良い・目を閉じて触るだけで良いなど乳幼児の手や足、そして口・鼻になると味わうことが理解でき、子どもに相応しい発達支援に結びつきます。

《広める》とは、友達関係を一人から二人へ、見ているだけから少し触ったり、ちょっと話したり、経験を広めていくとこを見つけることで発達援助となります。

《深める》とは、広がったことからさらにじっくりかかわったり、強く感じたり、ただ見ただけからさらに見ようとしたり、調べようとしたり、上手になろうとする場を見つける支援となります。

《しようとする》とは、もっと○○したい、さらに知りたいといった意欲を持っている場を大事にすることになります。このような能力を見つけて生きる力に結びつくということを理解するためにも「ねらい」の文章に取り入れ、保育実践に活かしたい言葉といえます。

 

この《ねらい》は目標を具体化した言葉を新人には大切にして欲しいことを伝えなければなりません。園の理念として創設の根本的な考えがあり、地域の実態子どもの実情・保護者の要望を考慮した創立者の福祉観・教育観・子ども観が含まれていることを新人は理解することです。そして新人は、勝手な保育をしないため理念・目標・方針・年齢ごとのねらいで作られている保育課程を基にするルールということです。これを新人教育で伝えなければバラバラな保育実践になります。

 

 この保育課程を、園長や主任が創設者の根本を新人に理解できるように伝える義務と責任があります。公立・民間を問わず理念をしっかりと新人は把握して指導計画の中に《ねらい》を立案し、将来生きていく中で乳幼児が困難を乗り切る力「自我能力」と第二章で述べている自己の主体的な行動がとれる能力を身につける時を大切にした発達支援ができる保育実践が求められます。

 

 新人は、この「ねらい」を理解することで、立案と実践が幅広くなります。

朝の挨拶「おはよう」を口の中でもぐもぐと言っていても、はっきり・大きな声で言いなさいでなく「おはようと言えてよかったね」と挨拶できた喜び「心情」を見つけて、共感する発達支援が出来ます。

 この言葉で言い表すことが出来ない喜怒哀楽「心情」を理解する新人を育てたいものです。心情を受け入れられ・認められた働きかけで、乳幼児は先生から認められているとなります。すると、自分は愛されているから先生の話をじっと聴く態度が育ちます。さらには、先生から愛されていることで周囲の友達を大切にする態度も育ちます。 

 

 給食のとき全部食べられなくても《嫌いなものチューするだけでいいよ》《今日は、匂いをかぐだけで良いよ》といった自分のことを受けいれられていることを味わう発達支援となります。この先生から認められて・愛されていることで忍耐する態度を乳幼児は養うことになります。このように愛されているから友達を愛する能力を身につけて欲しいという願いは、すべての創立者の理念にも含まれている一つと思います。

 

新人に「○○を楽しむ・△△を味わう」という「ねらい」が立案されていると、新入園児には子どもたちの動きを見ているだけで良いよ・声を聞いているだけで今日は良いよ、においをかぐだけで今週は良いよという乳幼児の発達の個人差を理解した保育実践に結びつくことになります。

 

新人を育てる時には、自分勝手な保育実践をさせるのでなく、保育課程を基にし、園の共通な保育観を確立させるために具体的な事例を通して、分かりやすく説明し、示すことが求められます。

 

また、聞き上手・ほめ上手な園長・主任として《ねらい》の立案で《楽しむ・味わう・広める・深める》といった言葉にはハートマークを示し、園の理念・方針とここが一致していますよと根拠を記入して、新人には書けた喜びと一緒に保育したいという意欲を育てたいものです。

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