飯田 和也 長い文章ですが子どものため、。
新任の持っている保育の知識・技術・保育観・性格・育った環境を正しく理解していない時に、「もっと保育知識を勉強しなさい、ピアノ・絵の指導・遊び方の技術で工夫しなさい、さらに子どもの中で動かないとダメですよ、日案の書き方は文章が出来ていない」といった園長・主任として攻めるような言い方をすると新任は怖いと感じます。
新任は怖いと感じるとこれからがんばろうという意欲に結びつくことができない事を把握して、新任を育てる事が望まれます。
学生時代と違って保育のプロとなる自覚を持ち、乳幼児を愛する生き方を身につけるための配慮が園長・主任にはもっとも求められています。保育者は免許をもって保育現場で乳幼児とかかわっていればそれで良いではありません。
専門職として乳幼児の成長・発達にかかわり将来の人格形成の基礎を培う責任があることを意識させなければなりません。どういう人を育てるか意識すること「人や物を大切にする・社会に迷惑をかけない・困難を乗り切る力を身につける・自分から〇〇する力」等園によって保育の目標は異なるが発達を身につけるためのプロが幼児教育者ということを伝えたいものです。
ただ一日乳幼児の命を守るだけでなく発達を見つめ、発達を保障するため養成校で学習した知識・技術を切り売りするだけでなく、日夜研鑽し乳幼児の発達を愛する専門職「保育のプロ」と言う意識を持つことといえます。
それも自分ひとりだけが保育の質を高めればいいでなく組織全体として共に高めると言う認識が重要です。一人だけ目立つ保育をするのではありません。一人ひとりが保育者として集団で高めたいと言う自覚が必要です。このような保育者として高める雰囲気を乳幼児に示し、勉強するのがプロです。
当然、保護者にも具体的に教育とは何かを伝える努力が必要です。「今まで保護者へは保育・教育は園に子どもを預けていればわかってくれると言う感覚でした、しかし、多くの保護者は保育・教育を知る必要はありません、そして理解することもしませんでした」新任に保護者対応も最初に伝える事がプロ意識を持つ一つに結びつきます。
大学では子どものためと言う学習が、自分より歳をとっている保護者対応と言う意識を持たせる事もプロになる新任には重要になります。
また、保護者にもただ預けるだけではありません、保育や子育てを通して親も生きている喜びや子ども授かった喜びを与えられることで充実した生活ができる事を経験させるのが保育です。このように子どもだけでなく保護者へのメッセージを伝えるのも保育のプロとして新任に意識させたいものです。
新任は保育と言う厳しい場と同時に子どもの可愛さと親の温かい子どもを愛する雰囲気を味わう事で自分も家族を愛する事、家族愛を味わう事で人間として高められる場に感謝できる生き方となります。学生時代と違って乳幼児と一緒に過ごし、お母さんから感謝される場が保育と言うことを自覚できます。
新任に保育のプロを自覚させるには、園長・主任が自信を持たせるような働きかけがあります。新任には最初は失敗してもいいよ、多くのことを要求していませんよ、得意なこと「ピアノ、歌、絵を描くこと、踊る事、一緒に遊ぶ事、運動すること」などで乳幼児と笑顔で触れ合う事を受け入れ・できた事を共感する態度で自信をもたせることです。
新任から中堅、そしてリーダーである主任、園長を含め乳幼児は愛されていると感じる温かい雰囲気を味わう事ができ発達を保障されます。保育の質を高める努力は新任や中堅が研修会に出ればいい、自分ひとりぐらい出なくていい、自分は解っているからいいという態度ではありません。
保育のプロになるため新任には知識や技術など基礎研修、中堅研修には専門的知識や技術の質を高めること。さらに次の中堅にはリーダー性を高め指導的な立場と園経営・管理が出来る基本研修、そして主任研修、園長研修として責任者は園組織と将来構想まで把握する研修など求められます。
また小学校との連携、多様な要望にこたえるための乳児保育・障がい児保育・子育て支援研修など全員が保育の質を深めることです。保育者は常に全員が努力をしてプロの道に進んでいる事を認識させることで努力をする方向ができます。
