飯田和也・保育の基本 宮崎市キャリアアップ 「障がい児保育」23度 資料です。参考にしていただければ幸いです。

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飯田和也・保育の基本 宮崎市キャリアアップ 「障がい児保育」23度 資料です。参考にしていただければ幸いです。

キャリアアップ研修 資料です。障がい児保育を50年間実践していたのをまとめました。障がい児から、障がい児の家族から、障がい児の担当先生から様々な生き方を教えられました。参考にしていただければ幸いです。長いのですが少しでも読んで頂き障がい児の生きる力になれば幸いです。

 

宮崎市保育会

テーマ キャリアアップ研修 「障がい児保育」    飯田 和也

宮崎神宮会館

持ち物 折り紙10枚 はさみ A4の白い紙五枚 記録用紙 筆記道具

 

  • 障害のある子の理解

障がい児保育は養護に包まれて教育を行う。そのために「障がい児の眼・耳・口・鼻・手・足となる」体験して障がい児を理解することです。

障がい児の養護「命を守る。情緒の安定を図る。生理的欲求を満たす。保健衛生的にする」という保育者がすることが第一です。

障がいを持っている子は、自分から助けてといえない子がいます。危険なことを理解できない子もいます。危ないと言われても何が危ないか判断な出来ない子がいます。まず大切なことは障がい児の命を真っ先に守ること養護の「命を守る」という大人の行為です。障がい児は自分から身を守ることは困難な場合が多いことを理解し、障がい児が安全で快適な保育の環境を準備し、将来困難に出会っても乗り切る力や自分で生活できるように教育することが求められます。大切なことは障がい児が主体的な生き方ができるために自由にさせれば主体的という考えで、保育の中ですべて許すという放任保育をさせているのは大きな間違いといえます。広辞苑「主体性とは、他から影響されることなく自分の意思や判断によって行動しようとする性格・態度」と述べられています。幼児教育や学校教育の中で好き放題・やりたい放題の保育をしても、すべて主体性の名のもとに許される教育場面に結び付ける保育者に出会う場合があります。重要なことは、教育場面や家庭において自分の意思でやるべきことを選び・決定し自分の責任で行動する資質と能力を身につけ生きるのが主体性と言えるのではないでしょうか。保育場面において乳幼児を好き勝手な行動にさせて人と人の間で生きる喜びや生き抜く力を温かく身につけるには「ねらい」だけでなく「内容」で五領域を幅広く考慮することです。まさに「内容」のないような保育は「もういらないよう」に結び付きます。

放任保育にならない障がい児への愛し方をこの研修で体験して欲しいものです。

 

演習1・養護で障がい児の命を守る体験「二人一組となり、前に立った人は眼を閉じて黙って後ろに倒れます。そこで後ろの先生は、倒れてくる前の先生にけがをさせないように受け止めます。この体験を三回します。お互いに交代します。

何故三回黙って倒れる体験をするか一人一人考えることが障がい児の命を大切にする基本になります。基本的信頼感の考え方を学ぶ演習です。

 

養護は、教育「健康の五領域の訓練や鍛錬でない」ことを理解する体験をします。朝、親と一緒に保育園にきた時のそのままの姿で、迎えに来た時に渡すことが養護の命を守る・けがをさせない・病気にしないという養護の基本「大人がすること」といえます。

 

そして、障がい児の発達「自我能力=困難に出会っても逃げないで乗り切る力と主体性=勉強とウンチは人にいわれてするものではない」を身につける障がい児教育です。

言葉がはっきり出ない子・音がきれいに聞こえない子・人の顔や動きが見づらい子・おもちゃを触っても正しい形が把握できない子・熱いこと冷たいことが判断できない子・大きな音が苦手な子・友達の声が嫌いな子・においが敏感な子・大人や子どもの動きに過敏な子など様々な子どもたちがいます。

このような子どもたちは、自分で〇〇する主体的な場面「いいところ」がたくさんあることを理解してそこから自我能力と認知能力を伸ばすのが障がい児教育の基本になります。この子には障がいがあるから〇〇できないと決めつけたかかわりをやめることと子どもと親に劣等感を与えないふれあいが必要です。保育の中でできない能力を取り上げて言いすぎない、伸ばせなくてはならないといった実践ばかりでなく、一人一人の資質と能力を見つけて、温かく働きかける援助が求められます。

 

