保育の基本 100 異年齢保育から発達を保障する計画と実践

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全園児が幼稚園の畑で大きないもを掘りました。「先生重い」とさつまいもをひきづり、「見て・見てこんなの」と嬉しそうに報告していました。一緒に給食を食べているとき「お芋、どうやって食べるの」と問いかけると、「フルーツきんとんとおいものスープ」を地産地消推進事業で子どもたちが料理した事を思い出していました。「いもきんとん作りたい・天ぷらにしたい・焼き芋にして食べたいが落ち葉ないなあ」と言った言葉が飛びかっていました。

 きっとお母さんからおいしい愛のこもった芋料理が食べられると思います。

三歳児のどーなつクラブで幼稚園の部屋、運動場などにアンパンマン、カレーパンマンなどにシールが置いてあるのを見つけたり、どんぐりや栗をプレゼントされ喜んでいました。

又、園長から「ありがとう」の大切さ、可愛いと思って見つめてあげてほしい、多くの事を要求しないで一つでいいですよ。いっぱい・いっぱい子どもを愛してあげましょうという話がありました。

 家庭と幼稚園で温かい雰囲気を作り、「つらい時乗り切る力をつけたいですね」

 

                    飯田 和也

 

 異年齢のかかわりは幅広い発達があることを理解し、身につけることが多種多様で数多くあります。年下の子が困った時・悲しいこと・苦しい時に援助する年上の子どもたちがいます。また、反対に可愛がりすぎて自分は可愛がってくれることが当たり前といった生き方も見られます。様々な社会的体験の場を通して人間社会に関する行動・態度を養うことが異年齢の集団から身につきます

 

 保育指針第二章子どもの発達「子ども同士の発達」身体的・知的・情緒的・社会的・道徳的発達の五つを会得し、立案して実践することが異年齢保育には最も重要になります。

 

 異年齢保育においても「養護に包まれて教育がある」という基本の中に子ども同士の多様なかかわりで命をまもること、命を大切にする場がある事を理解し立案と実践を結びつけて「人間関係や人間の生活に関する基本的な行動や態度」を身につけ一人ひとりの発達を保障することになります。

 

 異年齢集団で保育者が放任保育をすると身体発達の違いにより大けがをしたり、知的発達の違いによる言語理解の差、話し言葉の異なるために遊びが多様になります。また、社会的発達の違いのため精神的に傷ついたり、劣等感を受ける場面もあります。

 

 このような異年齢の集団から子どもは困難を乗り切る力や自分から○○する主体性を身につけ、人間生活に関する生き方を発達させます。

 異年齢保育における身体的発達では、年上の子どもが縄跳び・ドッチボール、鉄棒、踊る姿、速く走る態度など頑張って出来るようになるまでの姿を見て、「かっこいい・上手」と感じて模倣したくなる場合もあります。

 このような身のこなしを真似することで身体発達が異年齢のかかわりから発達する場が与えられることを保育者は認識したいものです。

 身体発達の手先では、独楽に紐を巻くとき集中したり、工夫したあと独楽回しができ喜ぶ姿見つけたり、自分には出来ない折り紙を年齢に関係なく折る異年齢の子どもの姿を見てあこがれる子もいます。また,箸をうまく使うことを子どもからほめられ、自分ではできないことのモデルとなって手さきの発達を促進する出会いがあり基本的な行動が身につきます。

 

 知的発達では、友だち同士が挨拶をする姿や面白い言葉のやり取りや汚い言い方を聞いて真似したり考える力が保障されます。

 また、年上の子どもの態度や言葉のやり取り、ブロックや砂場で遊ぶ時イメージを広げ形を造ったりする態度を真似するときに「真似しなさい」といわれなくても自分から○○している知的発達をみつけることができます。

 

 異年齢のかかわりだからこそ様々な刺激がお互いの中に生じて、第二章子どもの発達の中の主体的な場が保障されることに結びつきます。

 

 情緒的発達では、年少児が転んだ時には年上の子が手をさしのべ愛情が育ち、年下の子が○○としゃべったよと優しくする情緒の発達することもあります。愛する態度で自分には様々な能力があることを把握することで自信をつけたり、年下の相手を可愛がることで情緒の分化が進んだり、安定する場が与えられます。

 

 社会的発達では、いじめたり・いじめられたり、ルールを気付いたり、作ったりする異年齢のかかわりを保障することです。異年齢における多様な人間関系の経験が生活する態度の基本になります。

 

