研修資料 17 A {幼保小の架け橋プログラム」理解への第一歩

NO IMAGE

研修資料 17 A {幼保小の架け橋プログラム」理解への第一歩

研修資料17号 B   「幼保小の架け橋プログラム」理解への第一歩

縄跳びで五歳児が跳ぼうと回した途端、紐が首に引っかかってまといついてしまいました。 その時、子どもは何を考えたと思いますか。 「こどもの心になって考えると」 そして「三つの柱と幼保小架け橋プログラム」の発達を促す教育に結び付ける研修資料

第一弾

               元名古屋柳城短大 教授

               国際こども研究所    飯田和也

 

 国は今まで指針・要領・多種のプログラムなど作るが保育実践には具体的でなく現場で指導計画や実践について、各園の特色を出すためと言いながら任せていたために保育が多種多様になっていた実情があります。

しかし、今回の幼保小の架け橋プログラムの手引きは具体的な資料も見られて参考になると思われます。 したがって今回の研修資料は「手引き」を参考にします。 いままでの地方を含めた幼児教育は、国から任せられたために養成校や現場で中途半端な幼児教育が続いている現状でこども園・幼稚園・保育園は各自に任されていて、受容は自由と放任の間違いが昔のように再燃している地域もみられます。

 様々な大人の都合の技術中心のブームなど理事長・園長らの考えが優先されている実態も見られています。 発達を丁寧に捉えないで経営者主語の偏った統一されていない実態もあります。 基本は子どもが主語の幼児教育でありたいという願いがあるはずです。

今回の資料は、園内研修で共有するため次のような手続きを参考にしていただくことを願ってまとめました。

 

 研修資料の提示のように、参加者が主体的に考えられるため、五歳児の子どもだったらどのような態度をするか、参加する研修を工夫してみました。

例として縄跳びの場面で「しまった」「あ・」「えっどうして」「首に絡まって気持ち悪い」「声がでない」他にも様々な子どもの姿と心を気づくことが保育者の感性です。

 子どもが失敗したとき瞬時にその子どもに近い考えになってあげることで発達を促す教育「具体的に一人一人の個人差の三つの柱の資質と能力を把握し、将来自我能力を身につける生き方に結び付ける教育方法となります」

 社会に出てから自分で生き抜く力=主体性を発達させるための教育には、子どもは自分で考えていることを受け入れます。 放任保育は問題です。 思考力として考える力があります、また、失敗したときの判断力で反省もみつけるはずです、そして、それらを考えることで次には自分なりに縄跳びの持ち方や回し方を工夫した表現に結び付きます。

 幼児期の終わりまでに育って欲しい姿が到達目標でなく形式的な取り組みでなく家庭や地域も一緒になって子どもの姿を起点に話しを深める場になることを期待し、資質と能力をもっていることを信じることで五歳児なりに将来の生き抜く力に結び付く教育が求められます。

 重要なことは、周囲にいる保育者が五歳児の資質と能力があると信じた触れ合いが教育=発達を伸ばし社会に出てから困難を乗り切る生きる力に結び付くことを理解し、信じた教育を実践することです。 現在世界の中で日本の教育力、国力が落ちている実態を把握し教育力を高めなければ国力は下がる一方です。

 教育の質をあげるには、その場にいる保育者として、発達を上手に跳ばすだけ、数多く跳べばいい教育と思い込んでいると三つの柱 1 知識 技能 2 思考力 判断力 表現力 3 非認知能力などの幅広い子どもの資質と能力を捉えることはできません。 これらの奥の深さを把握して点検・実践が求められています。

 首に引っかかって失敗した時保育者として、危ないと指示するだけではありません。 この失敗を反省して、困難を乗り切り生きる力に結び付ける教育です。 当然、養護として命を守る保育があります。 養護の命守る・情緒の安定を図るは五領域=健康の訓練や鍛錬とは異なることは当然です。

 三つの柱 知識=縄跳びの道具や縄の性質を理解。 技能=縄を回す技術、跳び越える技術、思考力=どのように回したら跳びやすいか気づく・考える、判断力=けがをしないように安全かどうか周囲や道具があっているか考える。 前の回し方と違うか気づく。 表現力=前跳びは自分には困難と考えて後ろ跳びなら跳べそうと他の人とは違う表現をする。 走り跳びを表現する。

