保育の基本 210 指針の告示を受けた保育の流れから特色のある園へ

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保育の基本 210 指針の告示を受けた保育の流れから特色のある園へ

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       新任を含めた温かい雰囲気の保育実践確立し存続できる園へ 

                                  飯田 和也

 

 今回の告示を受け少子化に向かう中、ただ目立つ特徴だけの園「幼稚園・保育園・こども園」では存続が疑問視されます。他の園より優れている特色を新人だけでなくベテランの保育者も幼稚園教育要領改訂と改定保育所保育指針を理解し共有するチャンスです。

 今までの知識だけでなく新しい指針の考えを上の先生だけが知っていれば良いでなく全員が理解し実践する事が園の特色「運営・経営」を作り、子どもの幸せと職員が働く喜びが与えられることに結びつきます。

 今回の告示は、未満児保育の充実・幼児教育の位置づけ・健康管理や安全・子育て支援・職員の資質などの向上が示されています。園内全員の共通の考えを持ち、他の園より優れている特色ある保育を見つけるための園内研修です。

乳幼児保育では、保育者から愛されることで生きている喜びを感じ、生きる力を与えられる温かい愛のある雰囲気から将来、困難を乗り切る力と主体的な力、そして非認知能力「今回の改訂・改定で話題になっています、理解が必要です」を身につけ『養護に包まれて教育がある』が保障され知識として全員が共有することです。

乳幼児が保育の中で愛されるとは、笑顔で認められること・有難うといわれ認められる温かい雰囲気の中で感じます。

   
保育の考え 保育所は、子どもの最善の利益を考慮し『乳幼児が主語』であって経営者が主語でない。先生が主語でないことが基本で同じです。

   
乳幼児の発達を保障するだけでなく保護者支援をするのがプロ。母親として一番辛い時期として保育者が認識して『共に泣いてあげられる保育者でいること』今、がんばらないでどうするのという安易な励ましを慎むプロであることが子育て支援に結びつきます。

   
保育の目標 養護と教育

   
養護 環境及び保健・衛生管理の中、大人の保護・世話「命を守り、情緒の安定を図り、保健的で生理的要求を満たす」で生きている喜びを与えられます。朝、来たそのままの姿で帰りに親に渡すことが養護の原則です。

   
教育 発達「自我能力と主体性・非認知能力」を捉え身につける。子どもに発達を気づかせ、発達を親に伝えること、発達の知識を持ち、『環境を通して発達する』という考えを正しく持ち、物的・人的・雰囲気の環境を正しい情報を持つ能力を職員全員が会得する、そして教育は,今日は上手でなくていい、卒園までに身につけるという知識が重要です。

   
  乳児保育 笑顔とぬくもり・抱き上手・愛されていることを感じさせる保育、母親を安心させる雰囲気づくりから信頼関係の確立となります。保育園に預かることで新しい出会いの始まりとなり、母親と一緒に成長・発達する可愛い場面を見るチャンスが与えられていることを意識します。

   
  未満児保育 優しい言葉を大切に聴き上手・受入れる・人や物とのかかわりを笑顔と有難うの態度で温かい雰囲気づくりをします。愛されているから人を愛する原点となり一生の宝物を一緒に見つけられる喜び「始めての言葉・始めて立ち・歩き・始めて〇〇したのを見つけられる保育』感動を味わう保育です。

   
  三歳以上児保育 「養護に包まれた教育がある」の言葉のように生きるよろこびと生きる力を保障します。やらせれば出来るようになる強育・押し付ける狭育・狂育ではありません。発達を偏らないで捉えるために五領域『健康・人間関係・環境・言葉・表現』「未満児も同じ」で理解します。入園式頃の姿から身体の使い方、様々な環境に関わり発達する姿、友達関係の広がり、言葉が次々と発達する力、新しい発見をする場を見つけて共に感動できる保育実践が必要です。幼児の生き抜く力を見つけるときと場を保障し、卒園までに発達する力を信じる出会いの楽しさをプロとして自覚します。

 

   
幼児教育を行う施設として共有すべき事項『知識・技能の基礎』「思考力・判断力・表現力等の基礎」さらに非認知能力として『学びに向かう力・人間性等』の生き抜く・自尊心・挑戦する力・やり遂げる力などを育むこと。幅広い知識・技術、思考力・判断力などの主体的な自分で〇〇すると言う能力を身につける教育が求められていましたが、今回はそれだけでなく非認知的能力の育成が求められています。「粘り強く生き抜く力・やり遂げた経験・目標への挑戦・自分に誇りを持つことなど」IQでは測りづらい能力とも言われます。

   それには乳幼児一人ひとりの発達の個人差を見つける眼・育ってきた家庭環境の違い・受けた養育態度などを考慮する力が保育者に求められます。このような教育ができるためには複数の保育者の協力が大切になり、温かい信頼の連携ができる園内研修の質が問われます。

 

   
 幼児期の終わりまでに育って欲しい姿健康な心と体・自立心・協同性・道徳性、規範意識の芽生え・社会生活との関わり・思考力の芽生え・自然との関わり・生命尊重・数量や図形、標識や文字等への関心・感覚・言葉による伝え合い・豊かな感性と表現。』これらは遊びを通して身につけるものです。特に、技術で発達を伸ばすだけでなく、ねらいと内容のバランスを考えるのがプロです。

