保育の基本71「自分には能力がある」と気づいた時、気づかされる時、自信・自立・意欲・確信となる研修会の在り方を探る

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保育の基本71「自分には能力がある」と気づいた時、気づかされる時、自信・自立・意欲・確信となる研修会の在り方を探る

                  東海学園大学 飯田 和也

 

 研修会に出席してただ言葉を聴くだけ、説明を受けるだけ、見るだけといった受け身の研修から自分には理解できる能力、自分には新しいことを気づく才能、今まで上から与えられ・言われることだけをしていた生き方だけでなく理解していたことの再確認する場を気づいた時、気づかせられることで自分からという意欲的な生き方となります。例えば、保育の中で立案や保育実践の点検・評価する場として自分の文章や考え方が他人からここがいいとハートマークをつけられ認められることで自信となります。しかし、ただ聞くだけ・見るだけの点検・評価するだけの場から自分には研修を終えた後、子どもを愛するためには改善する力を持たせてくれる場として保育の見方・考え方・実践のあり方を気づかせてくれる研修が与えられることで保育に自信となり、自分ひとりでも立案し保育の記録が書ける、子ども理解できるという自立できる場となります。保育をする上で自立できたら指導計画や実践が面白くなり、もっと立案や記録を書きたい・実践を試みたい・乳幼児を愛したいといった意欲になります。するとこの実践方法でいい、乳幼児への発達支援でいい、子どもへの捉え方でいいという確信ができます。私は、このような研修や講義、話が出来ないかといつも悩んでいました。研修を受け、講義を聴く態度から自分の伝え方の間違い「相手に教えればいい」というだけでない研修のあり方を見直す機会が与えられました。保育者として自信を持って乳幼児を愛し、お互いが高めあう能力があること、参加体験しているときに参加者の発達を気づかせることも教育のひとつであるという研修が最近出来ました。それは研修を受ける受講者の姿が子どもの発達を書き、発言する姿が当たり前でないということを気づく研修でした。研修を受け、講義を聴く態度が始まる前の姿と発言している態度には違っていることを気づき、そして受講者に能力があることを伝えることで受講者が自信を持ち、少しずつ自立し、さらには意欲となっている態度を見つける眼を持つことが出来たことでした。そのためには教え込めばいいというのでなく、この会場では文句を言わないこと・ケチをつけないことが約束ですという言葉を使いました。そして、お互い多くのことを要求しない・失敗しても良い・ひとつで良いという態度で接することが原則ですということも話しました。このような受講者がキラキラと輝いて書き、自分の意見を隣同士発表している姿から研修会の温かい愛のある空間として雰囲気を作る配慮が大切なことを学びました。同時に、一人ひとりの始まる前と始まってから自発的な態度を見つける眼、受け入れるゆとりと、それを大切にするだけの教材や考え方の準備があって始めて研修での温かい雰囲気作りが大切と感じました。まさに保育室で愛のある空間として雰囲気が重要という話そのものといえました。次のような演習の場を参考にしていただければ幸いです。

