東海学園大学 飯田和也
1 ねらいと内容の言葉の使い方の統一を各自の園は園長と主任を交えて統一を図ることです。例えば「楽しむ・味わう」について、指針の中の言葉を意思統一することから始めます。保育指針の中の第三章ねらいと内容において「味わう・楽しむ」といった言葉が混在しています。
各園でねらいは発達の方向性で心情・意欲・態度を身につけさせる教育として園長を含めて統一する事が求められます。特に、園長や主任が保育者から質問をされたときに答えがブレた「異なる答え方をする」と全員が不安感となります。
ねらいは「楽しむ・味わう・広める・深める・しようとする」といった発達の方向性であり心情・意欲・態度の言葉の使い方を園内で話し合って決めたいものです。
発達援助事項としての内容は「知る・世話する・遊ぶ・親しむ・参加する」といったようにねらいの言葉と明確に区別をした言葉にする事で保育者全員が納得となります。発達過程「おおむね○歳」を会得した一人ひとりの発達を抑えた指導計画の点検・評価そして改善する時の具体的な理解の参考になります。
演習「子どもの発達過程における保育の視点 例 言葉から」自分のねらいの立案はどこを根拠としているかを点検・評価する資料とします。
演習で様式評価 「自分の指導計画を持ち寄り、発達の捉え方の癖を探る」自分の指導計画でねらい・内容を点検すると発達の捉え方が方向性やおおむね○歳を考慮しているか点検・評価する資料とします。目標がただのスローガンでなく発達を捉えた文章か評価します。
ねらいが発達の方向性と発達過程のおおむね○歳で二カ年捉えているか評価します。内容が発達の多面性として五領域で偏っていないか評価します。環境構成が子どもの発達の相互作用として物的・人的・雰囲気として立案されているか。予想される活動がいきいきと環境に積極的にかかわるように予想して立案しているか。援助が具体的な共感・問い・見守り・助言など記入しているかを評価する力を持ちたいものです。
演習1 二人一組で先生役と子ども役で手遊びをして「どのようにかかわったか」先生の言葉をノートに記入します。この最初の文章がどのように記述したかが点検・評価の最も重要な原点になります。研修が終わったときにこの文章に戻ると、自身の発達理解が出来保育の質が高まったことを自覚し改善に結びつく事になります。
演習2 交代して発達過程「おおむね○歳」を参照して共感した言葉をノートに記入します。ここで演習2は発達を見つけ、それを気づかせる言葉を書く能力が求められます。演習1と異なった視点を自覚できたらスキルアップとなります。
2 養護のねらいと内容の言葉についても統一を図ることです。養護に包まれて教育があるという生きる喜びと生きる力を大切にする保育の基本があります。
養護は季節の変わり目・暑さや寒さ対策、家庭での環境の変化・弟や妹の誕生・親との別れ、集団感染・インフルエンザ・ロタ・ノロ、地震・津波対策など保育者が命を守り、保健衛生的なためと情緒の安定のために保育所全体で大人がするという共通な考えと言えます。
養護「大人がする」の書き方としてねらいは「図る・する」という言葉で統一します。そして養護の内容は「・・に対応する。・・を把握する。・・の調節をする。・・する。・・適切に対処する。・・過ごせるようにする」といった園の中で統一したいものです。
特に、保育者が子どもに身につけさせる教育、五領域「健康」の内容である生活習慣の自立と異なっている事を認識したいものです。津波の後何日も親に引き渡す事ができない間、命を守り、情緒の安定を図り、生理的欲求を満たし病気にさせないための保健衛生的な環境を作るとき、自分で生活習慣の自立をさせる事はできません。保育者が乳幼児や障がい児を含めて保育者がすることが養護です。
演習「養護の基本とは、命を守るため二人一組になって・・・」
