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保育の基本119 新任に点検評価、そして改善を伝える。「新任研修」

                          東海学園大学  飯田 和也

 

 新任は保育実践で何が良いか、何が悪いか理解できなく夢中で過ごしている実態があります。援助する時の言葉の掛け方・保育室での立つ位置・教材の与え方・職場での人間関係・母親への対応など様々な保育場面で見られます。

 

 新任を含めて保育士は保育所保育指針を理解し、第何章には何が書かれているかぐらいは把握して、保育課程を基本に指導計画を立案し、自分の園の理念・目標・方針にふさわしい保育実践をしなければなりません。

 

指針を読んだからわかっている、説明を受けたから知っている、もう聞かなくて良い、これ以上必要ないというわかろうとする態度がなかったり、研修会で理解しようと言う姿勢がなく、受けようとしない気持がない場合は保育の質を高める態度に結びつきません。

 

 保育指針第三章でねらいは目標をより具体化したという説明を理解しなくて勝手に考えた「ねらい」特に活動のねらいではありません。目標をより具体化とは子どもの発達を園全体が考えて今日上手に出来なくて良い、次に上手にできるようになれば良いという発達の方向性を捉えている考えです。

 

 また、発達を大切にするには保育所保育指針の第二章に子どもの発達で「子どもは環境を通して相互作用で発達をする」と述べています。乳幼児へは自分からかかわりたくなる物的・人的・雰囲気を保育者がつくることです。園の施設・設備、モデルなどを通して挨拶する姿、教材を通して考える力が発達するということです。

 

 そして四月でおおむね○歳と言う発達過程を取り上げ、ねらいや内容、発達支援に参考とします。特に、クラスには到達目標でない考えの実践をするため、毎月誕生を迎える子どもたちがいます。次のおおむね○歳は誕生を迎えることで、つながって発達しているという考えを利用することになります。一年間の保育実践でここまで到達させるという考えでなく発達は続いていますよと言う発達過程という成長・発達することをねらいや内容に取り入れる事が大切と説明しています。

 このようなことを理解しないで勝手に保育指針を解釈しないことが新任を含めた保育士の保育の基本です。

    新任を含めた保育士は保育内容「五領域が偏っていないか」点検・評価します。

自分にとって好きな・得意な領域だけを取り上げて不得手な五領域の内容が少ない事を園長や主任に点検・評価してもらうことです。ピアノが苦手なために手遊びが多くなって、歌を覚えピアノやオルガンを用いた指導していない実践となり、一年間でクラスの子どもが歌う曲が極端に少なくなってしまう事が見られます。クラスによって偏りが見られ曲を覚えていないために、次の年度に持ち越している事を主任は必ず知的発達の保障をしているか点検・評価したいものです。同じように絵を描く体験が少ないクラスがあり、壁面に飾ってある絵に色の使い方・イメージの豊かさ、筆圧の強さ、自由に描く表現力の豊かさが異なっているかを点検・評価したいものです。

 

このように保育者の得手・不得手により発達を身につけることで差がないように園長・主任は評価する力を持たなければなりません。保育者の保育実践の偏りによって保護者が保育に対して不満をもつことと、子どもの発達を保障する事ができなくなる事を新任・保育者は理解することです。

 

新任は、クラス全体の発達が偏っていないか五領域で評価し偏りを改善します。自分の保育内容の技術が低い事を素直に自覚し、子どもの発達のためには今後努力するという姿勢を周囲に示す事です。このような新任に対して、園長・主任は、保育内容の知識も技術も高める努力が必要という助言とチームワークが大切となります。

 

ピアノの技術が低い新任には、伴奏の弾き方で簡単な弾き方を園で教えられる先輩と組み合わせてほめ上手な援助をします。絵画や制作が苦手な新人には、絵を描く事や折り紙壁面装飾などにセンスのある先輩と仲間にする配慮も大切です。このように新任の偏った実践を点検・評価したならば、園の組織としてバランス良い保育実践ができるための改善を常に全体でしたいものです。

 

    環境構成「物的・人的・雰囲気」の点検・評価そして改善へ

物的環境構成として、机と椅子の置き方や並べ方が子どもの眼や耳になっているかを点検・評価します。特に、主任や先輩から客観的に観察してもらうこと。

机の並ばせ方がサインをだしやすい配置になっているか。「子どもの行動が見やすいコの字になっていたり、保育者も子どももサインが見やすい先生と子どもが並行になっていたり、体格にふさわしい机やいすの高さである事、しかし、机の配列が島になっていると子どもに背中を向けることになります。するとお互いのサイン「先生と子ども・子ども同士」を受け止めることができない等を点検・評価することです。

 

