国際子ども研究所 飯田和也
今回、このような資料を作るきっかけは、インドネシアの教育局からの依頼で「日本人は、他の外国人と違ってルールをまもる、物を大切にしている、ごみを捨てない、衛生面できちんと身についている」など素晴らしい姿が見られます、
幼児教育はどのような現状か話して欲しいということでまとめました。私見として参考にしていただければと思います。
大人になって「おはようと挨拶が言えない人・有難うと感謝が言えない人・物を大切に扱えない人・ごみを平気で捨てる人・汚いことでも気をつけないで病気になる人・危険が察知できないで怪我や事故に合う人」など様々な生き方が見られます。
このように社会の中で問題行動する人は一握りの人ですが目立ちます。
病気のために気づかない場合もあります。親から教えられなくて育った場合もあります。学校や周りの地域社会の環境もあります。友達との関係が影響している場合も見られます。
家族だけでは、社会の荒波を乗り切る力を育てる事は困難です。隣近所と交流しないで子育てはできません。地域でお互いが支え合って子育てをする必要があります。
家族の中で「おはよう」と「有難う」を言う態度、そして明るい笑顔からしつけは始まっています。このような温かい家庭に育った人が保育者になることで乳幼児のためのモデルとなり日本の文化をつなげています。
家庭の中で物を大切にする家族の姿から「もったいない」と言うものを大切にする態度が育ちます。
外国でびっくりする経験があります。人が住んでいる窓から道路に食べたものや使った道具、家具など平気で投げ捨てていることに出会ったことがあります。
このように物を粗末にし、自分の家さえ良ければ良いというルール無視をする態度の人は日本では限られてきています。ほとんどの日本人は「社会のルールを守り、病気にならないために汚れた水を飲まない態度、人に迷惑をかけない生き方、物を大事にする姿勢を身につけています。」
これらは保育園・幼稚園・子ども園で異年齢のかかわりがある保育・教育の効果の一つと思います。
保育園や幼稚園の送迎はバス通園や保護者が安全に送り、周囲の人々や保育者などに朝の挨拶すること、交通ルールを親子で守って通園する態度を通して乳幼児はモデルとしたり、保護者はルールを教えたり、挨拶をしつけています。
外国で時々買い物をする時に品物を買っても接客の仕方が異なっています。日本的に有難うといわれている人にとって、有難うの少ない無表情な態度は物足りなさを感じる場合があります。
最近日本に来る外国人が日本的サービスの良さを味わい、自分の国のサービスを見直す等日本の接客の在り方が注目されています。相手の立場になった接客の振る舞いが様々な国で求められています。
幼児期に家族や周囲にいる大人、そして保育園・幼稚園の教育で人とのかかわりを大切にする態度として思いやり・相手との共感が身につくことがあります。
家族だけでなく子ども同士のかかわりから遊びを通して身体のこなし、指先の発達、言葉のやり取り、相手の心を大事にする、ルールを見つけるなど大切にする教育です。
大人になってルールを守れない場合は、人に迷惑をかけていることを気付かせるために例えば「この区域ではタバコを吸っては人に迷惑をかけると罰金ですよ」「電車には優先席がありますよ」「女性専用車両ですよ」など約束を作り罰金があることを気付かせることも大事となってきました。
幼児期から約束を発見し守ろうとする生き方を身につけるのが教育です。
さらに、地域とのつながりで子どもたちはルールやおもいやりを身につけています。小学校の送迎時には周囲の大人の見守り隊や交通巡視員からボランティアなどによる挨拶や安全確保といった地域ぐるみで子育てに協力している市町村が多く在ります。
そのような地域の中で乳幼児は見守られて成長・発達していることと保育と教育を保育園・幼稚園で受ける事で発達を保障されています。
今回、保育園・子ども園・幼稚園だけで乳幼児を育てているのでなく、地域の協力と連携があって乳幼児の発達は保障されていることを理解したいものです。
地域のお年寄りとの交流、小学校との連携、警察署、消防署、ボランティアの人々による見守り、中学生・高校生・養成校の学生による実習、通園施設や医者の指導によって日本の乳幼児の発達は保障されていることを保育者は確認しなければなりません。
自分ひとり、自分の園だけで保育・教育しているという思い上がりを持たない事です。井の中の蛙のような園は偏った教育といわざるを得ません。様々な施設や事業所など専門家からの刺激を受けて乳幼児も保育者も知識や技術を獲得して保育の質が高まっていく事を意識することです。
私たちが住んでいる日本は、安全で衛生的で安心できる場が多くあり、ありがとうの飛び交っている素敵な国と言えます。
このような環境が多い中で子どもの貧困の問題といじめ問題、さらに保育者を含めて多くの職種で働き手が不足している現状もあります。
幼児期に困難を乗り切る力と人や物を大切にし、自分で発見する生き抜く力を身につける保育園・幼稚園・子ども園の教育の質を高める努力が求められます。
世界中で地球や人類を大切にする生き方が身につく幼児教育は共通な考えと言えます。