東海学園大学 飯田 和也
保育所保育指針第6章保護者に対する支援として、保育所における保護者に対する支援・入所する保護者に対する支援・地域の子育て家庭への支援について職員間の連携を図ることが述べられています。特に、保育士が勝手な考えで対応すると保育所と保護者との信頼関係が確立されません。日常の保育業務を行う中で保護者対応に対する共通な考えが求められています。各園の理念や目標、方針により対応が異なりますが、基本的なことをまとめてみました。
・ 温かく明るい雰囲気 朝一番に子どもたちに笑顔で明るく元気な挨拶が求められます。ここで重要なことはただ明るく元気があるというのではありません。温かくという中には(笑顔)が大切になります。それも心から乳幼児を可愛いと思って見つめるまなざしで営業の笑顔ではありません。保護者からはわが子を見つめる保育者の温かい笑顔があることで、安心してこの先生には預けることができるとなります。また、テキパキハキハキとした態度をすることで保護者は快い印象をうけることになります。保育室や園庭でノロノロしたり、ダラダラした行動でなくすばやく物を片付けたり、子どもと一緒に元気よく明るい態度で遊ぶ姿からこの保育者に預けても大丈夫という感覚になります。
・ 身だしなみ 保育者としてすがすがしさ、さわやかさ、清潔感、化粧のしすぎや香水・イヤリング・指輪など乳幼児に刺激しすぎるものや危険なものは厳禁です。
・ 言葉づかい 子どもや保護者に「ありがとう」周囲にも(ありがとう)の言葉があふれている雰囲気を全員の職員が心がけることで保護者は受け入れられている、認められていると言う気持ちになります。それも明るく・丁寧に伝えようとする心が求められます。聞き取れないような小さな声や早口には注意します。
・ 電話は周囲四メートル範囲の音をキャッチしています。同僚が電話している間はゲラゲラと笑ったり、大声で話さないことです。電話の相手は、すべての声や音、ざわついた雰囲気を聞いています。特に、子どもの名前を電話中にしゃべらないことが原則です。守秘義務を護るためです。保護者に電話をかけるには時間帯を考え、話したいことはメモして、明るい声で、ゆっくりと、相手の言葉を復唱します。
・ クラス便り、連絡ノート、手紙などは誤字・脱字がないことです。保護者に伝えるときに「一文ひとつ」と言った簡単明瞭な文章が求められます。ダラダラと何が書いてあるか理解できない文章はやめることです。また連絡ノートには「お宅の○○ちゃんが悪かった」「・・を注意してください」といった後々までいやなことが残るような文章はやめたいものです。入園や四月のときに比較すると「○○ができるようになり身体発達が見られますね」「はっきりと○○が言えるようになったり、工夫して・・を作る場面ができ知的発達が見られてうれしいですね」「友達の○○ちゃんと・・してあそぶなど社会的発達があります」と言った四月からの発達の変容した姿を具体的に伝えることで、保護者はここまで見てくれる先生に出会った喜びを味わうことで安心してわが子を任せることになります。保護者には具体的な文章で発達を理解しやすいことが望まれます。発達とは、保育所保育指針第二章子どもの発達に書かれていることを会得していなければ具体的に保護者に伝えることはできません。子どもは環境を通して相互作用で発達すると子どもの発達特性の中身にある人への信頼感・環境へのかかわり・子ども同士のかかわり・個人差・遊びを通して育つという言葉のように保護者から保育所と保育者を見て「わが子がすくすくと元気よく安心して生活し、将来困難を乗り切る力と主体的な行動を身に付ける環境が揃っていること」このような保育者集団であることを願っています。
・ 保護者の職業や社会的地位などによる偏見による態度をしないことです。保護者のわが子に対して愛して欲しい、いつも見ていて欲しい、可愛がって欲しいという気持ちは全員一緒です。行事のときに偏らない役を与えることが最も求められます。一年間を通して必ず目立つ場には平等に与えていると言う方針を保護者に示し、説明することです。当然クラス運営のときに子どもたちにも、一年間で大事な場面は交代しますという説明はしていなければなりません。劇の役や楽器の選択などで子どもの意見をそのまま取り入れないことも重要です。教育的配慮をするためにも子どもの性格や能力など把握して全体のバランスで企画することが大切です。
・ いつも活き活きと新しい知識や技術を追い求めている姿があることです。保護者は預かっていればいい、時間さえ終わればいい、定年まで働いていればいいという態度、昭和の保育の中で問題な保育として、できる子だけを可愛がり、できない子には劣等感を与えることを平気でしている保育所や保育者には安心して任せることができません。園内研修や様々な研修を通して保育の技術や知識を高めようとしている保育者の集団、保育の質を見抜きます。職員間が切磋琢磨して発達の知識や子どもの支援のあり方を勉強している姿を見ることで信頼します。園内研修会や様々な研修をしている姿を保護者に示し、説明することで家庭との連携ができます。
保護者に子どもを授かった喜びを具体的に伝えるため、子どもの発達を見つめ、子どもに気づかせ保護者に具体的に伝える保育を大切にしたいものです。