研修資料 第16号 保育場面で愛着関係を大切にすることで生きる力へ
初めて親と離れて不安な時、保育者は愛着を理解し乳幼児の心を満たすプロになることです。 飯田 和也
初めての保育園・こども園・幼稚園において行動する乳幼児には、愛着関係が必要です。家庭で愛されて・認められ安心する場が与えられ信頼できる母親や家族から愛されていた場所には愛着があります。その愛着している家族などから離れることで、不安と恐怖を感じる乳幼児です。
愛着関係で必要なのは、温かく愛されていると感じる雰囲気がある大人で、安定して過ごすことができる人には安心して接しています。
しかし、眠い時に安心して眠ることができない、おむつが濡れていて気持ち悪い、おなかがすいてイライラする、黙っていなくなるなど不安や嫌なことがあった時に受け止めてくれないで近くにいないといった大人には愛着関係は結び付きません。
自分のことを見守ってくれる人がいれば安心という感覚になります。この愛着関係のある人から離れることで不安になることになります。
保育園・こども園・幼稚園に初めて来た日は、乳幼児にとって真っ暗闇のような時となります。初めての環境で、知らない人に囲まれて〇〇ちゃんとか▽▽くーんと急に近づいてくる大人には、泣くことしかできない・顔を隠すしかやれない状況になります。入園当初は、自分から動けない、声が出せない、眠ることができない、ミルクや食事も食べられないのが乳幼児の心と身体です。
このような不安を受け止めるには、笑顔で「大丈夫、ここに先生いるよ、先生の部屋にいるよ、ホールにいるよ、隣にいるよ、そばで見ているよ、」と温かい雰囲気をつくり手をそっとつなぐ、膝の上にのっけて絵本を読む。といったかかわりとぬくもりをあたえ安心させることです。
保育者のかわいいと思う心で触れ合うことで、乳児にとっては優しい笑顔を与えられることで愛着関係に結び付きます。
急にいなくなることや黙っていなくなることをしない、あとでという言葉は最悪で、子どもにとっては今を大切にしてくれる保育者と愛着関係を結びたいものです。
乳児や未満児にとって、新しい担任や次々と担任が変わらないことが最も重要になり、自分では「どうしていなくなったの、なぜ急に眼の前からいないの」という感覚が最も不安になります。保育者同士の連携として「今から〇〇に行ってきます」「〇〇ちゃんのトイレを見ます」「〇〇君の着替えをします」といった連携が先生だけでなく乳幼児にもわかる言葉で伝えることで、周囲の環境を把握して安心となります。
愛着関係のポイントは「あなたのためにじっくりと腰を落ち着けて聞いていますよ・見守っていますよ・あなたの手を握りぬくもりを感じていますよ。
かわいいなあ思って笑顔で見ていますよ、声をしっかりときいていますよ。あなたの息をかぞえていますよ。ミルクや食事をおいしそうに食べるのを見守っていますよ」といった保育の場面ではあなたの生きる力があることを信じていつも見守っていますよという保育の姿勢を示すことで愛着関係が生まれます。できれば同じ保育者がかかわることが望ましいが、未満児の担当者が上にあげたような保育実践の共有が温かい愛のある雰囲気をすることで園児は安定します。
研修 養護に包まれて教育がある。「命を守る。情緒の安定を図る。生理的欲求を満たす。病気にならない環境をつくる。」
この考えによって五領域の健康である「自分で危険なことをしない」といった主体性の教育に結び付きます。訓練や鍛錬とは異なる養護に結び付きます。
次に、養護の命を守ること、さらには情緒の安定を図るための演習をとりあげます。
1 目を閉じて真っ暗闇になった保育の場面では、乳幼児にどのような言葉をかけますか。
2 目を閉じて隣の人と手を握り合ったとき、どのような感覚になりますか。保育に結び付けて話し合いたいものです。
3 乳児が初めて保育園・こども園に入園してきたとき、「お母さんと泣いていやがった時、どのような情緒の安定をするためのかかわりをしますか」
4 乳幼児が初めて保育園・こども園にきたときママのところに行きたいと大声で泣いたとき、「抱いてはダメ」という保育をしなさいと主任が言ったとき、主任の言葉に対してどう思いますか。
5 三歳児が入園後しばらく経って登園した時、担任よりか自分を大事にしてくれる先生のそばにいたいと泣き叫んだ時、担任は甘えてはダメと引き離してクラスに連れて行ってしまいました。
その時の担任の態度をどう思いますか。
6 今までの二歳児の担任と三歳児になった時の担任との連携で、新学期で最も大切な発達を見つけ、保障する話し合いは何が必要と思われますか。
7 母親への連携で乳児・未満児保育では、母親との信頼関係・愛着関係を結ぶには何を大切にしたらいいですか。
愛着関係を見直し、保護者との連携が一人ひとりの発達を大切にする保育に結び付きます。全職員の乳幼児が主語という保育ができるために話し合いたいものです。