演習3・怖い・恐ろしい演習体験から大人『保育者が命を守る』生活習慣の自立でないことを再確認する事で立案と実践が異なります。
演習4心の安定とは「保育者と乳幼児が心の絆となる一生のふれあい」を理解し養護の大切さを体験したいものです。
3 環境構成の中に雰囲気の立案により園全体が変化する事を認識する事です。雰囲気を単なる物的空間として捉えるのでなく、人的環境を含めて乳幼児が自分からかかわりたくなる環境とすることが最も重要になります。
「温かい雰囲気を作る」と言う中身は「乳幼児がこの場・時で失敗しても良い・一つで良い・自分は先生や友達から認められている・愛されている・受け入れられている」といった多くの友達や先生から笑顔の関わりが最も重要になります。
人は環境を通して相互作用で発達するという言葉を大切にするとき、乳幼児が環境に自発的にかかわるという態度により知的発達や身体的発達などが保障されます。「有難う・幸せ」と言う言葉が飛び交っている保育室が求められます。しかし、冷たい・怖い・恐ろしい雰囲気には自分からかかわりたくなくなります。
演習5「温かい愛のある雰囲気とは」体験すると指導計画の立案と保育実践ががらりと異なります。隣り同士ノートを交換し相手のいいところを五か所かきます。そして「お互いがその書いた文章を説明します」この書く事で環境構成の雰囲気を味わうことになります。
演習6さらに、自分の受け持ちのクラスの名簿の一番の子のいいところを10個書いてみて下さい。保育者のほめる姿から子どもが子どもをほめる保育に結びつきます。
4 予想される活動と予想される姿の区別を必要と思う園は統一を図ることです。活動と姿の違いを辞書で明確にします。
保育の基本 114 予想される子どもの姿と予想される子どもの活動の違いを明確にした立案と実践について「点検・評価・改善へ」
姿「身体つき、身なりなど形あるものの全体的な外見、様子、風采、なりふり」
活動『生き生きと行動する事、働き動く事』広辞苑・岩波書房
姿『見たときの全体的な視覚印象。その時々の様相』
活動「積極的にいきいきと絶えず動いたり働いたりする様子」国語辞典・三省堂
このように子どもの姿と子どもの活動の違いを辞書から参考にすることで環境構成「物的・人的・雰囲気」の立案と実践が異なります。指導計画に記入するには「予想される活動」として生き生きと絶えず動いたりする子どもの様子とすることで、一人ひとりの発達を大切にした保育実践に結びつきます。さらに、発達支援として幅広い立案と援助が広がる事を理解し保育の奥の深さを味わいたいものです。
予想される子どもの姿は、子どもの姿をその時々の様子として保育者が見た時の具体的な視覚印象として考えた立案となりやすい。環境にかかわるのでなく一日の行動の姿・様子となりやすい。
例として縄跳びに対して(前跳びする子がいる。前跳びしない子もいる。・連続で何回も跳べるようになる)友だちとの関わりでは(ともだちとブロックで仲良くする姿が見られる。喧嘩しない子もいる。友だちと仲良くする)教材のはさみに対して(はさみで直線に沿って切る姿が見られる・はさみを上手に使えない子が見られる)箸を使う場面では(箸を使ってこぼさないで食べることができる・箸を使えない子がいる」といった全体的な外見の視覚印象の事例となります。
このような子どもの姿の様子の立案により物的環境は(前跳びするために縄跳びを準備しておく)と言った発想だけになり他の活動を理解しない場合があります。他のどのようにかかわるかを予想できなく首に巻いて窒息したり、振りまわした縄跳びが眼に当たり失明する大事故に結びつく場合となります。
また「予想される姿」の欄があり、その欄には偏った立案の文章として「友だちと仲良くする」といった例が時々あります。この考えは(仲良く遊ばせたい)保育をしたいという内容を立案することに結びつきます。このように予想される姿が指導したい内容を立案することで「仲良くさせる保育実践」となり偏ってしまいます。