演習2 障がい児が保育場面で自分から〇〇することは何があるか眼の不自由な二歳の子が保育場面「保育室のブロック・ボール・ぬいぐるみ・音の出る絵本」で何していますか5か所記入してください。「障がい児の眼になると、、、。」いいところとして過敏な生き方を見つけるのも将来の生活の生きるためには重要となります。

例え、目が不自由でも音に鋭い、匂いに敏感、味を楽しむ、ブロックの形を見極める。ぬいぐるみの肌触りを早く判断する。音の出る絵本を何度も要求して聞いて楽しむといった様々なかかわりを通して生き抜く力を持っていることを支えるためです。

 

次に「知恵遅れの子が保育場面で「ブロック・ボール・積み木・絵本・ままごとセット」で自分から〇〇すること5か所書いてください」様々な保育場面が浮かんできます。

非認知能力の視点から受け入れる保育が必要です。知識・技能を伸ばすだけでなく挑戦する力、最後まで頑張ってやり抜く力などを見つけ、知恵遅れの子に気づかせ、一つでも自信を持たせて生き抜く力を自覚させたいものです。

例え、ゆったりしていてもブロックに対して時間をかけて形を作って楽しみ、ボールの動きにゆっくりと追いかけて楽しみ、積み木を高く積めないがちょっと積んで倒れる音を楽しむといった発達が見られます。そこで非認知能力の調整する力が三か月前に比べるとのびたこと、最後まで我慢して好きなことを楽しむ力がついていることを見つけ、共感する保育が求められます。

 

そして、障がいを持っている子が「自分で〇〇したとき眼の不自由な子や知恵遅れの子には、発達援助=自我能力、主体性を身につけるための働きかけとして何を心がけて大切にしたらいいと考えるか」具体的に記入してください。ここで重要な考えは三つの柱を参考にしたり、五領域で幅広く理解する保育を持ちたいものです。保育者や大人が幅広い見方で障がい児を捉えて温かい雰囲気を与えることも大切と思います。

 

この演習では、大切な捉え方として主語が障がい児になることを学びます。言葉を出させようという保育者が主語の押し付けの保育でない。聞こえさせようとすれば聴く力がつくというものでもない。ゴム手袋をはめてブロックを握っている障がい児にきれいにつかんで積みなさいというのではないことを理解することです。主語は障がいを持っている子ども、そして大人の都合でないことを肝に銘じるための原点です。

 

最近保育界で「不適切保育」という言葉が取り上げられています。保育場面での乳幼児への虐待・通園バスの置き去り、トイレを我慢させる、泣くと〇〇に入れてしまうよ、言うこと聞かないと叩たくよとおどしたり、手を出したりする身体的虐待・精神的虐待など様々な「不適切保育」が見られます。

特に、障がい児では行動がゆっくりしている、理解が素早くできない、何度も言わないとできないといった行為のためにイライラする保育場面に当たる場合があります。そのような時に「ねらい」=発達の方向性として理解していればいいが「ねらい」を到達目標のように捉えている保育者はどうしても押し付けて不適切保育に結び付く場合になります。また、一対一の対応、さらには保育者が余裕をもって保育できる環境解決も課題です。障がい児の気持ちに合わせたり、一人一人の発達を見つけ大人の都合でない保育です。主語は障がい児になる考えで方法を園で話し合う「不適切保育を防ぐかかわり」が求められます。保育者の質の問題、園の組織の構造の問題、保育の在り方が以前と異なって教師指導から障がい児が主語に変容していることも考慮して労働の環境と保育者の人不足など話し合って改善したいものです。

 

演習 3 障がい児保育の「ねらい」発達の方向性があれば、何故不適切保育に結び付かないと思うか自分なりの答えを記入してください。

 

「様々な課題がありますが今回はねらい=到達目標でないことだけを取り上げてまとめたいと思います。」ねらいの言葉ができたのは、できる子にとっては楽しい保育、できない子にとってはつらい・いやな場面をなくすために発達の方向性という考えとしてできたことを再確認したいものです。ねらいの楽しむ・味わう・広める・深める・感じる・しようとするはまさに障がい児保育のための言葉で卒園するまででいいよ、学校に行ってからでいいよという言葉です。できるようにすぐさせるのではありません、一か月、三か月、一年先に少しでもできるようになればいいという保育のためです。

 

演習 4 養護の情緒の安定を図る体験「手を握り合う体験」もっとも母親に甘えたい障がいのある子どもたちです。いつも親と一緒でないと生きておれない子どもたち、不安と恐怖にさらされているため親のそばで生きている子どもたちです。

