乳児が遊びの中で幸せと感じる温かい愛のある保育 飯田 和也
生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、保育の目標を踏まえ、発達=資質と能力を育てるため、養護と教育を一体的に実践し三つの柱を育てることが求められています。こどもの発達「資質と能力」は三つの柱〈1知識・技能2、思考力眼判断力・表現力、3非認知能力〉を指摘して教育に結び付けます。
さらに、こどもの発達はこども園・保育園・幼稚園の時代だけでなく高校卒業まで発達を促す教育が続くことを教師も親も理解したいものです。
これからの教育方法は、昔の教育のように一方的な教師の押し付けではなく、また、上手にさせるという到達目標の教育ではないことです。
そこには発達の方向性として幼児期で出来なければ児童期、そして高校卒業までにできるようになればいいという考えの教育です。知識・技術だけでなく思考力や判断力・表現力が高校卒業までに身についたかが大学入試に問われます。
遊びと園外保育
乳幼児に安定した保育ができるためには、母親への支援が最も重要です。母親が朝、送ってきたときに不安であれば子どもも鏡となって不安になります。この別れる時の母親の心を安定させるための保育者の笑顔がある温かい雰囲気を登園時に作り出し、親子の不安な心を受け入れることが重要になります。
一日母親から離れて情緒が安定する中で落ち着いた行動ができることで発達が身につき教育されることが保障されます。養護に包まれて教育があり、保育のなかで幸せと感じ温かい愛のある雰囲気から生き抜く力が身につく保育実践を確かめたいもの
です。
ねらい 「安心できる保育者の傍で友達とかかわって遊ぶ楽しさを味わう」
「保育者と一緒に遊びを楽しむ」「園外保育で友達と一緒に自然とかかわることを楽しむ」発達の方向性として今日上手にさせるのでない言葉を使用します。
内容 「絵本を出して読んでもらう・ボールで友達と転がるのを見たり、触ったり、投げたり、蹴って遊ぶ。テラスのプールで様々な遊び道具を使って水遊びをする。園外保育で鳥の声を聴いたり、道端の花を摘んだり、自然にかかわって遊ぶ」「友達とかかわって様々な遊具を使って安全に遊ぶ」内容は、子どもの発達にあった幅広い体験ができるように工夫したいものです。
環境構成
物的環境 部屋の中に絵本・ブロック・ボール・積木・ぬいぐるみなど清潔で安全な道具を準備しておく。鼻水が出たらすぐ噛めるようにティシュを準備しておく。子どもの手や足の大きさにあった遊び道具を用意する。
人的環境 友達が先生と楽しく遊ぶ姿を示す。先生が分かる言葉で注意したり、ほめる姿を示す。友達が泣いたり、怒ったり、物を投げたりする姿を示す。園外保育に行ったときに花を摘んだり、道路で車が来たらルールを守る姿を示す。保育者が乳幼児との距離を笑顔と温かい言葉かけする姿を示す。
雰囲気 先生が友達に優しくかかわり楽しそうな温かい雰囲気を作る。園外保育で歩くときに、明るく歌って温かい雰囲気を作る。保育室では笑顔が飛び交う
温かい雰囲気を作る。
安全 遊具や遊び場所は養護の一つ命を守るために最も安全にする。特に、遊具施設のボルト・ねじがゆるんでいたり、外れて危険な状態になっていないか適切にすることが重要になります。
砂場に動物のフンや危険なものが落ちていないか点検しておくことになります。テラスは雨上がりや水遊びの後は滑りやすくなっているのを点検してケガのないようにします。危険なもの「はさみ・セロテープの台・鉛筆」など子どもの届くところに置かない。踏み台になるようなものはおかない。なんでも口に入れるので遊具の壊れたもの、汚れたもの、口に入ってしまうもの、小さなもの、角のとがったものなど点検しとり除いておく。
園外保育のコースでは安全に行動できるように下見をしたり、車に対して配慮する。このような保育を園全員が共有して誰かがしているという態度でなく、一人ひとりが注意したいものです。
安全で活動やすい服装にしておく
室内では滑りやすいので、靴下を脱ぐように優しく言葉をかけ、愛情をもって手伝う。体に合った大きさの服や脱いだり着たりしやすいものにする。
行動範囲が少しずつ広がるので担当者を配慮して一人ひとりの行動を把握し、命を守るため人数確認と危険のないようにできるだけ子どもに背中を見せない。
特に、園外保育の時は、帽子をかぶるように優しく声かける。かぶれない時は子どもの身体に併せて笑顔で優しくかぶせてあげる。
靴が一人で履けない子には、優しく言葉をかけ手伝ったりする。
場所移動の時、段差や滑る場所を何故かを丁寧に伝えて注意する。
誰がどこでどんな遊びをしているか、人数を必ず確かめながらして確認する。
友達に迷惑をかけないように「ものを投げたり・乱暴にしている時」具体的にわかる言葉で丁寧に注意する。必ず、守っている時は全員が具体的にほめて信頼関係を作る。
保健衛生
室内外はいつも清潔にして遊びたくなるようにしておく。
おもちゃや遊具は整理整頓し、定期的に消毒をして衛生的に配慮する。
砂場や園の周囲の除草、溝の清潔、虫に刺されないように駆除の工夫する。
怪我したら速やか優しい態度で手当を適切にする。
その日の天気・気温、一人一人の体調に配慮して遊び場を考慮し、衣服の調節を優しくする。暑い時・寒い時に一人一人の体調を配慮して全員が注意する。
鼻水が出たら、すぐに優しくふいてあげ、拭く様に促す。特に「きれいになったね」「気持ちいいね」ときれいになった心を味合わせる。水分補給を充分にする。
園外保育に出る時は、携帯電話、薬品、着替え、バスタオル・乳母車など準備
して衛生的で安全に配慮する。
欲求の充足 甘えたい・遊んで欲しい・抱っこして欲しいという欲求をうけとめ笑顔でぬくもりを与えて安心させる。
自分の気持ちを安心して表すことが出来るように優しく受け止める姿勢を示し信頼関係を気付いていくようにする。
一人一人の子どもに対して可愛いなあという心が持てるように笑顔を心がける。
遊びに入りづらい子どもには、遊びやすいように好みのおもちゃを見つけて一緒に遊び、できたところを褒めて、安心できる場を作り意欲を育てる。
子ども同士のトラブルは両方の気持ちが納得できるように優しく受け止める。
叩いたり・押したり・噛みついたりした子どもにも、いけないことを伝えながら子どもの気持ちも受け止め、落ち着かせて、その子どもの遊びたいことを受け止めて楽しく遊びができるように温かい雰囲気をつくる。
遊んでいる時に眠くなった子どもには、少しでも休ませて寝かせたりする。
配慮 保育士がここで遊んでも・動いても・泣いてもいいのだよという安心感を与える雰囲気をつくり心の安定を図る。母親から離れて「甘えたい」「もっと抱いていたい」という欲求を温かく受け止め安心する場をつくる。
演習 上にあげたケースで不足していると思われる箇所があれば補ってください。園によって方針や方法が違います。より良い保育に結び付けたいです。
遊びの時、園外保育の時、自分が担当している乳幼児をどのように愛しましたか。子どもが愛されていると感じ、幸せな心に結び付ける保育をしていますか。
遊びや園外保育のなかで、自分の保育の事実と自分の意見を分けて書いて点検・評価して改善に結びつけて温かい保育に結び付け園全体で共有し保護者と乳幼児を愛する場にしたいものです。