点検する時に、落ち着きのない・フラフラしたり・飛び出たり・じっと聞く態度が育っていなくおしゃべりの多い場合が見られたら、新任はクラスの子どもたちの発達を愛していないという事を反省します。それは、一生懸命知識や技術を身につける教育に眼をむけすぎて「発達の方向性」『発達過程』を参考にした『ねらい』を捉えていない発達支援の偏りを実践している自分を見つめたいものです。

 

自分の「大人の」都合の保育実践している事を点検・評価します。新任は、自分のクラスの子どもたちが『言葉で言い表す事ができない悲しみ・苦しみ・怒り・嬉しさ・悔しさ』心情を理解した共感していないことを反省したいものです。

 

必ず子どもの眼・耳になってみようとする姿勢で共感し、一人ひとりの発達を愛する保育に結びつくことでクラスの温かい雰囲気があり、愛されているから先生や友達の話をじっと聴く態度が生まれ改善になります。

 

    椅子が騒ぎやすい・クラスから飛び出したくなる並ばせかたになっていないか点検・評価します。新任はただ椅子を置けば良い、自分の都合で並べておけば良いという物的環境を準備する場合があります。

「隣り同士が近すぎるとつっついたり、触ることでちょっかいとなり騒ぎやすい並ばせ方かを点検・評価します。また、気になる子が隣に座ることも点検・評価します。」さらに、室内装飾が年齢に相応しい雰囲気であるか。「大人の感覚で子ども無視の飾りになっていたり、アニメであればいいとマンガばかりで落ち着きのない飾りであるか」を点検・評価したいものです。

 

季節感を味わう飾りになっているか。保育室が季節にふさわしい装飾かも点検したいものです。造って飾ったらそのままで埃だらけでは、愛されていると感じることができません。乳幼児の眼になって周囲を感じることができないと、環境構成が子どもに対してクラスにいる安心感・座っている安定感など温かい雰囲気をかもしだすことになりません。

 

    下に危険な箇所

(段ボールや普段使わない道具箱、かご、遊具置き場、廊下の床が滑りやすいかどうか)点検・評価します。(雨が降った時に湿って滑りやすい状態・すり減ったために引っ掛かりやすい状態、転びやすい材質)柱に安全策が施してあるか「転んだ時にぶつかって怪我をしやすい状態の柱」、子どもの扱いやすいタオルかけやかばんかけが設置してあるか。

 

 かかわりたくなる物的環境として遊具や道具が配慮してあるかどうかを点検・評価しなければなりません。養護の基本である命を守るための安全な環境、病気にさせないための保健衛生的な環境を新任は常に考える事が保育のプロです。

 

    人的環境として保育者のモデル、また、ともだちのモデルがかかわりたくなる人的・グループを配置しているか。かかわりたくなる姿をどのように保育者が気づく感性を持ち、周囲の環境を気づかせる保育ができているか点検・評価します。

環境構成として保育者が発表会の練習で踊りの時、小道具を置き忘れて子どもが踊れない場面が見られました。先生に「どうして踊れなかったの」と問いかけると「子どもが踊れませんでした」という言葉が返ってきました。子どもが踊れなかったのは保育者が「小道具をどのような時に準備する演出かを間違えたり」「自分が子どもの立場になっていなかったり」「先の演技を考えていなかった」と言うことであって子どもの立場で動けなかったということになります。

 

複数の先生が指導している時に「小道具を忘れない打ち合わせ」が大切です。誰かがやってくれるという安易な気持ちは発達を保障することはできません。時々子どもの眼や耳や手・足になろうとする姿勢で環境を点検したいものです。そして、環境構成が子どもにとって相応しいかを具体的に指摘する園長・主任でいたいものです。

 

雰囲気の点検・評価

新任や経験の浅い保育者のクラスで「ありがとう」がとびかっているかを点検・評価することで「温かい愛のある雰囲気があるか」評価できます。「保育者がありがとう」の言葉を使っていれば子どもたちは先生から受け入れられ・認められ、自分も周囲の大人や子どもたちに「ありがとう」という態度を示すことに結びつきます。

 

同じように保育者の「笑顔」が満ち溢れているかを点検・評価したいものです。それもニタニタとした笑いでなく(心から子どもが大好きという態度から与えられる)愛に満ち溢れている笑顔を点検・評価したいものです。子どもは環境を通して相互作用で発達するという言葉を理解します。

 

又、発表会などの場面で子どもの行動に対して、先生としてマイクで「コメント」を述べる場合があります。そのような時に保育者の都合でコメントをすると観客として聞いている方は、楽しい気分になれません。「子どもの心」になってコメントしている場合は「子どもは可愛い」という雰囲気が伝わり、聴いている大人は明るく・楽しい雰囲気になります。しかし、(ハイ、並んで。おじぎして)と先生として動いて欲しい都合の言葉をかける場合は冷たく感じます。