 道徳的発達では、異年齢の関係の中で身体発達や知的発達、そして社会的経験により人と合わせること、人の迷惑を考えること、社会的ルールがあること、善悪の判断できる態度が発展していきます。

 発達の個人差や家庭環境を考慮した保育が異年齢の集団では最も求められます。甘えを受け入れてくれる年長児、身体能力や知的能力の弱い相手をみつけ、言葉に言い表す事が出来ない喜怒哀楽(心情)を共感することで愛される体験ができます。

 

 特に、様々な出来事の中で喧嘩があったときに相手に伝える事が出来ない悔しさ・もどかしさ・悲しさを子どもに共感されることで相手を受け入れたり、相手の心情を理解したり、自分を認められることで思いやりを気付く場、社会的ルールがあること、善悪を気づくことが異年齢から与えられます。

 

 このように困難を乗り切る力として保育士が子ども同士のかかわりを温かく受け入れ、認める雰囲気を作ることでお互いが情緒的に安定し身につき幼児教育となります。

 さらに、子ども同士が認め・受け入れる雰囲気により「自分から○○する」主体的な行動が保障されます。しかし、子ども同士のやり取りの中で言葉が発達し、真似したくなる子どもを周囲に配慮し、異年齢だから面白い事・悲しい事・うれしいことなどかかわりの中から感動が生まれている事を見逃さないのがプロと言えます。

 

 指導計画の例

ねらい 異年齢のかかわりの中、滑り台で様々な遊びを楽しむ

  内容  健康 年少・年中 身のこなしを真似する

         年少・年中・年長 危険な遊びをしない

  年少・年中 身のこなしや手先の使い方を知り安全に遊ぶ 

  人間関係 年少・年中 年長の友だちと遊ぶことでルールを気付く

       年少・年中 友だちと順番を守ることを知る

  環境 年少・年中・年長 滑り台の機能を知る

  言葉 年長・年中 滑り台の途中でトンネルをつくり「きな果物」はと問いかけてやり取りをする。

     年中・年少 問いかけに応えやり取りをする。

  表現 年長 自分なりに面白い答えをする。様々なイメージを豊かにする。

    年中・年少 真似して自分なりに考えた答えをする。

    年少児は黙っているがそばにいて答えられないがイメージを持つ。

   環境構成

   物的 異年齢の子どもたちが自発的にかかわりたくなるため

   滑り台を安全に使えるように準備しておく

   人的 異年齢の子どもたちが事物や人に関わっていてモデルとなるため

      良いモデルだけでなく悪いモデルも立案する

   年上の子が階段を使って上りそしてすべる姿を見せる。

        年中児がふざけてすべる姿

        年少児がすべるところを反対から上る姿

 

   雰囲気 主体的な行動が出来るためには、最初失敗してもいい・間違ってもいい・さらには笑顔で可愛いと思って見守る温かい雰囲気を立案する

 

  保育者が近くで怪我をしないように、温かく見守る雰囲気を作る。

 

   予想される活動 発達の個人差を理解し、おおむね3/4/5歳を会得すること、そして今までの育った環境などを配慮して環境構成にかかわることを[予想]する。

 

    年長・年中の子どもが滑り台の途中で「好きな果物は」と問いかける。腕で通せんぼして言わない子には「だめ」「ブブ」と言う。言えた子には、「ピンポーン」と言って止めるのを開けて滑らせる。

 

    年少の子どもは、順番を守らないで階段を上る。好きな果物と言われても「・・・」黙っている。「りんご」と大声で叫ぶ。素早く登れない。滑り台の上でドンドンと足踏みして音を出す。前にいる子を押す。

 

    年中児は、「好きな果物はバナナ・りんご」と言う。わざと間違えて「豚」とか「蛇」と言う。滑り台の途中から飛び降りる。

 

  保育者の援助 異年齢の子どもたちが生活・遊んでいる中のかかわりにおいて身体・知的・情緒・社会・道徳的発達を身につけるための経験を保障するために立案する

   近くで落ちないようににこにこと笑顔で見守る。順番を守らないで危険な登り方をしている子どもを見つけたら[約束です]「押さないで」と

助言をする・指示する・など

 

  

 

異年齢保育のある事例から点検・評価・改善を探る

 年少・年中・年長児それぞれ20数名がホールにて集まり帰りの会をしている場面から教えられた。

 

 リーダーを指導し伴奏者が「海・アイスクリームなど」季節の曲・行事の曲を次々と全員が楽しそうに歌っていた。異年齢の子ども集団で全員一緒に歌う場面でした。

 

