支援が必要な子どもの理解と心の交流ある対応について
元名古屋柳城短大教授 元東海学園大学特任教授
誠和幼稚園 誠和あい保育園 理事長 統括園長 飯田 和也
身体的に支援が必要な子、言葉の理解が出来なくて支援が必要な子、話すことや身体的表現が豊かでなく支援が必要な子、家庭環境が劣悪で支援が必要な子、集団に入ると不安となり表現が幼くて支援が必要な子、こだわりが強くて人とのかかわりがスムーズでなくて支援が必要な子など様々なタイプがあります。
支援を必要とする子の理解の仕方は、子どもの情報を正しく持つことです。
現場だけで子どもの発達状態を偏ってみるのでなく、様々な場面での言動を把握して客観的に正しい情報から判断することが第一と言えます。
正しい情報を得ない対応によって発達を邪魔してしまうことのないような触れ合いが求められます。家庭での言動、保育集団のなかでの行動と治療機関での行動の個人差があります。
環境により表現する能力が異なる場合があることを把握して、正しい情報をお互いが意見を交換し合うことが大事と思われます。
ドクターは自分の診断が一番重要と周囲に押し付け育て方は〇〇と強要しない配慮、治療機関だけの判断だけで支援するのでなく、子どもの言動や教育場面での人「保育者・教育者・乳幼児とのかかわり」から発達を促されていることも参考にしたいものです。
治療者は自分が一番理解していると治療・療育の方法が正しいと親や教育機関に押し付けることも注意したいものです。教育者は教育こそが大事といった態度でなく治療機関や医師の診断から参考となる意見を取り入れて保育や教育の人とのかかわりに結び付け、保護者と連携を諮り子どもの発達に参考にしたいものです。
お互いの支援する担当者が押し付けたり、受け入れすぎたり、保護者を含めた聴き上手な姿勢により子どもの発達〈自我能力や認知能力〉を促すことが出来る体制が望まれた理解となります。
親が主語、ドクターが主語、治療者が主語、教育者が主語でなく子どもが主語の〇〇〇市・△△園の教育にしたいものです。謙虚に相手の立場を受け入れることで、子どもの発達を幅広く促す温かい雰囲気を教育・福祉の関係者が心掛けることで子どもは幸せな生活を〇〇〇市・△△園で過ごすことに結び付きます。
支援が必要な子どもの正しい情報を各関係者から得て、総合的に子ども理解に結び付け、幼稚園・こども園・保育園が協力して母親の発達支援ができることになり住みよい●●●市になります。
発達支援に参考となる事例を通して保育の点検・評価そして改善へ
演習 利き腕でない方の手の指が三本欠損している年長児への働きかけから
こどもの理解と支援の在り方を検討します。
二人一組になって先生役と子ども役を演じます。発達の方向性である「ねらい」の「楽しむ」の理解と対応について体験します。指が三本欠損している五歳児が自分も友達に手紙を書いて渡したいとなりました。先生役と子ども役を決めて教えあってください。第一回目の体験として先生役は、子ども役に住所と氏名を書かせます。
1 先生役の人は、指が欠損している子どもに手紙で名前と住所を書かせることになりました。「ねらい」として何を立案し、どのような対応をしたらいいでしょうか。実際に体験してみてください。
2 先生役は、環境の再構成として人的環境は問題なかったでしょうか。人的環境や物的環境が子どもにふさわしくなければ瞬時に変更できることが保育の質を高めることとなる専門性と言えます。
3 環境構成の物的環境として配慮は問題なかったでしょうか。
再構成について子どもが主語になっているか点検・評価して改善に結び付けたいものです。
4 この支援が必要な子の三つの柱1知識と技能 2 思考力・判断力・表権力 3 非認知能力「挑戦・我慢して最後までやり遂げる力・思いやり・プライドなど」を卒園までに身につける教育があります。
今回は知能テストで測ることが出来ない非認知能力の挑戦と我慢して最後までやり遂げる力をどのように促したらよいかについて考える演習にしたいと思います。生活のなかで困難に出会っても逃げるのでなく立ち向かう●●●市・△△園の子どもたちのためにも必要な教育の方法になると思います。