新任は『コレでいいのだ』というあきらめや逃げるのでなく『保育は奥が深い』と言う理解、そして、現状に自己満足するのでなく乳幼児が大好きで保育を通して教えられる事、楽しい場面があることを体験することで次のステップに立ち向かう姿勢ができます。
今後保育者が不足して保育経験者の再雇用が求められています。しかし、新任が数日で自分の考えに合わないから保育者を辞めた、とか、数年がんばって保育の仕事をしたが先輩にいじめられ、いやな人間関係で続ける事が出来なかった、また、子どもは好きだが仕事場の雰囲気が悪いのでもう二度と保育の場につきたくないといって保育の現場に戻らない実態が見られます。
園の方針や実践について深く理解する前に自分でかってに解釈して、保育はあわないと決め込んで保育をやめることは避けたいものです。日本の保育の損失です。
このような新任を育てないために、新任研修で知識と技術を勤めた園の方針・方法を「わかりやすく・優しく丁寧に説明し実践を通して言いっぱなしにしない」と言う配慮が求められます。
新任に子どもは可愛い、子どものぬくもりは良いという感覚、子どもの笑顔で救われるという体験を多くさせるのが主任や園長と言えます。
子どもに対して心から可愛いという感覚で見つめると新任も笑顔になり子どもは安心して近寄ってきます。そこで保育者になってよかったという体験ができます。この経験を出来るだけ新任に気付かせる事が必要といえます。
新任は不安と悩みが多い事、相談する姿勢も個人差があり積極的でない場合もあります。又、性格や保育の能力に差があることを配慮し励まし、慰め、見守り、共感といった態度を周囲が示す事で心を開きます。特に一度に多くのことを要求しないこと、失敗するのが当たり前と言う事を理解した態度が必要になります。
一年間はあれもコレもやらなければならない時に能力がある人とそうでない人がいます。出来なかった時に「がんばれ、あなたならきっと乗り切れる」と言う安易な励ましは避ける事です。
「出来る範囲でがんばっているね、それで今はいいんだよ」と言う、言葉をかけて得意な能力をひとつ見つけてあげることです。先生の「笑顔がすてき」「挨拶がきもちいいね」「げんきで動くだけで子どもは楽しい雰囲気を味わうよ」「紙芝居の読み方素晴らしいね」「ピアノ得意だったのね」「折り紙で折り方難しいのよく知ってるね」「動物好きなんだね」などたった一言で救われる新任です。
新任は卒業した学校間格差により教えられている事に偏りが見られるのが実態です。従って、新任研修では最初に保育の知識や技術を新任にそのまま任せる事は出来ません。知識や能力の差があることを意識して伝える新任研修が必要になります。
例えば「ねらい」と「内容」の捉え方でも勝手に考えているのが新任です。園で必ず統一する言葉と使い方を主任や先輩は解る言葉で教える事から始まります。幼稚園教育要領・保育所保育指針の整合性から整理してある幼保連携型に認定子ども園教育・保育要領にあるねらいは「〇〇園修了までに育つ事が期待される心情・意欲・態度なと」内容は「指導したい援助事項」で言葉の使い方を例にして統一することです。
園長・主任・先輩が勝手に考えた「ねらい」「内容」でなく園で統一することでばらばらな保育はなくなり、保護者は安心します。全教職員納得する言葉の使い方を園内研修で行われることで新任は安心します。
しかし、今までは園長のかってな解釈と主任の言葉の使い方、先輩の説明がばらばらで誰を信じていいかわからない現場が日本の実態といえました。週案や日案は園の様式や言葉の使い方にあわせることが出来るまで時間がかかることを全職員が把握しなければなりません。
新任には解らない事があったら聞いて、とか先輩の保育を良く見て自分の保育に取り入れて、誰でも自分でがんばる時だと言う励ましや指示の仕方は通用しません。
園内でルールを決める事です。指導計画立案は主任が問題点や園の方針に沿っているところは見つけること、そして、新任に解る言葉を使ってやさしく・丁寧に問題な書き方と、園の方針に沿っていることなどを説明することで安心します。頭ごなしに「〇〇先生、ここは常識よ」と言う言い方は通用しません。
