飯田 和也
昭和の保育には、指導計画の中に物的環境の立案だけで人的環境がありませんでした。しかし、平成の保育になってから『子どもは環境との相互作用で発達する』という環境にかかわることで様々な発達することが大切と言う考えが重視されました。
従って指導計画には物的環境だけでなく人的環境としてモデルが立案されるようになりました。さらに、ただ物的環境として教材を置くだけでなく人的環境を含めた温かい愛のある空間を立案し、実践することの重要さが乳幼児の発達に求められという考えができました。
自分から様々な環境にかかわると言う自発的・主体的な環境を構成することで、子どもの身体的・知的・情緒的・社会的・道徳的発達を保障する保育が重要という考えです。
このような幼児教育を将来の生き方に結びつくように、乳幼児に身につけさせることが立案と発達支援を明確にする必要があります。
乳幼児は自分ひとりだけが良いという生き方でなく、困難な場面に出会っている友達、苦しい時の人々、悲しんでいる時の家族、物が少なくなっていく地球に対して助け合う知恵を生み出す力に結びつけなければなりません。
この考えは、公立保育所でも民間保育園でも創設の根本である理念に人や物、人類や地球を大事にする生き方を望んで創設されているはずです。
お金儲けや創立者だけのための児童福祉施設ではないはずです。保育所全体がすばらしい愛の雰囲気に満ち溢れているためには、全職員が乳幼児の幸せを願っている人的環境の重要さを確認する必要があります。
この愛のある人的環境として雰囲気を含めて立案されることで乳幼児は『生きる喜びを味わい、生きる力を身につける』ことになります。
乳幼児の発達を理解する時、保育者として忘れてならないことに自我能力と認知能力を把握することで指導計画の立案が異なります。
幼児期の発達の特性の中に「遊びを通して育つ」では「子どもは遊びを通して、仲間との関係を育み、その中で個の成長も促される」という文章があります。
保育者に命を護られ、情緒の安定をされ、保健衛生な環境と生理的欲求を満たされ、養護に包まれながら次第に子ども同士が遊ぶようになり、一人遊びから集団的な遊びに発展し、人とのかかわりで楽しさや苦しさを学び自立していく場が保育と言えます。
保育者は子ども同士のかかわりが出来るような橋渡し「ブリッジ」をする役目があります。保育者は子どもが生きている最後まで教えたり、手伝ったりすることができません。様々な環境を立案して準備して、新しい環境に対して自分で乗り越える力を身につけるのが教育と言えます。
縄跳びの場面で説明するならば、何のために縄跳びを保育の内容に立案したかと言うことです。縄跳びを上手に跳ぶだけでは、子どもたちは自分から様々な物的・人的・雰囲気にかかわり生きる力の基礎にならない場合もあります。
人的環境の立案として『先生が縄跳びを上手に跳ぶ姿を示すとか見せる』という指導計画があります。このような人的環境も縄跳びの保育の内容には大切となり、
ただ『縄跳びをとりだしやすいように準備する』という子どもが縄跳びにかかわれば良いという物的環境の保育だけでなく保育者も共に縄跳びにかかわり楽しむ姿を示したり、見せることで主体的になると言うことで重要な立案と実践に結びつきます。縄跳びを跳ぶことが出来る子にとっては、先生のように上手にもっと跳びたいと言う意欲を持っている子もいます。
しかし、まだ「前に出してぴよん」というレベルの子どもにとっては、『あ、そんなに自分は跳べない』という場合の時もあります。そのような時に、モデルとして先生が失敗をする姿を見せることで「先生も失敗するんだ、自分でもできないがちょっと跳んで見よう』と言う意欲になる場合もあります。
従って、上手に跳ぶ姿だけでなく失敗する姿から自分でもかかわりたくなる雰囲気を作ることが保育のプロとしての人的環境の立案と実践になります。
ここで重要な実践は、いつも失敗ばかりしている保育者ではありません。普段は上手に跳んでいる姿を示すから効果が上がるということです。それも先生自らが楽しんで一緒に跳ぶことで温かい愛のある雰囲気が育っています。
一生懸命になって縄跳びを上手に早く跳べば良いという保育でなく、縄跳びは最初から出来ないが縄を触るだけで良い、またぐだけで良い、そして縄跳びを半分にたたんでそれを跳ぶだけで良い、△・○・□にして中に入ったり、出たりして跳ぶだけで良い、そして前にだしてぴょんとするだけで良い、ぴょん・ぴょんしてその場で跳ぶときに縄跳びを一回くぐらせるだけで良いという
縄跳びの跳ぶ技術や教える知識を保育者は会得・熟慮して『縄跳びを取り出しやすいように準備する・人数分用意する・少なめに用意する』そして「保育者が子どもと一緒に楽しそうに縄跳びを跳ぶ姿を見せる・時々縄跳びに引っかかって失敗する姿を示す・子どもが跳んでいる様子を優しく見守り認めて数える姿を周囲に示す」といった人的環境を立案し実践することです。
子どもの発達のために縄跳びを通して自我能力として「縄跳びが跳ぶことができるには苦労が必要、友達のほめてくれる力が大切・先生の慰めや励ましがあって楽しく跳べるようになる」という縄跳びはむずかしいが身についたときには、自信・自立・意欲に結びつく教育となる立案と実践を考えることです。
そこには、縄跳びの場面から将来の生きる力として様々な辛い・苦しい・嫌な人や出来事の環境に出会っても乗り切る知恵を身につけることになります。
当然、縄跳びを跳んだときに共感してくれた、先生や友達がいるから乗り越える力に結びつくことが重要になります。保育者の人的環境の立案と何故実践が発達に結びついているかを理解したいものです。