子どもは最初から仲良くしません、自分勝手な行動をするのが当たり前です。仲良くするような生き方・仲良くしたくなる行動を身につけることが教育です。
従って、子どもの姿を子どもの様子・全体的な視覚印象は保育者の主観となりがちとなり偏った指導計画の立案と実践に結びつきやすいという事を理解したいものです。
これに対して予想される活動は、週案や日案の環境構成にどのようにかかわるかを予想することで援助が幅広くなります。活動は「子どもが生き生きと行動すること・積極的に絶えず動いたりする子どもの様子」を捉えることになります。
縄跳びの事例では(前に出してぴょんと一回跳ぶ・前に出してぴょん・前に出してぴょんと二回飛ぶ。先生見て、五回跳べるようになったよと言う。縄跳びを首に巻いてみている。縄跳びを振りまわす。縄跳びを滑り台に引っ掛けてぶら下がる・引っ張る)と縄跳びに対して積極的にかかわることを予想します。
このように絶えず動いたりする様子を立案することで発達支援の「問いかけ・はげまし・慰め・見守り・共感」などを立案することが幅広くなります。発達支援では「わあ、5.9回、また5.4回跳んだね」と共感する。「縄跳びを首に巻くとしまって死んでしまうからやめようね」と助言する。「滑り台にぶらさがると外れて大けがするからやめようね」と指示する。
はさみの立案の事例では「はさみを右手に持って紙に書いてある線に沿ってチョキチョキと切る。ハサミの持ち方が反対になって切る。ハサミをチョキチョキとするが途中でびりびりと破いてしまう」と言った物的環境のはさみに対してどのようにいきいきと積極的にかかわるかを予想することで発達支援が幅広くなります。発達支援では(線のとおりにチョキチョキ切れて気持ちいいね)と共感する。「はさみのもち方が反対だと手を切るよ」と指示する。「びりびり破くと紙がもったいないね、持ち方変えるときれいに切れるよ」と助言する。
友だちとのかかわりの事例「友だちとブロック」では「ブロックを線路に見立てて電車を作り走らせる。ブロックで駅をつくり電車を停まらせる。電車同士をぶつけて譲れないで喧嘩する。ブロックがぬけなくなって癇癪を起こしてなげる」といったいきいきと動いたりすることが立案できます。
発達支援では(○○電車みたいだね、△△駅に着いたね、かっこいいね)と言葉をかける。「電車がぶつかって大事故だ、救急車を呼んだらいいのかな」と問いかける。「ブロックを投げたら他の友だちに当たって怪我するから気をつけてね)と注意するなど幅広い立案が工夫されます。ごっこ遊びの場面での立案は(男の子のグループでライダーごっこしているAとDをじっと見ている。Aは自分が思った以上の力で叩かれたのでやり返す)
このような立案に対して「○○ライダー見たいでかっこいい」と共感する。「目をついたり、顔に当たらないように気をつけて遊んでね)と助言する。と言った記入もできルールを丁寧に伝えることもできます。
箸の事例では『箸を握って食べてこぼす。先生、箸これで良いという。箸をソーセージに突き刺して口に入れる』と箸をどのようにもったり、どのように使うかを具体的にかかわることを予想した立案になります。援助では「箸が上手にもって使えてよかったね」と声をかける。「最初はソーセージだけ食べられるだけで良いよ」と箸が使えた喜びを味合わせる言葉をかけるなど幅ひろい発達支援の立案ができ、一人ひとりの発達を抑えた実践に結びつきます。
このように子どもの姿でなく指導計画に予想される子どもの活動を立案する事で環境構成が子どもの立場に結びつきます。そして物的環境・人的環境・雰囲気までねらいと内容に相応しい立案ができるようになります。
自分が立案している「予想される姿」と「予想される活動」に対して、どのように理解し指導計画に結び付けているかを点検・評価し、園の中で意思統一する手がかりにしていただければ幸いです。
