56)「幼保一体化とこれからの保育者養成」

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東海学園大学    飯田 和也


 保育所保育指針第6章保護者に対する支援として、保育所における保護者に対する支援・入所する保護者に対する支援・地域の子育て家庭への支援について職員間の連携を図ることが述べられています。特に、保育士が勝手な考えで対応すると保育所と保護者との信頼関係が確立されません。日常の保育業務を行う中で保護者対応に対する共通な考えが求められています。各園の理念や目標、方針により対応が異なりますが、基本的なことをまとめてみました。



  温かく明るい雰囲気 朝一番に子どもたちに笑顔で明るく元気な挨拶が求められます。ここで重要なことはただ明るく元気があるというのではありません。温かくという中には(笑顔)が大切になります。それも心から乳幼児を可愛いと思って見つめるまなざしで営業の笑顔ではありません。保護者からはわが子を見つめる保育者の温かい笑顔があることで、安心してこの先生には預けることができるとなります。また、テキパキハキハキとした態度をすることで保護者は快い印象をうけることになります。保育室や園庭でノロノロしたり、ダラダラした行動でなくすばやく物を片付けたり、子どもと一緒に元気よく明るい態度で遊ぶ姿からこの保育者に預けても大丈夫という感覚になります。


  身だしなみ 保育者としてすがすがしさ、さわやかさ、清潔感、化粧のしすぎや香水・イヤリング・指輪など乳幼児に刺激しすぎるものや危険なものは厳禁です。

  言葉づかい 子どもや保護者に「ありがとう」周囲にも(ありがとう)の言葉があふれている雰囲気を全員の職員が心がけることで保護者は受け入れられている、認められていると言う気持ちになります。それも明るく・丁寧に伝えようとする心が求められます。聞き取れないような小さな声や早口には注意します。

  電話は周囲四メートル範囲の音をキャッチしています。同僚が電話している間はゲラゲラと笑ったり、大声で話さないことです。電話の相手は、すべての声や音、ざわついた雰囲気を聞いています。特に、子どもの名前を電話中にしゃべらないことが原則です。守秘義務を護るためです。保護者に電話をかけるには時間帯を考え、話したいことはメモして、明るい声で、ゆっくりと、相手の言葉を復唱します。


  クラス便り、連絡ノート、手紙などは誤字・脱字がないことです。保護者に伝えるときに「一文ひとつ」と言った簡単明瞭な文章が求められます。ダラダラと何が書いてあるか理解できない文章はやめることです。また連絡ノートには「お宅の○○ちゃんが悪かった」「・・を注意してください」といった後々までいやなことが残るような文章はやめたいものです。入園や四月のときに比較すると「○○ができるようになり身体発達が見られますね」「はっきりと○○が言えるようになったり、工夫して・・を作る場面ができ知的発達が見られてうれしいですね」「友達の○○ちゃんと・・してあそぶなど社会的発達があります」と言った四月からの発達の変容した姿を具体的に伝えることで、保護者はここまで見てくれる先生に出会った喜びを味わうことで安心してわが子を任せることになります。保護者には具体的な文章で発達を理解しやすいことが望まれます。発達とは、保育所保育指針第二章子どもの発達に書かれていることを会得していなければ具体的に保護者に伝えることはできません。子どもは環境を通して相互作用で発達すると子どもの発達特性の中身にある人への信頼感・環境へのかかわり・子ども同士のかかわり・個人差・遊びを通して育つという言葉のように保護者から保育所と保育者を見て「わが子がすくすくと元気よく安心して生活し、将来困難を乗り切る力と主体的な行動を身に付ける環境が揃っていること」このような保育者集団であることを願っています。


  保護者の職業や社会的地位などによる偏見による態度をしないことです。保護者のわが子に対して愛して欲しい、いつも見ていて欲しい、可愛がって欲しいという気持ちは全員一緒です。行事のときに偏らない役を与えることが最も求められます。一年間を通して必ず目立つ場には平等に与えていると言う方針を保護者に示し、説明することです。当然クラス運営のときに子どもたちにも、一年間で大事な場面は交代しますという説明はしていなければなりません。劇の役や楽器の選択などで子どもの意見をそのまま取り入れないことも重要です。教育的配慮をするためにも子どもの性格や能力など把握して全体のバランスで企画することが大切です。 


  いつも活き活きと新しい知識や技術を追い求めている姿があることです。保護者は預かっていればいい、時間さえ終わればいい、定年まで働いていればいいという態度、昭和の保育の中で問題な保育として、できる子だけを可愛がり、できない子には劣等感を与えることを平気でしている保育所や保育者には安心して任せることができません。園内研修や様々な研修を通して保育の技術や知識を高めようとしている保育者の集団、保育の質を見抜きます。職員間が切磋琢磨して発達の知識や子どもの支援のあり方を勉強している姿を見ることで信頼します。園内研修会や様々な研修をしている姿を保護者に示し、説明することで家庭との連携ができます。


保護者に子どもを授かった喜びを具体的に伝えるため、子どもの発達を見つめ、子どもに気づかせ保護者に具体的に伝える保育を大切にしたいものです。

  「乳幼児の最善の利益を理解し現場に指針を活かす教育が求められる。」

 

                飯田 和也 (東海学園大学)

