保育の基本 国際子ども研究所 飯田和也
保育園・こども園の教育を考える時に幼稚園教育要領改訂を参考とし幼児教育の教育は同質と言う考えを取り入れたいものです。
幼稚園教育要領改訂の方向性として幼児教育において幼児期の終わりまでに育って欲しい資質・能力として『知識・技能』『思考・判断・表現力』『学びに向かう力・人間性』の三つの柱と新しい場に出会ったとき逃げないで挑戦する気持「非認知能力の育成など」を持つこと、持ったとき最後までがんばる粘り強さを育てる社会や教育が求められます。
社会で生き抜く力は言われなくても自分から挑戦し最後までがんばり抜く能力が求められます。しかし、新しいことに出会い少し困難と思うと逃げてしまう態度、長続きしない力、言われないと工夫できない能力など問題な行動が見られます。家庭での環境と幼児教育の改善が必要です。
第一に家庭環境の見直しとして、母親が子どもに言い過ぎて自分で発見できないために『楽しいな』『面白い』『あれ、不思議』といった自分で〇〇出来ない生き方。
親や家族がこの子はまだ小さいから・身体が弱いからと過保護にして体験させない育て方。風邪をひかせ熱がでて面倒見るのは親が大変だから・おしっこ失敗すると後が大変と親の都合で育て自立が遅れている場合。
折り紙を熱心に工夫して折っているのに「こうやると簡単だから』と途中で手を出しすぎて最後まで見守る事ができない育て方など様々な家庭の育て方や環境要因があります。このような家庭環境で育ち自分で〇〇出来ない乳幼児を保育場面ではどのように教育しているかを分かりやすく示し・説明することが保育園・幼稚園・子ども園での教育のあり方に求められます。
第二に保育場面での発達支援の見直しにおいて、満三歳児のクラスで、自分で歩いてトイレに行く事ができるのに、先生がトイレまで手を引っ張って連れて行く過保護な保育。
自分で色紙や粘土を選ぶ事ができるのに先生が全て選んで机の上に配置する過干渉。絵の場面で一生懸命塗りつぶしているのに「ここの白いところもっと塗って」と先に指示しやり遂げる力を奪う保育態度。
ズボンを脱ぐ力があるのに脱がせてしまう保育等子どもの能力は個人差があり、育った環境の違いを判断できない教育を見直したいものです。
第三に一人ひとりの発達を理解していないで先生が今までの経験上此れは出来ないから手伝ってあげてしまう過保護な教育観。
独りで工夫してがんばっているのに、先生が勝手にこの子は〇〇と決め付けてやらせない独りよがりの保育観、子どもから先生○○出来たというサインを受入れないで無視し愛情の無い保育態度を点検・評価し改善したいものです。
困難な環境構成を作り乗り越える力を養う教育が必要とする保育観を持つ
A 自分で物、例えば机上からクレパスや紙、はさみを落としたのにすぐに保育者が拾うのでなく、どうして落としたのか考え乗り越える場を保証する教育が必要です。
困難な場や時を乗り切る力を育てるチャンスとして捉える保育者・大人になることです。
B 紙を取り出そうとしてとりづらい環境の時、工夫してとることができるまで失敗してもいいよと声をかけ温かく見守る態度を与えます。自分で〇〇する態度を認められることです。
いつも自分は大人にやってもらい・失敗しない態度だけを味わっているのでなく失敗する時もあるが挑戦するという体験を味わうことです。
C 服をたためば鞄にいれられるのに、ぐちゃぐちゃなために入らない困難な環境の時、すべて手伝うのでなく服のたたみ方の助言をする姿勢が求められます。自分で全て出来ない時にたった一言の助言で困難を乗り切るチャレンジすることが出来達成感を味わい自分には能力があることを自覚できる教育に結びつきます。
D 大縄跳びの場面で、失敗したとき先生が跳ぶテンポを見つけ、子どもの跳びかたに併せて跳んだ喜びを味併せる教育です。そこでは子どもは跳べた能力を自覚し最後までがんばりぬいたことで自信になる体験が必要です。
E トイレのスリッパが出しっぱなしになっているのを気がついて揃えているのを先生が離れたところから見ていて『〇〇ちゃん、そろえてくれて有難う』と言われたとき、嬉しくなりにこっと笑いの時が与えられ、認められている感覚になり意欲に結びつきます。
F 机を友達と運ぶ時、がたがたと音を立てないように力を合わせたとき「〇〇チャンたち優しく机を運べて素敵」とほめられて物に優しく出来た時うれしい気持となった時優しくする大切さを気付きます。
G 散歩の時、車が通る方を歩いて内側を年下の子の手を握り危なくないように車を避けた時、先生から優しく手を握ってあげ怪我しないように歩けるようになって年長組さんだねとほめられた時自信に結びつきます。
H 歌う場面で大きく怒鳴るのでなく周囲の友達の声を聴いて歌ってごらんと言う教育、人を大事にする態度があってきれいにそろえて歌う事に結びつきます。思いやりの原点に結びつきます。
子どもが自分で発見しチャレンジしている時に『見守り・励まし・慰め・問いかけ・見守り』能力があることを親も先生も信じてやり遂げるまで傍らで温かく見守る忍耐力が必要といえます。
しかし、能力を信じることができないのは、出来ない場面ばかり見ているからです。三か月前、半年前を思い出せば必ず少しできるようになって発達している箇所を見つけ・気づくことがあります。
そこには我慢が親も先生も必要になります。大人の忍耐力により子どもの能力に差が出てくることになります。
失敗してもいいと温かく見守られて育った環境から「チャレンジしよう・挑戦しよう・やってみよう」という意欲に結びつきます。しかし、大人の信じない態度・せっかちな姿勢・先に声かけしすぎる触れ合い・子どもは〇〇と決め付けた見方からは子どもは「やってみたい」と言うチャレンジに結びつきません。
家庭でのふれあいと協力する保育園・幼稚園・子ども園での教育の改善により日本の子どもたちが多様な社会である世界にとびでても,新たな事に挑戦し最後までがんばり抜く力をつけたいものです。
保育園・幼稚園・こども園の卒園までに育ってほしい姿をどのように身につけるかと言う教育の視点で参考にする文章を理解していなければなりません。
幼稚園教育要領の改訂では「健康な心と体・自立心・協同・道徳性・規範意識の芽生え・社会生活とのかかわり・思考力の芽生え・自然とのかかわり・生命尊重・数量・言葉による伝え合い・豊かな感性と表現』など幼児期の終わりまでに育って欲しいと位置づけています。
さらに五領域と関連しているので五領域の考えはそのままとなります。
このように幼児教育の見方や考え方を取り入れた指導計画や発達支援に結びつけることが課題となります。
〇〇園の卒園までに身につける教育は『発見は自分で見つける主体性と、学ぶ意欲と社会の多様な変化に対応でき困難を乗り切る能力を身につける』に結びつきます。
さまざまな保育場面での具体的な事例を現場で取り上げて発達を保障する資料を多くの人と一緒に作り上げるのが課題といえます。
ご意見をいただければ幸いです。
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