統括園長 飯田 和也
ある園の年長の参観日「親子で〇〇を製作して楽しむ」という日でした。
20人前後の五歳児の子どもと親がクラスにいました。先生が〇〇の作り方をお母さんや子どもたちに示し・説明していました。
一人の男の子は自分の座る椅子から離れて母親の傍にぐずっている状態でした。補助の先生はリーダーの先生の説明を見させようとまた、母親にも聞かせようと声をかけました。しかし、男の子は母親の傍にいて補助の先生とリーダーの先生も見ようとしないで耳ふさぎの状態でした。
それを見ていた私はまず補助の先生に「お母さんに最初は、今日は見ているだけでいいですよ。やらせようとしないで傍にいるだけでいいよ」と伝えてあげてとその園の主任に伝えました。この場を観察すると、補助の先生は見せなければならない・一緒に作らせなければという気持ちの時で笑顔が無く眼が引きつっていました。
母親に安心する心を与えるのが補助の先生の温かい雰囲気づくりが第一ですと説明しました。参観日なので先生も母親も必死になっている場面は想像できますね。
早速行動に移すと、先生は少し穏やかになり、母親に一生懸命させないで傍にいることをし始めました。しかし、まだ不安な態度の母親と男の子でした。
そこで次にする態度として「母親に男の子の手を握ってあげて肌のぬくもりを与えてあげる事をしてください。」と伝えました。親子の肌の触れ合いを通してここで子どもは母親や誰かから安心感を与えられるという感覚になる事で情緒が安定します。
そっと手を触れ合う、手を置く、さする、握る、相手に通じるように寄り添う雰囲気をつくる、心をこめて肌と肌を寄せ合うことです。ここで頑張ってしっかりやってという態度でなく、失敗してもいいよ、上手でなくても大丈夫、ひとつでいいよと言う温かい愛のある雰囲気を作ることです。
この時,母親は製作する中身には「わが子はできる」「少しなら大好き」「失敗してもいつも頑張っている」姿から能力を信じて寄り添う事です。
母親がわが子の能力を信じる姿から、しばらくして製作の時間になると親子で机に向かって一緒に〇〇を作り始めるのでした。
そこで、クラスのリーダーと補助の先生に伝えました。「今日は先生たちがお母さんの考えたここが素敵と具体的にほめる日です。先生は、お母さんとお父さんが考えた事、面白い発見、工夫しているところを見つけて子どもの前でたくさんほめる日です。」
温かい愛のある雰囲気ができ親子で生き抜く力をあたえられます。この参観から母親はわが子の力を信じること、辛い時には肌のぬくもりを与える事、先生も多くを望まない、失敗してもいいと思うと笑顔を与え温かい愛が生まれ、親を具体的にほめる参観日も大切と教えられた一日となりました。