保育の質を高める園内研修 二歳児 まねるは学ぶより

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保育の質を高める園内研修 二歳児 まねるは学ぶより

保育の質を高める園内研修へ 研修資料 A 14号 二歳ごろからまねる力を見つけ、育て発展させること。

まねるは学ぶ・学ぶは想像力、そして創造力、さらには独創力へ結びつける

飯田 和也

乳児保育の時から大事な保育者の働きの一つに人とかかわりたいという意欲を育てることです。それには、愛されていると感じる心を育てることです。愛されていると感じるには、乳児の時にかわいいなあといわれて愛される感覚を味合わせること、そして、自分は周囲の大人やこどもから受け入れられていると感じるために全員の笑顔が求められます。笑顔があれば自分はかわいがられている、愛されていると感じて笑顔のある相手にそっと近寄っていくのが赤ちゃんです。

保育園・こども園には「養護に包まれて教育がある」という言葉があります。

朝、乳幼児を園に送ってきたときのそのままの姿で帰りに保護者にわたすことです。養護は命を護り、情緒の安定を図り、生理的欲求を満たし、病気にさせないという大人の働きです。五領域の教育である訓練や鍛錬とは異なっていることを認識することです。

乳幼児が甘えたいときに甘えさせ、受け入れる保育が最初といえます。かわいがってあげようではなく、まず、かわいいという心で赤ちゃんを見ると自然と笑顔がこぼれて温かい愛のある雰囲気を醸し出しています。このように乳児で自分は愛されていると感じると次には愛してくれる人にかかわりたいとなります。

すると、その人といたい、同じようにしたいという意欲に結びつき、二歳前から大好きな人とそばにいたい、同じことをしていたい、真似したくなる相手ができてきます。

大好きな人を見つけると「好き」といえないが手をたたいたり、飛び上がったり、頭をかわいい手でなぜてきたり、笑顔が出たり、顔をくっつけてきて「大好き」という表現をします。声が出始めると「・・・」同じように言っているつもりの発声をしたり、片言で△△と言ったり、膝の上に乗ってきたり、かかわろうとします。大好きな人が座っていると同じように座って真似が始まります。さらに、近くにいる友達が優しかったり、同じようなテンポで動く気になるあいつがいるとあとをついていこうとします。

二歳前後では親が笑うと同じように真似して笑い、ゴホン・ゴホンと真似してせき込みます。父親の寝姿そっくりの男の子も見られます。大好きな友達とままごとの道具をもって同じ真似をします。おもちゃの人参を切る姿そっくりに真似します。

三歳・四歳ごろになるとクレヨンの赤色で〇が描けると大好きな子の隣で同じ色で〇を描きます。また、顔が書けるようになると好きな子の隣で髪の毛 茶色を描くと同じ色、眼を黒でグルグル塗ると自分もグルグル真似します。

四歳・五歳なると青い空・灰色の雲、真っ赤な太陽、髪の毛もみつあみと一緒のよう同じ色と形を真似て考える力も見られます。真似て工夫して考えている子を止めるのでなく、真似して発展させることが子育てや教育に求められます。

大人でも同じなのが野球・サッカーでコーチの真似をしてボールの蹴り方、受け止め方、投げ方を力尽きるまで真似で工夫します。倒れるまで真似と練習でプロになりプロの世界で通用するには、人の倍考え、人の三倍努力して自分なりの独創力で生き抜くのがプロで成功する人です。

 

保育のプロとして乳幼児の発達を保障する一つとして模倣を理解したいものです。

1 保育場面でクラスの園児が保育者として自分の真似をしている場面を見つけてください。具体的な場面を記録することで真似したくなる人的環境のモデルになっていることを意識したいものです。園児にとって魅力ある態度が把握でき指導計画の立案に結び付けられます。感想文でなく事実を記録します。

 

2 乳児は愛されていると感じる保育場面があります。養護の働きの一つ情緒の安定を図るに結び付く甘えを受け入れている保育を点検・評価します。甘えたい相手として模倣の原点といえます。クラスの園児が自分に甘えている場面を具体的に記録します。観察力の資質と能力を高める場になります。

 

3 クラスの友達が真似している姿を見つけ、真似している相手のどこに魅力を感じているかを分析して、その魅力は良い箇所としてこどもの姿に記入できます。保育者・大人の見方と違った捉え方を教えられる場が模倣する態度です。

 

4 模倣が一番多いのが『買い物ごっこ・家族ごっこ・〇〇ごっこ』というごっこ遊びに見られます。過去の再現フイルムとしてごっこは、〇〇見立て・▽▽の振り◇◇つもりが見られ、大人や友達とのかかわりが最も多く見られます。生活の中で子どもたちは真似したくなる相手を見つけてごっこに結び付けます。興味あることは鋭く・瞬時に観察してごっこが友達同士で始まります。クラスの中で〇〇ごっこを記録して人間関係のかかわりを観察しグループを決める時に役立ち、保護者にクラスの中で誰と仲良くかかわっているかを伝えて仲間=友達について心配な親に安心させる正しい情報を伝えたいものです。

 

 このようにクラスの子どもたちの模倣する力を捉える保育のプロとして知識を深め、そして子どもが主語になる実践をすることで保護者との信頼関係を築きます。この研修を通して保育の質を高めるチャンスを大切にしたいものです。

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