保育場面を説明する場や時を与えられたなら温かい雰囲気を出すような配慮をしたいものです。

発達支援のあり方「問い・助言・見守り・励まし・慰め・・」などあります。しかし、命令・指示の言葉が多すぎていないか点検したいものです。また、子どもの心情「言葉に言い表す事ができない喜怒哀楽」に合った共感の言葉があるかを点検・評価し、出来た喜びや充実感を味あわせ生きる力に結びつけたいものです。自分の指導計画に共感するという記入があった場合にハートマークをつけ、その根拠を考えてみると実践が変容します。

 

    子どもの姿の捉え方が偏らないことも重要になります。

時々子どもの姿から今年の子どもたちは外遊びが少ないがどうしてかを探ると、外遊びが好きでないクラス担任と言うことが見られます。外であそぶことより保育室で折り紙を折ったり、絵を一緒に描いたり、部屋で○○ごっこを楽しみたいという担任の行動は室内遊びに偏っている場合があります。

 

それによって室外の遊びが消極的となっている場合も点検・評価したいものです。このような保育実践を主任から指摘されたなら素直になって自分の癖を直そうと外遊びをしようとする努力が求められます。子どもからの発達のサインを見つける眼が保育のプロになります。新任は五領域やおおむね○歳で時々チェックする姿勢も大切になります。

 

    教材の選択「歌・手遊び・折り紙・粘土・はさみ」年齢に相応しい教材の与える時期であるかを点検・評価してもらうこと。

 

    新人は教材を与える時に園の方針を理解し年間指導計画や前年度の月間指導計画を参考にして共通の保育観に沿って選択したいものです。子どもの発達を理解できるベテランになるまでは、指導計画を参照し真似してでも時期・季節・年齢にふさわしい教材を選択したいものです。特に、一年間の教材研究が新任には求められています。教材研究の研修会には積極的に参加することと、子どもの発達を会得する努力が新任には大切といえます。

 

    新任保育士とベテラン保育士の連携の配慮

「新任は謙虚で素直であること」「ベテランはほめ上手で相手を受け入れ・認めて多くを望まない事」新任は保育の知識や保育技術が就職した園の方針を理解し実践できるまでの能力に届いていない場合があります。そのような時にベテランが次々と要求をだすと自信がなくなり、意欲をなくしてしまう態度となります。

 

得意な保育技術を一つでいいから認め、受け入れ、褒め、自信をつける態度が望まれます。しかし、新任が理解できないことを聴きたいという雰囲気を作っているかベテランの態度が評価されます。いつも頭ごなしの上から目線で言葉をかけられている新任は何か疑問を持っていたとしても「どのように言葉をかけたら良いか判断できない事」が多く見られます。質問する中身が理解できない場合は具体的な事例を言ってあげないと質問できません。

 

それにはベテランが新任の性格や能力をよく観察していないと通じません。

 

    新任保育士と経験の浅い保育士の連携の配慮

「お互いのいい所をほめあう保育観」年齢が近いことでライバル意識となる場合が見られます。お互いの長所を見つける眼があれば良いが、相手を受け入れる姿勢がないと長所は見られません。また、良く相手を観察する力がないとほめることができません。

 

 この保育者同士がほめる姿を示し、説明することで周囲にいる子どもたちは人的環境としてモデルとなり子ども同士がほめる姿に結びつきます。このようなクラスの中で受け入れ・認め合う人間関係のある態度が温かい愛のある雰囲気を作り出すことを新任には示し・説明が求められます。学生時代のような独りよがり、自分さえ良ければ良い、自分を認めてくれる職場であれば良い、今までのようなホイホイしてくれる場であれば仕事できるという姿勢でなく、

 

子どもを通して大きく成長・発達できる生きがいのある職場と言う意識を持つ事が保育のプロになります。

 

    母親への対応

 新任には「自分は何でも知っている、出来るという態度は慎む事」「母親の辛い事・苦しい時を受け入れる気持ちを持つ事」さらに、「聴き上手になること、お母さんやお父さんのためにじっくり時間を割いて聴いていますよ、それも心をこめて聴いています」という対応が望まれます。

 

新任はクラス担任として、必ず朝の視診をすることで母親と家庭での状況を把握することです。クラス担任として責任を持って子どもが朝来たそのままの姿で返すこと、親に渡すには家庭での状況を登園してきた時に確認し理解することです。他の先生が聴いているから良い・誰かが受け入れているから良いという態度やこの母親は言っている事が理解できないから聴きたくないという態度を示さない事です。

 

子どものために「聞こうとする姿勢」が重要になります。「受け入れる態度がないと」保育中に気分が悪くなったり、熱があがったり、体調が悪くなった時の対応が遅れることになり、重大な事故に結びつくる場合を避けなければなりません。母親との信頼関係確立する努力がプロです。 