 

 養成校として保育現場に指針を活かす方法を学生に伝えることが求められます。今まで幼稚園教育要領や保育所保育指針を学生に説明するだけで保育の現場がどう活かしているか、どのように教育課程や保育課程を作成し指導計画に結び付けているか実践できる質の高い養成教育を自己点検・自己評価し改善するチャンスと言えます。また、幼保と教育の一体化の中で「養護と教育の一体化」を見直すことです。養護の土台の上、養護に包まれて教育があるが根本になります。この考えは地震の後の津波の例で説明できるように乳幼児や障害児の命を護り、情緒の安定を図ることを保育者がすること、子どもの命の大切さを身につける教育をする前に先生が行うことを改めて確認したことになります。しかし、保育所保育指針の養護の機能について理解していないため五領域「健康」と混同している保育関係者は改めることです。特に、はっきりしたのが命を護るために地震のとき、そして、すぐ津波が押し寄せてきたときの保育者の行為のあり方です。ある園では、津波のとき一番高いところに子どもを押しあげ、先生はピアノの上に乗り、真っ暗な中で押し寄せては引く津波の恐怖と戦い、体育館ではずぶぬれの中で押し寄せる波間に遺体を見ながら死の恐怖を体験した現実があります。自分で動けない乳児・状況を判断できない子どもや障害児、肢体不自由な子を抱いたり、手を引いたり、わかる言葉をかけて命を護ることが養護で命の大切さを気づかせる前に保育者が命を護ることを実践することです。様々出版している本の養護に「身辺自立が出来ている」「危険を察知して命の大切さを身につけた」と説明していた保育関係者は大いに反省しなければなりません。幼保の一体化において養護は命を護り、情緒の安定を図ることが幼稚園・保育園また子ども園と言われる総合施設に朝来て帰るまで保育者が行うことで、乳幼児は命を護られ安心し生きる喜びを温かい愛のある雰囲気の中の養護に包まれて教育が与えられ、生活し遊ぶことができ生きる力を身につけることになります。この教育は、津波と言う困難に出会っても乗り越える能力を身につける生き方、保育者や友達から愛され、受け入れられ、認められているから忍耐する態度、人や物を大切にする心、そして自分から○○するという主体的に生きる力を身につけることです。しかし、指針を理解する中に教師主導である教育が中心になると昭和の保育であった望ましい活動に戻り、指導計画立案の『ねらい・内容・環境構成・予想される活動・援助』といった子どもの発達を大切に出来ない言葉が溢れてしまいます。例えば『ねらい』は発達の方向性として理解しない保育者が使用している到達目標のような言葉として『知る』『参観する』『世話する』といった「知らないから早く知らせることがいい」『参加しないから参加させたい』「世話しないから世話させたい」という出来ること、理解させたいこと、それも一斉にさせたい保育実践となります。乳幼児ができないとき、見ているとき、そばにいるだけでいいとき、匂いを嗅ぐだけでいいという時期があり、言葉に言い表すことが出来ない喜怒哀楽『心情』を大切にしない保育となります。ねらいには『心情・意欲・態度』を大切にすると言われていてもこの心情を疎かにした立案を平気で取り上げている保育関係者は反省しなければなりません。生きる力のための援助・配慮の立案に『○○させる』『・・していく』「○○促す」といった教師主導であり教師が主語の立案も教育には重要であるが、乳幼児が主語となる『○○を楽しむ』『○○を味わう』「・・・広める」『・・・深める』『・・・しようとする』といった立案をすることで、そのときまだ出来ないとき聞いているだけ、見ているだけの心情や意欲、態度を大切にする偏らない援助が求められます。これからこのバランスを大切にした立案と実践と言えます。養成校として保育現場は指針をどのように活かしているかを具体的に伝える義務があります。しかし、過去の理論や技術だけを学生に教え込むのでなく各養成校の学生の能力に合わせて分かりやすく伝える講義・演習を工夫しなければならないといえます。実習指導の日案についても各園の様式や保育観が違うから現場で学びなさいと言うのではありません。各園の理念や目的、目標によって指導計画の案はことなっているが指針で大切にしているものは「○○」です、それを立案と実践に結びつけ学生に会得できる質のたかい養成校教育が求められます。

 学生へ  指針を活かす演習例

日案作成例 五歳児「手遊び」の日案の例を説明し指針解説書にあった「目標・・ねらい・・内容・・環境構成(物的・人的・雰囲気)・・予想される活動・・援助・配慮」など具体的な事例を提示して同じ様式の日案を写させる。ここで『まねるは学ぶ、学ぶは創造力』の説明をする。次に自分が練習して身につけてきた手遊びを二人一組で実演する。その実演した手遊びを写した様式と同じように自分で立案し記入させる。そして、立案・記入した日案に対して隣同士が交換し言葉の使い方のいい文章に対してハートマークを入れる。さらにハートマークを書いた根拠を100字ぐらいでコメントをする。それらを全員の前で一人ひとりが発表する。その発表に対して全員が拍手をして温かい雰囲気に包まれたクラス運営にする。このとき約束はケチをつけない、文句を言わない、相手を受け入れ、共感しあうことでこれからの教育者としてただ物的空間だけでなく愛のある雰囲気を味わう演習にする。

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