東海学園大学 飯田 和也
発表会の時期としてまとめました。発表会当日のあいさつは「今日は文句をいう日ではありません、ケチをつける人はいません。一年前の発表会を思い出すことで具体的に褒めること、共感する事が出来ます。子どもたちは受け入れられることで生きる喜びと生きる力を与えられます。大きな拍手と励ましをお願いします。・・・参考にしてください。
幼児期における教育は、乳幼児の発達を偏って捉えて生きる力として身につけさせることではない。特に、保育者は自分にとって得意な分野は「ゆとり」を持って発達支援できるが、『ねらい』として発達の方向性を考えていない保育者は不得手な分野になると必死に教え込まなければならない、また自分も教えるために勉強しなければならない、上手に教えなければという考えが多く見られます。すると、乳幼児から『○○出来た』「・・やれた」『△△かけた』「□□見つけた」といった主体的な行為である身体的・知的・社会的発達など子どもからのサインを幅広く受け止めるアンテナを張った保育実践が出来ません。
このように保育者にとって得手・不得手な分野や領域があり、子どもの発達を捉える能力が少ないと『環境構成』や『予想される活動』が偏ります。この偏りが指導計画や実践に反映されると発達支援の言葉かけが少なかったり、できない実践になります。保育が偏っていることを点検・評価し改善することで、一人ひとりを愛する乳幼児への教育に結びつきます。保育者として乳幼児の発達している姿を観察する「ゆとり」がないと『上手・上手』『出来た・出来た』といった発達支援の言葉だけであったり、「・・・」とできたというサインを受け止めることなく無言だったり、見過ごしてしまう実践となります。この発達支援の言葉かけとして『問いかけ・助言・見守り・励まし・慰め・共感』などが偏らないために、五領域で発達の姿をとらえた立案を書くことで支援の偏りが少なくなります。この五領域で発達の姿をとらえた支援する中身を具体的に何度も書くことで『問いかけ』の捉え方が具体的に相応しかったか、『助言』の言葉が的確であったか、『見守り』が乳幼児の主体的行為を捉えていたか、『励まし』が安易な励ましになっていなかったか、『慰め』が乳幼児の言葉に言い表すことが出来ない喜怒哀楽の心情を理解していたか、『共感』も心情などを理解した言葉であったか点検・評価できます。指導計画の月案や週案・日案に文章として書いていないと点検・評価する時に具体的にできなく次への改善に結びつくことになりません。具体的に発表会の踊りの練習から当日までにどのように発達『五領域』を捉えて、実践し教育したかを振り返ります。
保育の基本として1 子どもたちの能力に合った題材・選曲・役割の人選が求められます。2 保育者は台詞や身振り、上手と下手の演出なども途中で変更しすぎないように完全に理解し子どもの前に立ちます。3 曲をピアノで弾く場合、歌を歌うときには間違いのないように暗譜が原則です。根拠は、子どもからのサインを見つけ生きる力を身につける教育「発達支援」に結びつきます。例えば、一人の子どもの発達をとらえた教育をするとき五領域として健康では「身のこなし・手先の動き・身体全体の調整力などの発達チェックとして、出きた出来ないという評価でなく楽しんだり、味わっているか」人間関係では「人とのかかわりや先生からの約束事・周囲の友達とあわせる行動を広めようとしたり、深めようとしているか」環境では「物語や曲を理解し楽しみ、役割を把握しようと味わい、題材にそった道具の扱いを楽しんでいるか、」言葉では「自分の台詞や友達の言葉を理解しようと行動しているか、台詞や歌詞を覚えて楽しんでいるか」表現では「役になったつもりで充実した態度をしているか、音がきれいに出来た喜びを味わっているか」といった発達の方向性として点検・評価します。出来た・出来ないで評価するのでなく、一年前の発表会でどのような行動であったかを見ます。しかし、隣の子や出来る子・できない子との比較するのでなく発達の個人差を考慮して一年前・入園のときの記録をチェックすることで五領域の発達の方向性が見えて教育が成立します。物的環境として例えば、かぐや姫の曲を準備したことに対してどうかかわったか・人的環境では、友達との約束事を守ろうとしていたか、楽しそうな温かい雰囲気に対して、充実して楽しんでいたかなどです。発達の姿として、[一年前は「健康」身のこなしも役にあった行動でなくふらふらしていたが堂々たる態度となった、「環境」かぐや姫の侍の役にあった振りができストーリーを楽しんでいた「人間関係」友達と手をつなぎ、相手の動きに合わせようとする態度が育ってきた。「言葉」役の台詞も覚えてかぐや姫のイメージを広げようとしていた。「表現」自分は侍の役になりきって堂々と刀を振り回し、じっと我慢してひざを立てる姿など集中し意欲が見られた。]
発達支援『教育』として、振りが出来ないときに「手を伸ばすとかっこいいよ」という「助言」に対して自分で気づいて言われたことをしようという意欲が見られた。「刀振り回しすぎると友達がどうなるかなと言う「問いかけ」に対して自分でまわしすぎを気づいて小さくした。「共感」に対して、侍のふりの中で前方をじっと見つめひざに手を置いたところを「前を見てかっこいいね」と共感したことでさらに持続していた。「失敗したときの慰め」立つ位置を間違えた時「少し違ったけれどかぐや姫に邪魔にならないから大丈夫」と慰めるとうなづいて情緒的に安心していた。発達変容として教育効果 このように発達の姿『五領域』とかかわった支援『身につける教育』から一年前に比べると自分で曲や友達の台詞・身振りに合わそうと言う協調性や主体性がみられた。この○児に対して、発達「五領域」で捉え支援の中身として「問いかけ・励まし・共感・・・」といった働きにより、気づき・意欲・持続・安定といった『心情・意欲・態度』が身につき、さらに、子ども同士のかかわりから身体的・知的・情緒的・社会的・道徳的な発達が保障された教育になります。重要なことは『踊らせるだけの教育から自分で○○する主体的な行動を身につける教育と言えます』