指導計画立案に不安を持っている新任です。書き方の良い所は受け入れ,一つでいいから自信を持たせる事です。最初に新任が見て実感できる保育の環境構成のあり方など理解しやすい実践から立案と結びつける説明をしてあげるのが主任の親切となります。
養護に包まれて教育があるという保育実践に必要な安全な環境など気が付かない時は知識と技術を丁寧に年齢の近い先輩が解る言葉で優しく伝える事です。
この知識を伝える時に園内の発達理論については共通にするために保育指針・教育要領・子ども園保育要領をただ読むだけ・聞いただけ・説明を受けただけでなく、実践と結びつける話し合いをして自己点検・自己評価、そして改善しようとする一人ひとりの保育者の心があって保育の質が高まります。
クラス全体の子どもの活動をどのように捉え、計画に沿ってどう動かすか自分一人では理解できないために、先輩が丁寧に指導すること、そのときに理解しやすいのがねらいと内容に相応しい環境構成であるか、保育者が主語になっていて乳幼児不在でないか検討することから始めたいものです。
新人は子どもが自分から○○している状態が判りません。指示していれば動きます、しかし、指示しないでも主体的な行為をしていることが理解できないのが新任です、園長や主任は、乳幼児が主体的かボーとしているかを把握する能力を気付かせることが求められます。
具体的に机の並び方が大人の都合であり、椅子の置き方が子ども不在であったり、体格に合わなかったり子どもの立場を気づかせる事ができる先輩の指導があり、全員が保育の質を高められるチャンがあります。
子どもの眼・耳・手・足に相応しい物的・人的・雰囲気を構成しようとする姿勢が、保育の質を高める事に結びつくことを自覚する新任を育てる事です。
指導計画の環境構成欄やそれにどのように乳幼児がかかわるかと言う予想される活動を立案できる事で発達を保障し、事故を未然に防ぎ業務上過失致死罪逮捕にならないための全員の安全保育の共通認識が出来保育の質が高まります。
新任は周囲の先輩から配慮され、温かく導かれ、乳幼児の発達を愛する方法を具体的に教えられる事を自分も次の後輩に温かい雰囲気で持って伝えることで保育の質が上がるということを自覚しなければなりません。
自分ひとりだけが出来るようになれば良いでなく園の園風と言う雰囲気を味わった事を次に伝える事で保育の質は保たれ、さらには引き継がれ、乳幼児は発達を保障される保育と教育に結びつきます。
発達を五領域で捉える研修では、養成校を出て保育現場に入ったときに乳幼児の発達を偏らないで捉える能力と園児に様々な能力があることを気づかせる発達支援を身につける知識と技術を園共通に持つ事が重要です。そのために五領域で捉える知識を指導計画や実践から獲得することです。
例として一人の子どもの姿を捉える時に自分でかってに考えた癖で捉えている事を評価し改善に結び付けさせます。自分で自己点検できる方法として「一番見ている・触れている・かかわっている園児の姿をよいところ10箇所、直したいところ10箇所を記入します。」そして、新任の癖を気付かせます。
いい所を書けない新任、悪いところが見られない新任でなく偏らないで書ける保育者が求められます。さらに、子どもの発達を保障する教育を実践するには、その文章を五領域で分析することで自分の発達を捉える癖がわかります。このことは自分ひとりでは分析しづらい場合は先輩の保育者に意見を伺う事で理解できます。
そして改善することで五領域を捉える癖の解消と結びつきます。養成校では発達を捉える時に保育内容総論で捉え方を教わっている学校と教えられていない学校等、学校間格差があることを新任は理解したいものです。
園長・主任は新任と話し合う場を持つ事で保育の知識・技術を高めあうことになり新任を育てる配慮の一つといえます。
例えば、「環境構成の理解を深めるために「この机の配列は、どういう理由ですか」一番答えやすい質問をすることで話し合うキッカケをつくることが配慮といえます。