改善のポイント
・発達の方向性〈ねらい〉の言葉、例え、指が不自由でも〈楽しむ・味わう・広める・深める・しようとする・感じる〉といった今日上手に字を書かせるという昔の保育から一つでいい・失敗してもいいので書けた喜び、さらにはもっと書きたい意欲を味合わせる保育の質の高さが求められます。
指導したい内容でなく卒園まで上手でないができた、先生や友達に認められたから頑張る力を続けさせながら将来の生きる力に結び付けるのが「ねらい」という考えです。ねらいの本質を理解していない保育者は改善したいものです。
・指が二本しか使えないが、この子どもが持っている能力の二本を活かすための物的環境を見つけて書くもの、鉛筆、ペンを準備するときふさわしい道具であったか点検・評価して、あっていなければ瞬時に環境の再構成をするのが支援を必要としている子への対応になります。
力がないのに鉛筆の色が見づらい薄くて硬い芯で書かせるのではありません。持ちやすく、書けた喜びが体験できる物的環境を再構成するのがプロです。ねらいにあるかけた喜びと書きたい意欲を味合わせる教育を実践できるのが専門性です。
・文字を書いている時に〈もっと頑張れ〉といった支援を点検・評価したいものです。従来の教育は頑張ればだれでもできる・頑張れ・頑張れといった対応でした。頑張っているのを見つけ・そして最後まで頑張る力を見つけ、自分には頑張る力があると意識でき、自覚でき、意欲を持つ体験が与えられることで一生変わる出会いを●●●市で心に残したいものです。
大切な方法は、頑張っているね、疲れたね・痛いね、苦しいね、少し休んでもいいよという共感してあげられる場を見つけ、手を握りぬくもりを気付かせ10年 20年先にこんな触れ合いをしてくれた●●●市の先生がいて生きていこうという意欲に結び付く教育と思います。
演習 眼が不自由な場合
二人一組になって、先生役と眼を閉じて歩く役を決めて部屋の中を歩きます。
歩いた時に先生役は、眼の不自由な相手に対して理解できる言葉をかけましたか。
正しい情報を与える支援が必要な子どもの理解と対応を点検・評価して自分の働きかけの改善にしたいものです。相手の目・耳・手・口・足になろうとすることで支援の必要な子への在り方が理解できます。
自我能力の困難に出会ったときに乗り切る能力を付ける教育のなかでの言葉かけの点検と評価、真っ暗闇で情緒が不安な時の優しいぬくもりと言葉かけをかけられたか養護=命を守る。情緒の安定を図る「訓練や鍛錬でない,教育・健康の五領域と区別」を評価します。
将来つらい時、苦しい時、この先生やともだちが●●●市・△△園にはいたという、心の交流を大切にする支援を必要とする子どもがいます。
改善のポイント
眼が不自由でも他の感覚が鋭くなり、特徴「ただ目立つこと」でなく「他人と違った優れている」特色を見つけ、教育に取り入れる支援が保育の質を高めることになります。 主語は眼の不自由な子どもです。
劣等感を与えるのでなく、鳥の声聴けたね、風の音気づいたね、〇〇先生の声すぐわかったねと耳が鋭くて素晴らしいね、手先が敏感で粘土できれいな〇の形できたね、折り紙で△きれいに折れたね。給食の魚の匂いわかって鋭いねと良いところを見つけ、気付かせ、クラス全員が支援の必要な子どもをほめるなどして温かい愛のある雰囲気を作ることで●●●市の教育の質は高まります。
眼が不自由だから〇〇と決めつけないで、いい点を見つけてそれを伸ばしてくれる先生になることで、地域「●●●市」は保護者を含めて、いじめの少ない子どもたちを大事にしている教育を宣伝することです。
演習 好きな絵上手に描いてから正しい言葉かけを改善します
白い紙に先生から〈白い紙に上手に大きく描いてみてください〉と言われたとき子どもはどんな反応をしますか。本当に子どもを受け入れる教育とは。
1 すぐに自分の描きたいものを描き始める子
2 なかなか描き始めることが出来ない子 このような支援を必要としている時に対応としてどのようにするかを研修します。
