理念についての理解 飯田 和也
新人に自分が立てた指導計画と保育実践に対して、自己点検・自己評価をさせて反省し、次への改善となる指導が園長・主任には求められます。
保育課程をどのように指導計画に利用したら良いか理解できない新人、発達過程を把握できない新人、発達援助のために子ども同士の発達を会得していない新人、このような新人に対して点検・評価をと、問いかけても何をどのようにしたらいいか養成校や大学では教えられていないことが多いという実態です。
発達理解と保育課程の利用した立案と実践の理解
理念・方針・発達の理解
養護に包まれて教育がある保育の基本の会得
発達の方向性としての《ねらい》
発達の多面性である五領域
子どもの発達として発達過程を理解した立案と実践
おおむね○歳の会得
おおむね○歳を利用した《ねらい》《内容》そして指導計画と実践
子ども同士の発達を会得した発達支援
身体的・知的・情緒的・社会的・道徳的発達の理解
発達のための方法として子どもに届く共感・励まし・慰め・問いかけ・
見守りなどの立案と実践
これらについて新人に自己点検・自己評価して改善に結び付けなさいといっても一度には無理な注文になります。従って一つ一つについてゆっくりとじっくりと研修を続けなければなりません。
園長や主任が急ぎすぎると新人はパニックになってしまう場合がみられ自信をなくして、仕事を辞めてしまうケースが日本中あります。
理念について
理念とは、自分が勤めた園には、公立でも民間でも創立者の根本的考えとして《理念》と言う言葉があります。公立では児童憲章とか市町村の憲章など地域の実態・保護者の要望・人々の実情などによって大切にしている根本的な考えです。民間では、創立者の考えとして宗教、福祉観、教育観、地域の実態や子どもの実情など根本的な考えをまとめた言葉「理念」を新人は理解することに始まります。
理念の活かし方
自分の園は、温かいとか厳しいとか様々な環境を通して雰囲気を感じることが見られるはずです。それは園には短いとか長い歴史があってもきちんとした理念に基づいている園は、園長・主任・過去の先輩の保育者が守ってきたことが雰囲気となって現れています。この雰囲気が何故あるかは、創立者の考えである理念に結びついていること、そして立案や行事が根本により実践されていること・また保護者に対応していることを新人として理解しなければなりません。
公立であれば、地域の保護者の要望を取り入れ、地域の実態に相応しい実践があります。民間であれば、宗教の行事を取り入れ、創立者の思想で特色ある保育を打ち出していることになります。
理念の結びつき
この理念は、保育課程を作成する時に、ただ創立者がこうするという考えだけでなく、保育所保育指針の第二章にある子どもの発達などを大切にし、地域の実態・保護者の要望を考慮してあるはずです。また、創立者としての理想や思想をまとめ、園長や主任などを含めて目的・目標・方針・年齢ごとのねらいに反映させて企画・立案したのが保育課程となります。
新人は保育課程を基にした指導計画を立案する時に、このような理念と結びついていることを会得しなければなりません。従って、指導計画立案で月案や週案・日案・部分案を記入する時に、他の園の指導計画や様々な保育雑誌をそのまま写すことは許されません。参考にすることは大事ですが、自分の園の理念や方針、ねらいにそった保育課程と比較することが大事になります。
理念は園全体の保育観の基本
理念を基に子ども最善の利益のために目的があり、養護と教育の目標を整理して発達の方向性が各年齢ごとの《ねらい》となっていることを会得することが新人です。保育課程の基本を理解しないで自分勝手な指導計画を立案させないことが園長・主任の義務と責任です。園全体の職員が共通の保育観を確立するための園内研修を時々するとき、創立者の根本的考えの理念を振り返ることも園の雰囲気を壊さない新人を育てる重要な場となります。
理念と日常の保育や行事との結びつき
園長・主任は、指導計画の月案・週案・日案に理念に相応しい箇所が言葉になっている場合、ハートマークをつけて「ここが創立者の理念と同じ」という根拠を示し・説明することで新人を育てることになります。丁寧な記入をしなけば新人は自分の保育実践に結びつけることが出来ません。
そして、文句を言われるだけでは《日案・部分案など》もっと書きたいという意欲になりません。行事の七夕・運動会・クリスマス・遠足などで保護者へ大切にしている方針を伝える努力をしていることを、新人にも味合わせることで保育観の共通にする態度を身につけていきます。
以上のような理念について新人研修を行い深めることが求められます