東海学園大学 飯田 和也
保育者として幼稚園や保育園で出会った乳幼児に対して「あなたは幼稚園や保育園で「光」のような存在ですよ」といった捉え方で保育を立案・実践、そして評価していたら保育はまったく違うのではないだろうか。光のような存在と言う発想でその子どもと触れ合う事が出来れば、○○が遅い・△△ができない・□□がへたと言う決め付けた評価をする事ができなくなってしまうはずです。
そして立案が光のような存在ならば、乳幼児の生きる力・発達が自分ひとりだけでなく周囲にいる大人「親、保育者、地域の人」子ども「幼稚園児、保育園児、小学生から大学生、障がい児、」など様々な人間関係にまで影響します。
保育者が光のような存在と感じると、子どもを評価するときに上から目線とか決め付けた態度・能力という自分自身の偏った考えを見直すことに気づかせられます。そして、自分が乳幼児の態度を点検・評価する視点が幅広く・奥が深いことを実感させられるということまで影響受けることを教えられます。
生まれてきた一人の子が将来生きていく上で、住んでいる地域から国だけでなく地球全体まで影響を与える場合があることを考え大切にしたいものです。
生まれてきたときに障がいが合っても・なくてもその子は尊い命を授かってきました。母親が自分の子どもと一緒いる事を幸せと感じることができれば、その子どもは母親と一緒にいる事を幸せに感じます。親としての愛情を心から注ぐ事で子どもは愛されていると実感できます。
同じことで保育者が乳幼児と一緒にいるだけで幸せと感じる事となります。保育者から愛情を受けて育った乳幼児は、家庭と違った環境になっても愛されていると感じ、ここで失敗しても良い・出来なくても少しかかわってみようといった意欲が湧き生きる力に結びつきます。
あなたは保育室の中で周囲にいる人にとって光のような存在となっていますよ、そばにいるだけで回りはあなたの笑顔から楽しくなります、あなたの声が聞けるだけで嬉しくなります、あなたの顔を見ているだけでわくわくしてきます、あなたのウンチを見るだけで生きていて良かったと味わいます、あなたのおっぱい飲む姿をみるだけで幸せです。あなたの動く手を見ているだけで自分も動きたくなります。このように感じている先生や友達がいる事を味わって欲しいのが保育という営みです。
このように乳幼児を愛しいという感覚で立案するならば、又、保育実践しようとすると環境構成が温かい愛に満ち溢れた雰囲気が考えられ素晴らしいクラス・保育園の環境ができます。
保育者が光のような存在の子といった感覚で見つめると優しい笑顔が湧き、失敗してもいいとおおらかになり、多くのことを要求しないからねとやさしい態度ができ、さまざまな能力を持っている事を信じているからというゆとりを持ったふれあいに結びつきます。
このような考えは理念の中に含まれます。すると目標を具体化した「ねらい」として真っ先に乳幼児が可愛い・大事な子・子どもたちから保育者も生きる力を得ているといった共に育つ『共育』と乳幼児も保育者も一緒に発達するという基本に結びつきます。
また、養護の考えがさらに広くなり命を守る・情緒の安定を図る・生理的欲求を満たす・保健衛生的にするといった保育者がする生きる喜びを与える実践では、さらに保育者の生きる力も得られるという発想に結びつきます。
また、乳幼児が困難を乗り切る力を身につけるという教育を考える時に、自分たち保育者も生きる力を光の存在の子から得るチャンスが与えられるという事で発達の考えがさらに幅ひろく深くなります。乳幼児も保育者も保育と言う環境を通して相互作用で発達するという考えです。
立案で大きく異なるのが人的環境と雰囲気の中で保育者自身が乳幼児の担当になった事で自分が幸せと感じ、自分を大切にする事ができ保育者としての自覚と自信を持ちます。
目標の中に「障がいがあってもなくてもあなたが生まれてきた事で周囲の人々を幸せにする場を培う」「あなたが保育所に入った事で周囲の乳幼児や保育者を幸せにしているような存在で生きている価値、そして生きる力を養う」このように目標の言葉が立案される事で『ねらい』の中にある『楽しむがそばにいるだけで良い・見ているだけで良いなど幅ひろく理解できます』
そして『味わうといった中身も食べ物に唇を少しつけるだけで良い、様々な匂いをかいでいるだけで良い』また、友達のそばに近寄るだけで良いよ、言葉に言い表す事ができない悲しさ・悔しさがあるねと共感できる態度に結びつきます。
『ねらい』の心情、意欲、態度を見つけ、乳幼児に気づかせ、生きている喜びを味あわせて保育所にいるだけで自分は楽しいという感覚になります。そして保育者も自分自身の保育が楽しくなり、保育の質が高まる感覚で一緒にいる事で幸せを味わう事に結びつきます。
光のような存在と感じる保育
失敗してもいいよ・笑顔となる・優しい言葉が湧く・肌のぬくもりを与える・解ることば・受け入れる・認める・友達や先生に心情を代弁される・出来たことを共感される・辛い時慰める・失敗した時励ます・子どもが子どもをほめるなど乳幼児も保育者もお互いが生きる喜びと生きる力が与えられる保育となります。