改善のポイント 今日上手に絵を描かせようという昔の保育「狭・狂・強・恐育」=技術さえ上手にさせればいいという考えから一年先・小学校・中学校になってから表現の知識・技術を教えられることで上手に描くことが出来るようになればいい、今は上手でなくていいという発達の方向性〈ねらい〉を理解したいものです。
子どもを心から愛していれば心の交流となります。
演習 耳の不自由な子ども〈補聴器をかけている子〉に、してはいけないことの一つ
知能テストでは測ることが出来ない非認知能力=おもいやりを身につける
教育の点検・評価をします。
補聴器を付けている時に嫌な音を聴かせない触れ合いをしたいものです。保
育室で机をひきずる音、椅子を押してガガと出す音が大嫌いな補聴器をつけて
いる子です。
このような音を出さないための約束を保育のなかで伝えます。〇〇ちゃんは補聴器を付けているとみんなが机や椅子を引きずる音がとても大きく・うるさく・嫌な音です。机を持つときは優しく持ってね、二人で持つときも優しく、そっと置いてあげてね。〇〇ちゃんはとても喜ぶから約束をして守ってねということを話します。
また、全員の先生にも机や椅子の扱いを守ることを伝達します。そして子どもたちが優しく持っている時を見つけたら、〈〇〇ちゃん優しく持ってありがとう〉と守っている時にほめることをして受け入れる保育をします。約束を守っている時に当たり前でなく見つけたら、共感することで信頼関係が生まれます。
耳の不自由な子どもは自分を愛している先生を保育室で気づきます。また、静
かに運ぶことで耳の不自由な子を大切にする〈思いやり〉を気づく子どもたちに
なります。
改善のポイント
このように支援を必要としている子どもたちと共に生活していることで人を大
切にするという生き方を理解し身につく教育に結び付きます。
さらには、このような耳の不自由な子どもを大切にしている子どもたちと、愛
されていることを自覚する耳の不自由な子どもに約束を通して思いやりを育てているクラスの方針ということを、保護者の集まりの時に伝えることで全員の保護者と地域に信頼関係ができることになります。
演習 跳びづらい紐を利用して発達の方向性である〈ねらい〉とは何かを考えます。
1 紐の端をもって跳びます その時、先生役は支援をどのようにしますか
2 次に、〇〇跳んでくださいと指導します。
そこでどのように跳ぶか・跳んだかを観察します。その観察力と何を支援で大切にするかが問われます。
三つの柱「1 知識と技能 2 思考力・判断力・表現力 3 非認知能力」を参考にします。縄跳びの知識と技能を身につける教育も大切、そして技能を身につけるために新しい発見や違いを見つけ、自分なりに表現をしている子どももいます。
さらに、チャレンジする力と最後まで頑張る力を見つけることで知能テストでは測れない能力を支援し生きる力を身につける教育が保育の質を高める教育がプロです。
改善のポイント
子どもが縄跳び見てと言ったら「すごい・たくさん跳べたね」というのでなく跳んだ数で何回跳んだかを数えることで〈受け入れてくれる先生・お母さん」となります。また、時々、かぞえてと言ってきたら「持ち方替えたね、疲れてきたときリズム替えたね、足のあげ方考えたね、まわすときゆっくりして長く続いたね」といった自分で発見した思考力、長さが違うのを自分なりに判断して表現を変えたことを気づかせる支援の対応など発達の三つの柱の中身を見つけ、気付かせ、資質と能力があることを子どもと母親に伝える●●●市の教育にしたいものです。
最後の演習
隣り同士で相手のノートを交換しあってください。そしてこの演習のなかで
隣りの先生の〇〇〇〇〇を五つ書いて、自分の名前を相手のノートに記録して
宝物にしてください。
お互いが相手の良いところを言い合うとき、室内は笑顔
と笑い声、温かい眼でみつめあう雰囲気が漂います。
このような愛のある空間が保育・学校で先生が作ることが出来れば●●●市の親も子どもも虐待のない
幸せな心で毎日が生きていくことが出来ると信じています。