演習7「○○にどのようにかかわるかとは」答えてみてください。子どもの姿を観察していないと「予想される活動」を立案できません。
演習8「業務上過失致死罪逮捕にならない指導計画になっているか点検・評価」してください。なっていなければ何処を改善したらいいですか。
5 保育者の援助は乳幼児の発達支援のため点検・評価・改善しやすい文章に統一する事です。「愛のある温かさが感じられる文章を取り入れる事」上手にさせるための文章だけでなく(共感・励まし・慰め・問いかけ・見守り)といった具体的な発達支援の言葉が書かれているかを評価したいものです。
例として「排泄できた時には、出たね、オムツ濡れなくて気持ち良いね」と嬉しい気持ちに共感する。乳児は気持良いという気持を言葉で表現する事は不可能です。そのような言葉で言い表す事ができない快い状態を代弁される事で情緒的発達の分化を保障することにもなります。
「保育士が仲立ちとなり「一緒に貸してっていってみようか」「○○ちゃんおわったら貸してもらおうね」など声をかけたり、「○○チャンと一緒に遊べてよかったね」などと共感したりする。人とのかかわりの中で相手の気持をどのように理解して良いか判らない時に保育士が仲立ちとなる事で人とのかかわり方や理解する方法を学ぶ事になります。おもいやりの基本である道徳的発達の原点に結びつきます。
「○○ちゃん、手がピンと伸びていてかっこいいね」などと具体的に示してほめていく。体操の場面やリズム・また踊りなどで自分の形は評価できません、それを保育士が具体的に評価してくれる事で行動に対して自信がつきます。このようなほめ上手により身体的・情緒的発達を大切にした発達支援となります。
「早く前行ってよ」と怒る子には「教えてあげたい気持ちがあったんだよね」と共感しながら「でも○○ちゃんもしかしたら行こうと思ってたかも知れないから次は見ててあげよう」と優しく声をかける。
共感されることで愛されていると感じます。愛されているから人の話をじっと聴く態度が育ち社会的発達を保障します。
「様々な怒り・悲しみ・悔しさに対して言葉で言い表す事ができない時にとりあいのトラブルがあったらお互いの気持ちをしっかり受け止め、納得できるように心情を代弁する。」また、子どもが遊んでいる時の楽しさを「楽しいね」「嬉しいね」などと声をかけ子どもの気持ちを代弁し共感する。おもいやり・道徳的発達や情緒的発達に結びつきます。
「かして」「いいよ」「有難う」などのやり取りが見られた場合は「ありがとうって言えたね」とその姿を認める。
子どもが『おいしいね』といったことに対して『おいしい?よかったね』と子どもの気持ちに共感する。
母親と離れたくない子がいた場合は、母親にそばによりそってもらい、母親と離れたくない気持ちに共感し、優しく言葉かけすることで安心して自分から遊べる環境を整えるようにする。情緒的発達を保障する保育です。
年下の友達の世話をする姿を見守り、『大変だったね』『助かったよ』と共感したり、感謝の思いを伝える。また、異年齢の子どもに言葉で言えない心情を時には代弁したり声をかけたりするなど一緒に楽しく遊べる雰囲気を作る。社会的・道徳的発達となります。
園外に出かけるときには、集団行動の仕方やマナー、ルールなどを再確認し『どうすれば良いかな』と問いかけたり、具体的に気づけるような言葉をかける。社会的発達を保障する保育に結びつきます。
演習9「自分の指導計画を持ち寄り、保育者の援助・配慮」の欄を身体的・知的・情緒的・社会的・道徳的発達を保障しているかを分析し偏っていないかを点検・評価します。上に記述した文章が自分の発達援助欄に記入されていればハートマークを記してください。そして、子ども同士の発達特性「身体・知的・情緒・社会・道徳的発達」の何に結びついているかを自己分析する事で発達に結びついた援助が自覚できます。