   発達の個人差を配慮し指導計画と実践に対して知識が必要になります。このように今回は今まで以上に保育の奥の深さがあり簡単ではないと思われます。

   
保育の立案 「ねらいは保育の目標をより具体化したものであり、子どもが保育所に置いて、安定した生活を送り、充実した活動が出来るように、保育を通じた育みたい資質・能力を子どもの生活する姿から捉えたものである。注意・資質と能力と言う言葉の解釈

   ねらいは発達の方向性であり、卒園までにと言う考えを理解し、その日の到達目標でないということを共有します。また「内容」はねらいを達成するために、子どもの生活やその状況に応じて保育士が適切に行う事項と保育士が援助して子どもが環境に関わって経験する事項」など今までの養護・教育の内容の考えと基本的に同じといえます。

  ・環境構成「物的環境・人的環境に自分から関わる事で発達を身につけること。援助は困難を乗り切る力と自分で〇〇する・勉強とウンチは人に言われてするものでないという言葉を大切にした発達を保障する事、今回、この他に挑戦する、最後までやり遂げる、自尊心といった非認知能力を幅広く捉えて保育に取り入れることが取り上げられています。」

   
ねらい 乳児「感じる・〇〇しようとする・芽生える」とあります。ここで『味わう』も入れたら発達にはすっきりしますが検討してください。

   
未満児「楽しむ・〇〇しようとする・感じる」・気づくとか豊かにするは内容でありねらいか内容か不明なので園で検討します。

   
以上児「味わう・楽しむ・しようとするなど」を共通にしたら内容に『味わう・たのしむ』と混在している言葉の区別をつけることが求められます。

   
環境構成  物的環境「かかわりたくなる教材・遊具・施設」人的環境「真似したくなるモデルの工夫」温かい愛のある雰囲気「笑顔で〇〇する姿や有難うが飛び交う保育室」など子どもの眼・耳・手・足となろうとする心が必要になります。

   ここでは主体的な力を身につける立案に結びつきます。養護と教育を正しく考えた環境を工夫する努力が立案と実践に求められます。

   
予想される活動 一生恨まれない保育のために園で立案しなくても考慮しなければなりません。睡眠の時・誤飲・転落・交通事故・アレルギー・眼がつぶれた事例・指がなくなった事故など保育者として環境にどのように関わるかをこの子だったらどのようにかかわるかを予想する事で死亡事故が防げることになります。

   
クラス全体への援助 ねらいと内容を考慮します。 リーダーは卒園までにと言う『楽しむ・味わう・しようとする・深める・感じる』というねらいを持ち、指導内容の『知る・遊ぶ・参加する・世話する・気づく・守る等』の言葉を使う等してバランスを考慮した立案する事です。

   そしてサブがいればほめ方と叱り方を必ず話し合いねらいを大切にすると「ここで失敗してもいいよ、一つでいいよ、多くを望まないよ、三月までで出来るようになると信じているよ」といった保育から笑顔があふれたクラスの雰囲気が立案・実践できます。

   具体的に『笑顔で〇〇する』『やさしく△△する』「ぬくもりを与える」『わかる言葉をかける』「言葉に言い表す事が出来ない悲しみ、悔しさ、苦しさを代弁する」といった言葉が大切になります。

   
個人差への援助 個人差を配慮した支援として問いかけ・励まし・慰め・助言・共感・見守り・受け入れについてできるだけ具体的に立案します

   
 言葉と人間関係が絡み合って発達するという聴き上手な保育の立案、 多くのことを要求しない・一つで良い・失敗するのが当たり前と言う捕らえ方で一年先に上手になればいいという実践と母親へも園の方針を伝えることで子どもの発達を保障するために考えを共有します。さらに子どもの癖を直そうとするのでなく良い所と捉えて癖は一緒に卒業させてあげたいですねと言う言葉を使い、母親と協力して発達を保障する姿勢が求められます。

   
一日の記録  事実と意見を分ける。主観が入った『可愛い・大丈夫・できている・かなり・とても・よく・問題ない・』といった記録はやめます。ねらいの点検・評価して改善に結びつけます。指導内容が五領域で偏らなかったかを点検する事で幅広い保育実践となります。

   物的環境として教材が子どもの眼・耳・手・足になっていたか、子どもが主体的にかかわりたくなる与え方や置きかたであったかを点検・評価して記入したいものです。

   
個人の記録  五領域で出来るだけ捉えて意識して偏らない工夫がプロです。このような発達を大切にした働きを特色にしていることを学校関係者や地域の人、また保護者に伝える努力が今回求められています。

   
点検・評価・改善 自分ひとりでは出来ないので主任や園長に点検・評価してもらいます。保育室で「有難う」を言っているか。笑顔があるか。約束をしているか。終わってからの共感をしていたか。温かい雰囲気を作っていたか点検・評価してもらい改善に結びつけるのが特色になります。

   
保護者への対応 保護・世話・教育で子どもを授かった喜びを味わい、親が主語でなく乳幼児が主語として、共に育つ生き方を気付かせる特徴だけの園でなく他の園より優れている事を明確にした特色ある園を示す事で信頼関係が確立した保護者対応ができることを全員が心がける事がプロです。 

   
今回の保育所保育指針の告示を受けて特色ある園作りのチャンスが与えられています。温かい愛のある雰囲気を園の中に作り、乳幼児の健やかな育ちと豊かな心を作り、子どもを授かった喜びを味わう園にしたいものです。

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