保育の基本 147 こども園・保育園・幼稚園の文字の教育は教え込むものでなくねらいにある園修了までに文字をとおして生きる力の基礎となる心情・意欲・態度を身につけさせることです。

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東海学園大学 国際子ども研究所 誠和幼稚園     飯田 和也

 

 幼稚園は文字を教えているが保育園は文字を教えていないという間違いを親や学校の先生に伝えなければなりません。

 小学校は今日、文字を覚える事という到達目標の考えです。

 しかし、幼稚園や保育園・こども園はそれぞれの園の方針や方法で修了するまでに文字「ひらがなやカタカナ」が読めた、そしてもっと読みたい、さらには文字を書くときに自分なりに我慢して書く態度、集中して工夫する態度を身につける教育をしています。

 さらに、友達に文字「手紙・絵手紙」などでかかわる生き方などの心情「言葉に言い表す事が出来ない読めた嬉しさ・書けた喜び・失敗した悔しさ・読めた、書けた充実感」

意欲「もっと読みたい・書きたい・人とかかわりたい」


 態度「真似して書ける態度・集中して読もう、書くこと、友達と手紙を通してやり取りする態度」などを生活や遊びの中から身につけることが文字の教育です。

 ひらがな表で「あ」から順番に読ませ、書かせるという小学校の到達目標の教え方をしている園は少ないと思います。

 様々なひらがなを獲得する方法があります。子どもにとっては身近な「自分の名前」から言葉があること・ひらがな・カタカナを読むことから文字があることを気づかせる教育から始めたいものです。

 そのためには自分の持ち物を大切にする生き方があり、自分の持ち物が無くなっては困る体験・損することで名前があることを気づき持ち物を大事にしようとします。

 このように文字「サイン」として名前が書いてあること・読んだほうがいいことにより、自分の持ち物を大切にする態度を母親や保育者が伝えることが第一になります。

 保育の中では、名前が読めないときはシール等で持ち物を大切にしながら名前「自分のもの」を気づかせる事として配慮する身につける教育です。

 卒園までに身につけるには、園と保護者の子どもが文字を読めた・書けたという子どもの立場になって文字が読めてよかったね、書けてすばらしいねという温かい協力が大切になります。

 速く上手に書かせればいいという保育者や親の都合の主語でないことが幼児教育の第一歩ということです。

 次に、将来自分で○○するという主体的な生き方のため自分の持ち物に名前を書いてあることを自分で気づかせる事です。

 親が全ての持ち物に名前を書くのでなく、例えば服・手袋・下着・靴下・ハンカチ等の持ち物に子どもの眼の前で書いて○○チャンのものだよ、さらに、見させるだけでなく触らせる事です。

 このように親が全て書いて示すだけでなく自分の持ち物を大切にすることを「解る言葉で優しく説明し、大事にする態度を示した時には○○大事にしているね」と具体的にほめることで自分の持ち物と名前を意識し身につけることになります。

 教育には、文字を読めることが何故大切にするかと言う事を保護者や子どもたちに解るように伝える事です。また、自分が造った作品には自分の名前「サイン」を入れることで自分のものと言う意識をもたせることになります。

 造りっぱなし・やりっぱなしでなく物を大切にする生き方を通してひらがなとカタカナを身につけさせる教育に結びつきます。お母さんの顔を描いたり、動物を描いたり、花火など描ける能力で描けた喜びを味あわせるために壁に飾ったりします。

 そして、自分の名前(サイン)を書くことで文字やサインをいれることで自分の造ったものが認められる体験を大切にします。最初はひらがなで「そ」や{ゆ}などは書きづらいためにカタカナの「ソ」「ユ」と書けた喜びを味わう方法を見つけたいものです。

 自分で描いた絵に対して自分で名前を上手でなくても書きます。また、毎月配布する絵本に名前を自分なりに書きます。七夕の笹飾りにも各児の名前を読めるように書きます。

 このように生活の中で描いたものや造ったもの、自分の持ち物に対して自分流に名前を書くところから始めます。

 この自分の名前を意識すること、さらにはお母さんの名前、兄弟の名前と言ったことから文字を読んだり・書いたりして理解や興味をもたせたいものです。

 年中児から手紙ごっこが始まることもあります。最初は文字でなく「絵手紙」としてテレビのアニメが描かれ、名前も書ける子とかけない子がいて正しい形になっていないが、子ども同士には了解し合って手紙を渡しているのが始まりとなります。ここで重要な事は文句を言う子、ケチをつける相手には絵手紙を出しません。お互いに書いた絵やひらがなを自慢し合っている場面が見られます。

 保護者にはひらがなを「あ」から順番に教えるのでなく、このような読めた満足、書けた充実感を味あわせる事から文字の教育していることをわかる言葉で優しく説明しなければなりません。

 小学校の到達目標の教え方と異なっています。敬老の日には園児から大好きなおじいちゃん・おばあちゃんに届くように名前の書いてあるはがきを利用します。

 サンタクロースへは自分の欲しいものを必死で書く姿が見られるようになります。相手に届くために書きたいという意欲を持たせる環境を大切にする教育になります。

 親への年賀状を親には内緒で元旦に届くようなサプライズをします。親には黙っていてどのような反応をするか楽しみな元旦になります。また、親に出す年賀状に続けていつも五平もちを一緒に造り食べたことで近所のお年寄りへの年賀状も出す保育場面があります。

 お年寄りと親への「あけましておめでとう」を二回書くことで「」が書けるようになっていく子が続出します。大好きな親への内緒のはがきを書くことでさらにひらがなを書きたい意欲に結びつきます。

 正月明けの保育場面では、クラスの中にはがきや手紙を入れることが出来る郵便ポストを準備しておきます。そのポストの横には自分が住んでいる町の郵便番号を一覧表にして貼っておき、数字への関心と興味を持たせる環境を用意します。

 さらには簡単なはがきを取り出しやすいように準備しておきます。特に、正月の年賀状を保育者や友達からもらうなど雰囲気づくりがあり手紙ごっことなります。そこでは郵便の配達人とか郵便局を作り切手に見立てたシールをつかうなど手紙ごっこを通して様々な社会的知識を身につける場も配慮でき教育的効果があることを保護者に伝える場となります。

 手紙ごっこは、文句を言わない・ケチをつけないで読んでくれる友達やお母さん、先生には出します。


 必ず園の方針として文字や描いた絵に対しては「わァ、上手」でなく○○ができたね。書けたねと具体的に伝えたいものです。ここで重要なことは文字が読めた・書けたということに対して自信を持たせることでねらいにある心情・意欲・態度の中の「工夫したり・まねしたり・集中する」態度を身につけることが教育の一つと言えます。


 「わァ、上手」でなく「○○がぐっと力強く書けたね」「この○○のひらがな丁寧に書けてお母さん・先生もうれしい」「郵便番号覚えて数字かけるようになってよかったね」と言う言葉を通して書けて良かった、そしてもっと書きたい、自信を持った生き方の基礎が身につく教育に結びつきます。


 このような園の方針や方法が文字を通して将来の生きる力になることが保育園・幼稚園・こども園で共通なことを園長・主任が理解し保護者や学校の先生に伝えなければなりません。

 

 さまざまな園の方針や方法、保育の環境の違いがあります。一度園内で文字について検討していただければ幸いです。幼稚園・保育園での教育についてこれからも一緒に深く考えたいと願っています。ご意見をお寄せください。

 

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