 例えば「運動会で発達を保護者にどう伝えましたか、200字以内にまとめてください」という質問をして10分近く待ちました。そして書いた文章に対して隣同士で誰が読んでも理解しやすい箇所に、ハートマークを入れてその記入した根拠をコメントしてください。さらに、「根拠を書いてもらったらもう一人にハートマークとコメントを書いてサインをもらってください。」という演習をしました。そこで全員に「毎日の保育は忙しいです、一人ひとりを書いてといわれてもなかなか時間が取れなくて書くことをしていません。また、書くことが苦手な保育者もいます。しかし、今約10分で200字以内を必死で書きました。毎日の保育では出来ないけれど今日やり遂げています。全員、自分には短い時間の中で子どもの姿を見つけ、まとめる体験から自分にはこのような能力があることを味わってください。そして自分の中の知的発達する能力があることを見つけることと同時に観察することと書く能力があることを実感してください。そこには短い時間でも書く能力があるという第一の自信を持つことになります。」このような研修で書くことへの自信の体験を味あわせる最初の場になりました。又、隣同士書いた文章を読むことで多く読み,多く考え、多く書くという三多により文章力を伸ばす研修に結びつきました。今までだらだらと何が書いてあるか解からないという文から、具体的に発達を捉え自信をもって書けるようになるための研修のひとつといえます。隣の人、さらに違う人の二人からハートマークをつけてもらい自分の文章の中で良い箇所を認められた・受け入れられた・ほめられたということで書いたことを認められたという第二の自信となります。ここで大切なことは良い箇所は具体的に書いたことで理解されやすいが、主観で書いてしまった箇所は相手から認められないということを認識することで、自分の癖を点検・評価し改善に結び付ける研修になります。さらにそれぞれの保育観が理解できる場となり園内研修のあり方と一つといえます。次に。保育所保育指針第二章の子どもの発達の中で自分が担当しているクラスの年齢『おおむね○歳』保育所保育指針を見ないでキィーワードを五つ取り上げなさいという質問をして五つを書かせました。おおむね○歳の中の五つの単語を書けない人が多くいました。また、隣同士チェックをしあうことで保育観の違いを味わうことになります。この五つは一つの例ですが、園によっては六つかも知れません。本来は園長・主任が研修の中に入り自分の保育所の理念・目的・目標・方針にふさわしい数と中身を検討し選択した根拠を示し・説明して統一することが重要になります。書けない人はおおむね○歳を会得していないために書けない・読んだだけ・説明を受けただけの人といえます。このような研修で点検・評価・改善に結びつくことを理解しなければなりません。次に指針を見て単語五つを書かせました。文章ではありません、単語です。なぜならば文章を五つも六つも自覚して立案や実践にはなかなか結びつきません。そこでこの五つを頭の中でイメージして「運動会での発達をどう伝えましたか」を白紙にもう一度書いてくださいという質問をして200字以内に書かせました。最初は自分の勝手な考えや癖で手紙や文を書いていたことが五つを考えて書くことで乳幼児の発達を捉えるという第三の自信になりました。この五つをイメージして親への手紙を書くことで偏りや悪い箇所を書いていたことが、良い箇所を具体的にかけるようになったという感想が研修生からあがりました。隣同士で再度書いた文章に対して、良くなった箇所を見つけハートマークを入れて再度コメントをする場を作りました。第四の自信として良くなった文章を見つける眼が出来たという自信と発達が書けるようになり、自分でも具体的に書けるという自立を味わうことで、さらに書く意欲に結びつくという言葉がでる研修になりました。

 保育所保育指針のおおむね○歳を読まない、又会得していないと勝手な保育として癖、偏りのある『ねらい』と『内容』の立案や保育実践となっていることを他人に読んでもらうことから点検・評価でき、これからの改善に結びつくことになります。

 ハートマークをつけられることでほめられ、認められる体験からこれまで間違っていた保育観をみなおし、ハートマークを通して自信となり自分でも書けることで自立でき、さらにもっと書きたいという意欲に結びつく場になる人がいます。保護者への伝え方が大変困難になっている現在、このように書くことへの自信から自立、そして意欲を持つ研修から終わった時には、次から保育観を再確認して確信して望むことになります。このように一人ひとりの能力が発揮される研修が出来たことは、会場全員の乳幼児を愛する力が一つになったことで充実したひと時でした。保育者一人ひとりには乳幼児を愛する力があり、必死に自分の力にしようとすることで、保育の質が高まることが出来たといえます。このように乳幼児一人ひとりを愛する立案と実践に対して自信を持つことで自立し、もっとかかわりたいという意欲のある態度から保護者は安心できる保育になります。保育の神様に感謝しなければならないと感じた笑顔に満ち溢れ温かい愛のある雰囲気の研修でした。

 このように保育者として自分には知的発達があり、自信を持って乳幼児を愛し、保護者との信頼関係が一生続く保育実践が出来、職場にはお互いを受け入れ・認め・共感しあう雰囲気をもつための研修「園内研修を含めて」が日本中に広まることを願わざるを得ません。

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