子どもから様々なサインがある表現について 統括園長 飯田和也
子どもが遊んでいる時に、大人が黙って近づくと,ぎゃあと泣く子、母親が離れると〈ママ・ママ〉と言って泣き叫ぶ子、同じ年齢の子どもが傍に行くと手で押したり、たたいてあっちに行けとサインを出す子、二歳児に〇〇してというといわれただけでパニックになる子、泣いている子を見ると〈大丈夫・大丈夫と身体をさする三歳児、ニコニコして近づく人にはおはようと挨拶する子など二歳・三歳になると様々な表現を大人に見せる子どもたちです。
このように三歳前後になると人とかかわるときに、過敏に反応のある子、黙ってしまう子など個人差が見られます。
保育のなかでいうことを聞かないで、自分勝手な行動をしている子を見て、周囲の大人・先生はその子のお母さんに「甘やかしていたからダメなんですよ」「約束しないからダメですよ」「きちんと叱って育てないからわがままになりますよ」といった言葉を親に伝えて、心を傷つけてしまっても気づかない先生や近所の親がいると、もうこの先生には相談したくない、こんなおばさんやおじさんには絶対会わせたくないといった心情になっている子どもの家族が多くいます。
家庭環境や育て方だけの問題と自分勝手な判断し、そのこどもの正しい情報を得ないでレッテルを貼ってしまう教育や社会の環境を見直したいものです。
人に敏感なために友達や大人が近づきすぎると怖くて、近寄らないでという言葉が出ないために泣くしかできない子がいます。
新しい集団に入ったために「ママ、置いていかないで」と言えないために泣くしかない子がいます。
「触らないで・見ないで・近寄らないで」という日本語が獲得していないためにその場から離れたり、あっちへ行けと押したりする子もいます。また、人との距離感が取れなくてフラフラしたり、クラスから飛び出たりするタイプもいます。
人やクラスの雰囲気とかかわるときに、子どもの育った環境やしつけられ方、子どもの資質と能力を正しく理解してかかわることが大事と言えます。
大切なかかわり方として約束があります。約束はわかる言葉で優しく・丁寧に・言いっぱなしにしないという原則を持ちたいものです。約束をしていないと叱ることはできません。
さらに、約束をしたことを子どもは守った時に〈〇〇できてお利口だね・優しく片付けることができてすばらしいね〉といった、できているのが当たり前ではないことをきちんと認めることが重要です。新しい環境で刺激が強すぎる場合には、そばで見ているだけでいいよ・声を聴いているだけでいいよ・少しだけでもいいよ・失敗しても大丈夫・ ひとつだけでいいよと優しく、笑顔で伝えて、時間をかけて新しい環境に慣れる力があることを信じることです。
可愛いなと笑顔の親でいることで子どもは泣かないで、怒らないで、乱暴にならないで,逃げないで新しい人や雰囲気に溶け込んでいきます。