障がい児が母親と一緒に保育園に初めて来たとき離されると真っ暗闇の状態になります。一度全員この場で眼を閉じてください。

 

これが初めての場所・初めての人と出会ったときの心情です。すると、不安・恐怖になってママ・パパと泣き叫ぶ子がいます。そのような時にどのように触れ合いますか。「情緒の安定を図る」とは「五領域・健康の訓練や鍛錬でない」ことの区別をどう理解したか記入してください。

ここで最も重要な援助は、不安や恐れを取り除く働きとして「笑顔とぬくもり」を与えること、さらに「優しい言葉をかける」このようなかかわりで情緒が安定します。

 

演習 5 肢体不自由な子となる体験「折り紙を折る体験」

A4の白い紙を出してください。右手を握ったグーの形で大きく動かすことができないまま、左手は自由に使えます。その白い紙で紙飛行機を折ってください。折れたら左手で飛ばしてみてください。今まで当たり前の生活から不自由な体験になって私たちは相手の立場になることに結び付きます。そこで援助の在り方で障がい児が主語になることが多く見つかるのではないでしようか。

 

紙飛行機を折るときに何がやりづらかったですか。「記入してください」

 

その時にどのような配慮がしてほしいと考えましたか。「記入してください」

 

この時の子どもの心情・意欲・態度に添った働き方を記入してみてください。

 

「養護に包まれて教育がある」先生や友達に愛されている感覚を味合わせるにはどのような保育が必要か記入してください。」

 

障がい児保育の「ねらい」について「発達の方向性の折れた喜び」としてどのような援助の言葉が浮かびましたか記入してください。

 

紙飛行機を左手で飛ばすときに何が困難でしたか。三つの柱「知識と技能で記入できる範囲で書いてください」

 

その時にどのような助言があれば紙飛行機が飛べたという喜びを味わうことができると思いますか。記入してみてください。三つの柱の2 思考力=新しい発見・判断力=今までと異なっていること・表現力=自分なりのやり方の発達援助を工夫して記入してください。

 

紙飛行機の立案で「ねらい」発達の方向性=楽しむ・味わう・広める・深める・感じる・しようとすると「内容」指導したい事項=知る・守る・参加する・世話するといった言葉の違いを書ける範囲で記入してみてください。言葉の使い方を理解する研修にしたいものです。

このような不自由な子どもに対して、「失敗してもいいのだよ・一つでいいのだよ」といった多くのことを要求しない触れ合いによって自分は認められたという感覚になり、もう少しやってみようという意欲に結び付く場合となります。

 

精神遅滞「Mental Retardatiom MR」

発音がはっきりしない、相手に理解できるように話す力が劣っている、会話に結び付かない、相手の言っている言葉の理解ができない、色がわからない、形が理解できない、大きさもわからないといった形や状況が把握できない知的な能力が実年齢よりか全体的にレベルが劣っていて社会生活をしていくうえで理解と支援が求められている状態を精神遅滞と言います。

知的能力を心理テストで捉えてIQ35以下を重度、IQ35 から50 は中度、IQ50から70は軽度、IQ70から85は境界領域とされ明らかな知的障害といわないで環境によって自立して生活できる場合もみられます。

 

広汎性発達障害「Pervasive Development Disorder PDD」

1 人とかかわるときの共感性に乏しく社会性の発達が悪い 2 人と会話をするときにコミュニケーションがとりづらい 3 興味・関心が偏っていて強いこだわりが見られ また 反復行動が見られるといった特徴を3歳以前からみられます。また、想像力として様々な情報を統合し推測することが苦手などかかわり方として理解が必要な特徴がみられます。自閉症・自閉性障害と言われる場合、非定型自閉症、特定不能の広汎性発達障害と診断する場合も見られます。さらにアスペルガー症候群と呼ばれる場合も見られます。

 

注意欠陥多動性障害「Attention Deficit/Hyperactivity Disorder ADHD」

多動・注意集中困難・気が散る・衝動性が見られます。言われたこと、見たことをすぐ行動に移すことが出来なかったり、興奮しやすかったり、考えることが苦手で会ったり、不適切におしゃべりしたりする、やる気が続かないことが見られます。

一か所に落ち着いてじっとしていない、椅子に座ったかと思うとすぐと次のベンチ、座ったと思うと近くのボールを触り、触っていると思ったら水道の蛇口で遊ぶという多動、紙芝居をじっと見ていると思うとすぐに隣の子どもの服を触って中集中が困難、気が散る、我慢が出来なくて衝動的な行動となる、見ていたと思うと近くの粘土を見て触ろうとするなど抑制する力に障がいが見られます。