いきなり答えにくい質問を投げかける事は新任にとって緊張します。自分が理解している事で答えやすいときを与えられる事により、ここで話しても良いという雰囲気ができ安心感を持つ事ができます。
乳幼児の発達に相応しい配列かを一緒に先輩が考えることで、発達を見つけ身につける教育の改善に結びつくために理由を聞き、話し合うことが必要といえます。
「子どもは環境を通して相互作用で発達する」ことを会得させる事例として椅子や机の配列、色紙をどのように配列したり、分けたりして子どもがとりやすい位置に置いたか自我能力を身につけさせる教育のために困らせ方を考えたかを自覚させることです。
環境の捉え方一つで子どもは発達が影響されることを研修したいものです。このような事例を通して人的環境を含めて「解りやすく・優しく・何度も説明する場」が新任には求められます。先輩の説明を聞くことで新任は先輩の保育観を理解できる場が与えられ複数担任をしたときに共通にほめたり、叱ったりして子どもたちに安心できるクラスの雰囲気が出来ます。
保育内容の捉え方の癖・知識が少ないことに対して、子どもたちが歌った時、楽しいとかつまらないサインを見ていましたか 自己満足なピアノやオルガンの弾き方でなく、幼児が曲に自分から〇〇する、主体的な保育に相応しかったか点検します。そして幼児からの楽しいとかつまらないというサインを受け止める知識・技術を評価することで改善に結びつき保育の質が高まります。
自己満足な保育を反省する事例となります。音楽の譜面どおりに弾かなければならないと意識しすぎて子どもからの「楽しい・面白くない」といったサインを受け止めるアンテナが張ることが出来ないのは保育のプロといえません。
譜面どおりでなくても自分流の子どもが楽しめるテクニックを身につけることも「保育って楽しいな」と体験できる実践です。先輩のピアノの得意な保育者から子どもが楽しくなる弾き方を教えられる事も新任は大切なプロへの一歩に結びつきます。
発達の姿・発達支援・発達変容の記録の実践
次に子どもたちを受け持つ保育者や小学校の先生への引継ぎとなる記入の事例です。次のような演習を通して新任の保育の質を高める事を工夫したいものです。
現在の発達の姿を100字で書き、それに対してどのような発達支援をしたかを100字で書き、どのように発達変容したかを記述する研修をします。その中で自分しか理解できない主観の文章を評価し改善に結び付けます。特に、発達支援の具体的な記述が次の担当者に理解できるような文章に結びつくことが改善となります。「かなり・よく・・」といった主観の言葉は書いた人しか理解できないためひかえたいものです。
保育「養護含む」と教育に対する理解の事例を考えたいと思います。
「養護に包まれて教育がある」朝、園に登園してきたそのままの姿で帰りに保護者に渡すのが保育です。乳児や障がい児は自分で命を守り、自分で生きていくことが困難な生活が多いため保育者が命を守り、甘えを受けいれ、生理的欲求を満たし病気にさせない保育を保育者がすることが養護です。自分で危険から命を守り、生活習慣を身につける五領域「健康」と異なる事を新任は理解して一日の保育をしたいものです。
命を守るための実践 散歩の時の配慮・アレルギーでの注意・昼寝のときの見守りなどがあります。 情緒の安定のための実践では笑顔の大切さやぬくもりを通した抱き上手な保育も理解します。
また、病気にさせないため保育室内外を保健的で衛生管理をするため掃除をし、ごみや物が落ちていたら自分から片付けるのが養護の基本として研修したいものです。子どもや実習生に何故掃除や片付けるかは命を守り、病気にさせないため園の方針という言葉を使いたいものです。当然、母親にも解る言葉で養護の説明をすることです。
養護は保育者がすること、教育は子どもに発達「自我能力と主体性」を見つけ、子どもに発達を気づかせ、親に発達が身についたことを伝えること。
一日保育が終わったとき、子どもの笑顔をどれだけみましたか 温かい愛のある雰囲気の立案と実践が出来たかを評価する力が保育の質を高めます。
保育は人づくり、新任研修も温かい愛のある雰囲気を与える事で子育てが終わっても、もう一度保育がしたいという出会いを大切にしたいものです。