おばあちゃんと孫 統括園長 飯田 和也
飛行機の待合室におばあちゃんと男の子が入ってきた。その男の子はおばあちゃんが肩からかけているかばんを右足で蹴るとかばんはドターと音がしてへこんでしまった。おばあちゃんはいやな顔をしたが黙っていた。そして歩き始めると今度はとび蹴りのように飛び上がって持っている紙袋を蹴るのでした。
しかし、おばあちゃんは何も言わないで蹴られるままと言う姿を見て叱らないのか叱れないのか、変わった状況でした。そして搭乗時間となりバス移動が一緒でその家族と隣同士になりました。
満員の中でその男の子はおばあちゃんの足を運動靴で思い切り踏んづけていると『いたい・痛い』と言ってもグーと思い切り踏んづけているのでした。次におなかをドンドンドンと右手を拳骨にして叩き、運動靴でずっと足を踏み続けると『痛いじゃない』すると男の子は『お前が悪い』と言ってさらに強く叩くのであった。
周囲の人は迷惑がかかってもいやな顔や文句を言わない乗客の状態でした。叩いたり踏んづける・原因が判らないが、私が横から男の子へ丁寧に『おばあちゃんが痛いといっているから優しくしてあげてね』と言葉をかけると私の顔をびっくりしてみたのでした。
そしてふんづけ・叩くのを急にやめる姿を見たので「優しくできておばあちゃんうれしいね」と言うとおばあちゃんの身体から手や足を離すのでした。
「優しい子だね、名前は」と聞くと『〇〇そうや』『何年生』と聴くと『一年生』「どこに行くの」「宮崎」『どこから来たの』次にはにこっと笑い「岐阜の〇〇』「いい笑顔しているね』と言うとまた笑うのでした。
『いい子だね、おばあちゃんに優しくしてあげてね』と言うと「うん」とうなづき笑顔で別れたのでした。
荷物を受け取る時に『機内ではどうでしたか』『落ち着いていました有難うございました』
この男の子は見知らぬ人から『受入れ・認められ・ほめられた』ことで不安感を取り去り、自分を取り戻した行動の様でした。
相手の表情を瞬時に見抜き悪い事を止めるチャンスの大切さを学んだ日でした。