非認知能力=友達の姿を見て自分も真似して挑戦する。 先生や友達に励まされて一回でも跳べるように我慢して跳ぶ。 友達にぶつからないように優しくして思いやりを身につける。 跳べた喜びを体験する。

 

このように「縄跳びを通して子どもの発達の捉え方、三つの柱」を将来のため

の土台を身につけるのが幼児教育です。ただ跳べればいい、それもたくさん跳ばせればいいではありません。  しかし、資質と能力には個人差があり、こども園・保育園・幼稚園時代だけでは身に付きません。資質と能力は、すぐに身につかなく、一か月先・半年先、場合によっては小学校までかかるのが教育です。縄跳びだけでなく人前で話すことは小学校に入ってから堂々と話すことができる子もたくさんいます。絵画でも高校になってから花開く子もいて、高校卒業まで資質と能力は伸びることを信じるのが先生と保護者です。教育は、高校卒業まで続くことを教育者も親も把握していなければなりません。

ここで重要な問題が国からの指針・要領・プログラムは基本が指示されて地方の現場で特色を出しなさいと任せてしまうことで多種多様な幼児教育が現場にまかり通っている実態です。日本中バラバラな教育方法・実践の結果小学校一年生の問題が起こり、混乱をしているために「幼保小の架け橋プログラム」が令和3年に取りまとめられて手引きが令和四年の四月に公表されました。

そこで今回は、幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領の3要領・指針の整合性確保。幼児期の終わりまでに育ってほしい姿が五歳児のカリキュラムとスタートカリキュラムの一体的にとらえ、地域の幼児教育と小学校教育との関係者が連携して改善に当たることを推進しています。

しかし、子どもの資質・能力をつなぐカリキュラムの編成・実施が行われていない実態です。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』を到達目標として誤解されている現場が見られます。姿だけでは具体的なカリキュラムの工夫や改善方法がわからないのも理解できていない実情です。

小学校側の取り組みが、教育方法の改善に踏み込まず学校探検にとどまるケースが多い。幼児期・接続期の教育の質の保障を図っていくための基盤が弱いなどさまざまな課題が見られるのが実態です。

そこで、これらを踏まえて少しずつでも子ども主語の教育・資質と能力を大事にする幼児教育ができる資料の一部にと今回はまとめました。

参考にしていただければ幸いです。

保育者として、自分一人では教育はできないことを把握し、園全体と保護者と協力が必要になります。特に、担任と周囲の保育者そして保護者と話し合うことで自分の保育観と他の人の保育観を確かめ合うことで発達支援が改善されます。

幼児期の終わりまでに育ってほしい姿は到達目標でないために、自分一人で点検・評価すると偏ることがあります。園全体で育ってほしい姿を考慮する時間を持ちたいものです。

紐が絡まった場面にて、保育者として瞬時に「危ない」という。もう一度跳んでごらん。持ち方が悪いからだよ。長さ考えて。心配そうに見守る。保育者の態度により子どもは失敗表現した考えを気づく場合があります。また、気づかないで先生の〇〇してと言う通り、また、何も考えないで終わる場合があります。

今後の幼児教育は、発見=考え・判断・表現を自分で見つけて改善して生きる力を身につける教育です。先生の考えと発達支援の実践が影響されます。この時に幼児期の終わりまでの姿を到達目標にしないことが鉄則になります。

 

子どもは先生の働きかけでどのような態度になったと思いますか。失敗を気づいた場合、「もう一回そのままで跳ぶ」「持ち方を変えて跳ぼうとする」「ゆっくりと回して跳ぶ」回すが首に引っかからないが跳べない」「紐の動きを気にして回す」「跳ばないでしばらく考えてみている」様々な態度が出るのが子どもです。

このように失敗を気にして三つの柱の2 思考力 判断力 表現力を気づく子がいることを把握できる場合もあります。失敗を気にしない子も大勢います。これからの幼児教育で三つの柱を育みたいための話し合うことで養護の命を守ることと自分で考え・判断し物や人にやさしくする表現力を身につけるため保育観が共有する保育者集団が求められます。多くの様々な意見から子どもが幸せになります。

 

ここで、

本年3月に取りまとめられた「中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会 「幼保小の架け橋プログラム」が公表されました。この中で「幼児期の終わりまでに育って欲しい姿」の捉え方の例を参考にして縄跳びの例を作りました。この研修会を通して、10の姿をどのように理解するかの一つの案として参考にして自分で姿を立案できる研修が望まれます。

