66指導計画「週日案」と日誌について

NO IMAGE

66指導計画「週日案」と日誌について

保育の基本66                          東海学園大学  飯田和也

 

月案を基にした週日案『養護と教育のねらい』の考え方の根本

養護は、乳幼児が困難を乗り切る力や○○する主体的な行為を身につける前に、保育士が命を守り、情緒の安定を図り、保健衛生にしながら生理的欲求を満たすことです。例えば8月の養護のねらいでは「夏の保健衛生に留意し、ゆったりとした生活リズムで快適に過ごせるようにする」週案では「室内の換気や気温に配慮し快適に過ごせるようにする」といった保育者が子どもに生活習慣を身につける前に大人がすることを記入します。また『夏の健康的な生活に必要な習慣を身につける』と予想される活動には書かないこと、この文は、子どもに習慣を身につけさせるための五領域「健康」です。月案や週案も、養護に包まれて教育があることを忘れないで立案したいものです。

 一週間の教育の『ねらい』は一つだけではありません。例えば「身体を動かして遊ぶことを楽しむ」という立案だけでなく年案や月案の「ねらい」を考慮しなければなりません。考慮していないと日案の中で毎日の活動に『戸外遊びをする・次の日も戸外遊びをする、さらに戸外遊びをする』といった身体を使って遊んでいればいい保育と勘違いしてしまう場合になります。週日案の中で最初に活動の欄を設定すると昭和の望ましい活動を重視した保育実践になります。主な活動とか活動と言う言葉の欄でなく子どもの発達の多面性を考えると削除することですっきりします。

 週案のねらいがあっても保育が途切れてしまったり、ばらばらな実践に結びついている場合は、立案する保育者の願いや思いで『ねらい』が書かれている場合がみられます。このように立案を園長や主任が偏りをチェックしていないと月案そして週案に保育の流れとして保育者の都合の保育となります。今一度保育課程や方針をしっかりと見直して全員が共通の実践をするための研修をしなければなりません。

 ねらいの見直しが重要になります。『ねらい』は発達の方向性であり、発達過程として『おおむね○歳』を参考にした到達目標でないことを見直します。特に活動から考えていると昭和の保育と同じになります。週案の『ねらい』作成には、保育所保育指針第二章の発達の特性子ども同士の発達において「身体的・知的・情緒的・社会的・道徳が的発達」が促されることを熟慮していないと自分の偏った考えでは発達が偏ってしまいます。又、時々見られるのに月案や週案が一つだけの「ねらい」で、自分の得意な分野の身体的発達だけを重視しているような立案を見直すことです。子どもの発達は人間関係と言葉、社会的発達と道徳的発達など絡み合って発達していることを考慮すると発達の方向性として園の行事、季節や地域の実態、子どもの実情、保護者の要望を含めた保育方針をチェックしながら保育課程にふさわしいかどうかの『ねらい』を立案したいものです。指針第二章の子どもの発達や発達を捉える眼としての五領域、保育実践から偏らない発達を保障するための「ねらい」の考えを全員が再確認することが大切になります。月案や週案・日案に環境構成の欄があれば『ねらい』『内容』にふさわしい物的・人的・雰囲気を立案します。乳幼児は環境を通して相互作用で発達するという大切な言葉のように単なる物的環境として教材や設備を準備するだけでなく、かかわりたくなる保育者や友達の行為を構成の中に取り入れることが保育のプロとなります。また、ここで失敗してもいい、多くのことを望まれていない、ひとつだけでいいという感覚になるような温かい愛のある雰囲気が環境構成にあることで自分から○○すると言う主体的な行動に結びつきます。昭和の教師主導の教育から乳幼児主体によって身につく教育が出来た一日かを記録することが求められます。

 保育は忙しくて日誌を記入する時間が少ない場合があります。園全体で様式の中で月案や週日案など書かなければならないことが多い場合に、重なっている考えや欄を省略したいものです。月案では『子どもの姿』「環境構成は月案に必要か」「予想される活動も月案に必要か」「活動と言う言葉から内容にしたほうが理解しやすいか」「週日案より日案が書きやすいか」「一日の反省だけでいいか」『一日の点検・評価・反省が改善に結びつく記入になっているか』様々な見直しをしなければならない時があります。

 日誌の記入については、主観を入れないで読んだ人が理解できるような文にしたいものです。書いたその日しか思い出せないような文章でなく、次の年になっても同じような保育を実施するときに理解できるような文章が望まれます。特に、その日の保育実践を点検・評価して次の改善に結びつくように具体的に書きたいものです。

書いてはいけない文として「あまりに」「そわそわして」『しっかり』「良かった」「かなり」「ずいぶん」『いつも』「とても」といった書いた本人しか理解できない言葉には留意したいものです。また、その日の子どもの姿を感想文・日記だけでなく環境構成の物的・人的・雰囲気にどのようにかかわったかを記入します。具体的に○○の曲とか・・の紙芝居、具体的な○○遊びといった中身を記入したいものです。その上で保育者として、発達支援の中で問いかけ・励まし・慰め・見守り・助言・共感といった具体的な働きかけを少しでも過去形で書くことで次の保育の出発点となり改善に結びつきます。原則は一文一つでだらだらした文を書かないこと、子どもの発達を見つめ「おおむね○歳」そして五領域を理解して記入することで偏った中身から幅広く具体的になります。

飯田和也の「保育の基本」カテゴリの最新記事