 年齢の上の子どもたちは大声で元気に歌っていたが、年少の子どもたちは揃って歌う子どもの姿と中にはあくびをしたり、隣りの子にちょっかいを出していた。年中と年長児の中で知っている歌は大声を出しているが、興味がない曲は歌い方に差が見られた。

次には、手遊び(山小屋一軒・とんとんとんひげ爺さんなど)が始まると年中の子どもは疲れた表情を見せ、年少児は全部の曲を歌うが表情には差が見られました。

 

さらには大型の紙芝居をリーダーが読み始めました。年齢ごとの集団に分かれて座っていたが、そのままの位置で窓際に立って見せて読み終わるとリーダーは子どもたち全員に「楽しかった」と問いかけると、子どもたちは「楽しかった」と答えている姿がみられた異年齢保育でした

 点検・評価として、異年齢が一度に歌・手遊び・紙芝居の場面から発達「おおむね3/4/5歳」の年齢に合わせた実践かどうかを点検・評価します。

 

ここでは全員が一度に歌うという保育実践は理解力や持続力が続かないという事を評価したいものです。

 

改善として、三歳児だけが三歳児にふさわしい曲を立って歌う。それを聴いた年中・年長が拍手をする。年中も年長も別々に全員の前で手遊びを歌うというように人的環境「モデル」を通して真似したくなる姿があれば各年齢にあった能力の曲だけを練習する。

 

また、年齢ごとに座る位置を配慮して三歳児が立った時に他の年齢に見えるような座り方・立ち方をして拍手をもらう事で認められている、愛されていると感じ、人の前でじっと我慢する態度をそだて道徳的発達を身につける教育となるようにします。三歳児の曲や手遊び、四歳児の歌や手遊び、五歳児の手遊び・歌の選曲を配慮して主体的にかかわりたくなるようにする。

 点検・評価として、リーダーが次々と歌・手遊びを歌わせれば良いという実践は、[上手に歌わせればいい・手遊びをそろえさせればいい]といった方法となり、発達の方向性・発達過程の「ねらい」の中にある[歌えた・もっと歌いたい・手遊び出来た・もっと手遊びしたい・歌ったりしている時に我慢したり、じっと聴いている態度]を問いかけ・励まし・慰め・助言して身体発達・知的発達を気付かせたり、身につける教育がおろそかになってしまっていました。

 

 改善として、歌った後や、手遊びした後に(三歳児はここを真似したね。良く聴いていたね。上手に指の形できたね。泣かないでうたえたね。四歳児は、自分なりに面白い形を作ったね。きれいな声で歌えたね。友だちに邪魔しないで歌ったね。五歳児は、全員がきれいに揃って歌ったね。五歳児らしいかっこいい形を工夫して素晴らしいね。)といった身体発達・知的発達・社会的発達を保障する教育をします。

 

 大型紙芝居の場面の点検・評価として、三歳児が大型紙芝居を見づらくてもそのままの位置で読んでしまい環境の再構成がなかった。また、立つ場所が窓際なために後ろに光があって集中しない環境となっている事を再確認する。

 

 改善として、保育者が立つ位置として子どもが見やすい位置に立つ。そして、立つ位置として背景が集中しやすい配慮することで知的発達を保障する事になります。子どもの目や耳、手、足になろうとする保育実践を心がけること。

   

 このような異年齢児の様々なかかわりを通して年齢の違い・発達おおむね○歳を会得し自我能力や主体的な行動を身につけるように保障することが教育と言えます。

何処に視点を当てるかは保育課程を基に指導計画を立案し、一人ひとりの発達の個人差を捉えて異年齢の発達過程を考慮し「予想される活動」を幅ひろく立案します。

 この「予想される活動」が養護にある命を守る大人がすることに結びつきます。さらには、予想することは、異年齢の子どもたちの環境や受けた養育、おおむね○歳を会得していることで「ねらい」にある心情・意欲・態度を身につける教育に結びつくことになります。

 異年齢保育を実践するには、保育指針第二章「子どもの発達」の中の発達特性「子ども同士のかかわり」を熟読し会得することから始めなければ経験と勘の保育実践となり、正しく子どもの発達を抑えた教育に結びつきません。

  自分の園の環境や地域の実態、子どもの実情に合わせて一人ひとりの発達を大切にする異年齢保育をするうえで参考にしていただければ幸いです。

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