大切な事は自分にあった発達理解の方法を見つける事と自覚して、次に発達を大切にした具体的な援助に結びつくような改善しようとする考えを持つ事といえます。 様々な発達理解の方法があると思われますが、保育者として子どもの行動を通して保育の質を高める場を与えられていることに感謝したいと思います。
6 個別の保育記録は監査のためでなく、子どもの姿だけでなく発達支援の具体的な記入をとりいれること。そして次の保育の出発点とすることが重要と言えます。子どもの姿だけを描かれても次に受け持つ先生は「どのように働きかけたり、環境を構成して良いか」参考になりません。
保育課程を基にした指導計画と結びついた保育実践が必要になります。保育所保育指針第二章にあるような子どもの発達を大切にした保育を理解することが最も重要になります。様々な発達の考えがあり保育所として参照する例として指針の第二章を園全体が取り上げて検証するチャンスが求められます。
演習10「行事で○○を・・・」記述してください。例「夏祭り・運動会・発表会で親に発達をどのように伝えましたか」
演習11「昨日一番近くにいた○子・または○クンの・・・姿」約200字で記述してください。
ここで自分の癖をみつけたいものです。
保育の基本 38 発達変容を抑えた記録とは
日誌や保育要録の記録を記入する時に発達を観察すること、第二章の発達過程にあるおおむね○歳と発達特性の中にある個人差や子ども同士のかかわり「身体・知的・情緒・社会・道徳的発達」を考慮しながら五領域で簡潔に記入することが求められます。
平成に入ってから「ねらい」は子どもの発達を五領域で捉える窓という言葉で説明する学者が多くいました。しかし、具体的にどうかというと子どもの姿だけを五領域で捉えることだけでした。おおむね○歳の発達過程を会得し、発達特性にある「人への信頼感・環境へのかかわり・子ども同士のかかわり・個人差・遊びを通して育つ・生きる力の基礎を培う」を把握した記入が大切という研修会・講習が少なく、保育者の自己満足な子どもの姿を捉えることで書かれていました。
このおおむね○歳をただ読むだけ、ざっと見ただけ、聞いただけで本当に自分の知識として身につけていないため保育者が自分の得意な技術や知識だけで姿を捉えたり、また不得手な知識や保育技術を捉えることをしないといった偏りのために変容が異なっている場合を見直すことといえます。
見直すために自分が担当しているクラスの乳幼児のおおむね○歳を熟読し重要な単語を取り上げることを進めます。これは指導計画を立案し保育実践に結びつくときに発達過程としておおむね○歳を常に意識した保育になります。
当然おおむね○歳は担当の前後の歳も把握することになります。このキーワードを捉えることを今までしていなかった保育者はぜひ抑えることで発達特性もさらに幅広く考慮した立案と実践に結びつきさらには、五領域で発達しているかどうかの観察も的確になります。
何故発達変容が大切かという理由に次に受け継ぐ担任や小学校の教師にとって、四月の発達の姿から保育者の発達援助によって変容したことを明確に記入されていることで、次にかかわるときの参考となり一人ひとりの発達支援のために重要となります。
指導計画を点検・評価すると援助に具体的な働きとして「共感・見守り・受け入れる。慰め・励まし・問いかけ。助言・指示など」が立案に少なかった実態がありました。そのため具体的な保育実践において点検・評価されてなく改善に結びついていかない実態が見られました。
子どもの発達の姿を発達過程と発達特性を考慮して五領域で捉えた文章により子どもの姿の偏りが少なくなります。従って発達変容を記録するには入園の時「四月の時期」に同じようにおおむね○歳と発達特性を考慮し五領域で観察し個人記録を書くことになります。