この事例を読んでから、具体的な保育場面で10 の姿を立案する研修を続けます。

 

健康な心と体 縄跳びを跳びたいと縄跳びを準備する。先生数えてといいに来る。

自立心    自分で考え、縄跳びを跳べた時に「跳べた」と喜ぶ。跳べなくて悔しがって見ている。

協同性    友達と一緒に数えあって跳ぶ 縄跳びをうばいあう。

道徳性・規範意識飲む芽生え 跳ぶ時の順番、数えるときのルールを作る ルールを無視して自分勝手に工夫して跳ぶ。

社会生活とのかかわり 縄跳びを置くとき、片づけるとき、紐の縛り方のルールを考える 縄跳びがとれなくてパニックになるが先生とってと訴え関わる。

思考力の芽生え 縄跳びの簡単に跳ぶこと、縄跳び以外の紐を見つけて跳ぶ 失敗して転び悔しがるが再挑戦する。

自然へのかかわり・生命尊重  回した時の風、床を跳んだ音をきづく、けがをさせない約束する 縄跳びを振り回して遊ぶがやめる。

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚  縄を跳ぶ回数を数える・数を知る

数に無関心で関係なく集中して跳ぶ

言葉による伝えあい 縄が当たると危ないと伝える。順番を言い合う。跳べたことをほめあう。失敗した子におしえたり、注意する。

豊かな感性と表現 跳んだ時の音を感じて跳ぶ。足の裏の感覚を味わう。跳べて気持ちいいと笑顔をつくる。

このように縄跳びの保育場面において、子どもの姿が様々に育っていることを幅広く捉えることだが、到達目標でないように発達の資質と能力を保育者は気づくことで幅広く発達を育てる幼児教育に結び付くことを理解したいものです。

A ここで実際の縄跳びの場面で、今まで10回以上跳んでいた五歳児が跳ぼうとして縄を首にひっかけてしまいました。その時に五歳児は、なにを発見・気づいたかノートに書いてください。

 

B 保育者として、その場でどのような働きかけが考えられるか書いてください。

 

C 五歳児の縄跳びのルールをどのように作るか書いてください。

D 縄跳びを通してどのような発達=三つの柱の資質と能力を伸ばすことができると思いますか。

 

E 縄跳びの場面から子どもの姿として10に対して到達目標でなく、小学校への架け橋として姿をどのように記入したらいいか書いてください。

 

五歳児の三つの柱と10の姿を立案することで指導計画が幅広くなり、発達支援の具体的な点検と評価がより深く理解できるようになります。10の姿だけでは到達目標に陥りやすいことを防ぐためにも認識したいものです。

事例 だるまさんが転んだ

ここで発達の資質と能力「三つの柱」について立案してもらいます。上にあげた「縄跳びの事例」から発達についての基本を理解して実践を組み立てることでより一人一人の発達を抑えた立案と実践に結び付きます。幼児期だけでなく小学校・中学校、そして高校卒業まで発達するという発想です。それは大学入試に試されているのが思考力や判断力と表現力が育っているかということです。ただ、遊ばせればいいという今までの保育から小学校の一年生問題を乗り越えて生きる力を身につける原点を見つけ、子どもが困難を乗り切る力を育てるためにも保育の奥の深さを味わいたいものです。

三つの柱

知識

技能

思考力

判断力

表現力

非認知能力

忍耐

挑戦

思いやり

自尊心

 

幼児期の終わりまでに育って欲しい姿 到達目標でない

健康な心と体

自立心

協同性

道徳性・規範意識の芽生え

社会生活とのかかわり

思考力の芽生え

自然への関わり・生命尊重

数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚

言葉による伝えあい

豊かな感性と表現

 

ドッチボール

上にあげた三つの柱と10の姿の立案と点検・評価にしたいものです。

 

園内研修 どのように保育に結び付けるか。子どもの発達を気づかせ、身につける働きかけはなにと思うか、意見を出し合いたいものです。

 

だるまさんが転んだ ドッチボール

 

実際自分で立案して三つの柱の資質と能力についての捉え方

何を捉えることが難しいか

書き方で何が困難について話し合います

 

10の子どもの姿の立案について

到達目標でない書き方の奥の深さを話し合います。

 

今回は、「幼保小の架け橋プログラムの実施に向けての手引き・初版」を参考文献にしました。各園で具体的な事例を取り上げて保育の質を高めてください。

飯田和也の「保育の基本」カテゴリの最新記事