具体的に判る言葉を使う事

『大丈夫ですよ』『がんばっていますよ』『問題ありませんよ』『わあ・上手』『可愛い』といった自分しか理解できない言葉は使わない事。

 

    業務上過失致死罪逮捕にならないため「予想される活動を把握する

保育室や園庭で自分の受け持ちの子どもたちは「遊具や友だちとどのようにかかわるか」を毎日の姿を把握していることで予想できなければならない。予想出来れば保育者として何処に立っていれば怪我をさせない保育実践ができるか見通しをもつことになります。

 

また、誰かが見ているだろう・言葉をかけているだろう、なんとかなるだろうという安易な保育をしない事が重要になります。プールで園児が浮かんでいる事を把握しないで死亡させた場合、散歩の最中に車にはねられて死亡した場合、滑り台の高い場所から落ちて死亡した場合など指導計画にどのような立案「内容に注意」ができていたか責任を問われる事になります。

 

又、保育者がどのように安全確認のために配置していたか安全計画ができていたかなど問題視されます。

日常の保育場面の例として、専門家の体操の時間で保育者がどのように動くかなども点検・評価そして改善しなければならない場合があります。

 

子どもがくっついた状態で並んで体操していると隣り同士がぶつかって危ないと感じることが新任には重要です。感性の鈍い保育者にはなぜ危険かと言う根拠を示し説明しなければ保育の実力や質を高める事は出来ません。

 

子どもたちがぶつかるような隊形ややりづらい状態、そして危険な場面から環境の再構成としてぶつかる状態を広げることにしたいものです。このような保育場面の観察を保育士は瞬時に見つけ危険を感ずる能力、そして人数が多い・この空間では狭いと情報をいれること、子どもの能力では大きな怪我をするので広げる保育をしなければならないという、意思を使って判断することが重要です。

 

特に園長・主任・先輩の保育者は根拠具体的に説明する事で次への改善と結びつきます。新任は知識が不足している事を理解します。リーダーが黙っていては、新任は保育知識も技術も高める事に結びつきません。

 

人的環境(モデル)の例として、体操の指導者が年少児組の子どもたちに片足ケンケンの動きを説明している時、保育者は子どもと一緒になりモデルとして片足ケンケンをすることは必要であるが、周囲にいる子どもの発達支援をしないで、子どもと一緒に片足ケンケンをすると子どもの発達を保障しない保育と結びつく事を理解しなければなりません。

 

保育者は体操のような保育場面で、子どもに怪我をさせないために動きまわり・子どもの出来たところを具体的に共感する働きが求められています。ただ子どもと一緒に体操して見ているのは保育のプロではありません。新任の保育者に対して園長や主任は、子どもの発達を身につけるために教育している事をわかり易く認識させなければなりません。

 

 新任には、机上の勉強とは違う事を指導計画や指導方法において各園の理念・目的・目標・方針を具体的に詳しく・時々示し、説明する必要があります。

最も求められているのは、新任を育てようという温かい愛のある雰囲気が日本中の職場環境に必要と言えます。

 

 新任には、失敗しても大きな失敗しないでね。

多くのことを完璧にしようと自分に与えないでね、一つで良いから得意な知識・技術を見つけ自信もってね。

子どもを可愛いと思って見つめ、笑顔を大切にしてね。

この仕事ができることで困難を子どもから乗り越える力を与えられていることを感謝してね。

有難うをいつも忘れないでね。

 

 参考資料 飯田和也の指導計画記入ポイント 指導計画の考え方と記入例

 

 参考文献 一人ひとりを愛する保育 北大路書房 ねらい・内容・環境構成・予想される活動のわかりやすい説明・解説書

      一人ひとりを認める保育 北大路書房  指導計画の書き方の具体的事例と解説書

 

 この資料をより具体的に学ぶ演習のあり方は保育の基本121となります。

節分を行いました

昨日、赤鬼・青おにが朝、体操・マラソンをしてスポーツセンターまで行き・そして縄跳びをしたあと幼稚園に戻ってくる途中に出合いました。子どもたちは片足の靴を脱げたまま逃げる子、靴のまま部屋に飛び込んできた子、縄跳びを放り出して部屋に逃げる子等様々でした。

そして、鬼たちが金棒を持って各部屋を周り、泣き虫はいないか・意地悪はいないかなどに対して子どもたちは豆まきをして大騒動でした。最後に全員で「鬼は外」と豆をまいて追い払いました。

子どもたちは鬼が怖かったと様々な表情が見られました。このような行事を通してひとつひとつ子どもたちの成長が見られます。これから生きていく上で困難を乗り切る、一生の宝ものにしてほしいですね。

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