健康「A君は、身体を動かすことが大好きで縄跳びで前とびを78回跳びクラスチャンピオンになった。また鉄棒でも逆上がりを連続2回するなど運動遊びに意欲がみられた。保育者は、そばでできた数を数えたり・失敗したときは慰め、手の持ち方を工夫させ努力をほめた。Aは努力を認められて自信をもち縄跳びと鉄棒にさらに積極的な態度となった。」
人間関係「Bは、友達と遊ぶとき自分の思いが通らないと泣いて要求を通そうとしていた。保育者はBの伝わらないもどかしさ・つらさをじっくりと聞いて共感した。Bは保育者に言葉で伝わらない気持ち・心情を共感されたことで落ち着き泣くのを止めた。また相手の気持ちを保育者から代弁されたことを受け入れて仲間の意思を大切にかかわることができるようになった。」
環境「Cは朝顔の種をまいた花壇に毎日水をあげて芽が出てきたことを観察していた。保育者が毎日水をあげた努力で朝顔が大きくなってきたね。葉がふたつになったね。つるが長くなってきたねと一緒に共感をした。朝顔の生長を一緒に見つけたことで次はどうなるかなと不思議さや面白さを味わい自然への観察力も大きく伸び深まっていった」
言葉「困ったことがあると自分から言えずに黙っていたDでした。しかし、自分の気持ちを言いたそうな表情のときにはっきりいえなくてもいいよと温かい雰囲気で見守り、少しずつ言えるときを共感した。この困ったときの感覚を大切にDの心情を一緒に味わい、話すことができた充実感を通して自分の意思を伝える意欲が見られるようになった。」
表現「自分から絵を描こうとしなかった。しかし、節分のとき赤鬼に連れて行かれそうになり泣いて嫌がっていた。次の日に鬼が金棒をもち赤い顔で黄色のパンツをはいて襲ってきたことを思い出して怖い鬼の顔と身体を今まで描いた事がない色づかいと形を描いて周囲からほめられ、共感されて自信を持った。それから雪の日に遊んだ雪だるまにバケツをかぶせ、石で手をつけたことなど自分なりに表現して楽しむようになった。」
このように発達の姿を発達過程にあるおおむね○歳と発達特性を考慮し五領域で主観を入れないで保育要録や日誌・個人記録に記入します。当然、乳幼児の最善の利益となり一人ひとりの可能性を捉えることを基本姿勢にしたいものです。
しかし、だらだらと何が書いてあるか理解できない文章や主観を入れた書き方は控えたいものです。将来、この書かれた乳幼児が困難に出会ったときに乗り切る力を持っていますよ、また、自分から人や物・事象にかかわり地球や人類を大切にする力がありますよ、ということを相手に理解できる書き方が原則になります。
保育園の先生は全員この子の能力があることを信じていますよ、学校の先生も可能性を見つける参考にしていただくことを願っています。
書きたいこと、それは一人ひとりの発達を見つめ、発達を気づかせ、発達変容を具体的に書くことが保育のプロとして求められます。
演習12跳んで見せる「一回目、跳びにくい紐を跳んだ時のほめ方」「二回目、一回目より数多く跳んだときの発達を保障した支援を記録すること」・・この違いを自覚することがスキルアップです。ここで保育の質を高めるになります。
最後に最初の演習1の文章に戻って違いを気づき、自覚していただき明日からの保育に活かそうとする乳幼児を愛する保育に結び付けてください。
いまさら保育指針・解説書なんてと言う態度でなく、一人ひとりの発達を理解した保育の質の高い保育実践を見直したいものです。この研修を通して、保育の立案を点検・評価し、自分の保育観・立案の癖・記録の偏り・発達の捉え方の見直しなど再検証し、乳幼児を愛し養護に包まれた教育があることを実践したいものです。
持参するもの
1保育所保育指針 解説書 発達を説明するため
2自分が立案した指導計画で「保育者の援助・配慮」欄に記述してある資料
自分の立案の癖を分析するため
このような研修を通して一人ひとりの発達を愛することが出来れば幸いです。