 

学習障害「Learning Disability LD」

全てに知的発達の遅れはないが、聴くこと、話すこと、字を読むこと、書くこと、計算すること、この先どのようになるか推理することを身につけることやこれらを使って生活することが困難な状態が見られます。一部の能力が劣っているために周りで一緒に生活している人はわかりにくいことが見られるタイプもいます。

 

  • 障がい児への発達援助

障がい児へ発達援助は一人一人の障がいや程度、種類によって異なって同じではないことを把握して資質と能力を育てなければなりません。

 

演習 6 眼を閉じて部屋の中を歩いて眼の不自由な人の心を体験します

a眼が使える生活から急に不自由な体験したことを具体的に記入してください。

 

Bどのような援助があれば眼の不自由な人は安心するか体験して把握したことを

記入してください。

 

C 今までの自分の保育の援助で間違っていたことを反省し今後に

この体験がどのように役立つと思えるかをまとめてください。

 

演習 7 二人一組になって眼を閉じる役と援助する人に分かれて部屋の中を歩かせてください。援助の在り方は自分で見つけて工夫してください。途中交代します。

 

眼の不自由な子への援助で歩くときの言葉の理解ができない援助からわかる言葉かけを点検・評価します。「階段です」この援助では、降りるか上がるかで命がなくなります。「止まって」ではどうしてと眼の不自由な子に疑問が出ます。このような働きかけでは命を守ったり、どのように生きて行っていいか気づくことに結び付きません。自分が具体的な発達援助の言葉をしようしているか点検・評価してください。

 

a体験から眼の不自由な子どもへの援助で何が大切かをまとめてください。

 

B 非認知能力「思いやり・忍耐・挑戦」について知能テストでは測れない発達について気がついたことをまとめてください。障がい児保育から反省する力を身につけ愛し方を気づく演習にして今後、障がい児だけでなくお年寄りへの働きかけもできる保育者になってほしいという願いからまとめました。

 

演習 8 肢体自由な子への援助 左手は自由・右手が二本指だけの不自由な子への援助 「二人一組になって、子ども役から先生の名前と住所、電話番号が知りたいので教えてと言われた。そこで先生役は自分の名前や住所などを教えてあげてください。」

名前を書く、住所を書く体験から、本当に心の安定まで通じる援助をしているか点検・評価する体験をします。

 

点検

aどのような言葉かけをしましたか。記入してください。

 

B 環境の再構成を考える場面を閃くのがプロです。再構成を理解でき

ましたか。大人の都合だけでなく障がい児の立場になった道具の再構成を

見つけ、保育に活かす謙虚さを備えて欲しいと工夫しました。障がい児の

発達を見ない・見れない・見ようとしない保育から改善する心を身につけて欲しい

ものです。

 

c ねらい「発達の方向性」の考え・心情・意欲・態度を押さえましたか。書か

せようという保育から共に泣いてくれる先生、つらいことを一緒に味わって

くれる先生、生きる喜びを与えてくれる保育に結び付けたいものです。障が

い児が自分の生きる心を大事にしてくれる先生と感じる人に出会う保育にな

ります。

 

D   三つの柱の1/2/3の捉え方を理解しましたか。

知識・技能。思考力・判断力・表現力。非認知能力とは何か理解しましたか。

障がい児の発達「資質と能力」を幅広く捉えることができる保育者には知識

技能だけでないこと、さらにはたとえ障がいがあっても高校卒業まで続くと

いうことを再確認したいものです。

 

e 非認知能力「忍耐・挑戦・思いやり・自尊心」について深く理解し

今後の実践に役立てることができますか。障がい児に笑顔があふれ、ありがとう

が満ち溢れている保育室には、非認知能力を見つけ、育てる環境があります。

その環境を構成し「ともに泣いてくれる先生」「ともに喜んでくれる仲間がいる」

ことで思いやりが育ち、社会の中で共に育つことを体験させるのが障がい児

保育といえます。

 

演習 9 自閉児への援助「こだわりに対して卒業させるふれあいか点検・評価」例えば紙をひらひらしている。水をずっとかまっている。石を何度も投げているそのような時の援助について考えてみてください。自閉児が10人いれば10通りの方法が出てきます。共に動く「共動」して自閉児に近づきます。こだわりをすぐにやめさせようというのはなかなかうまくいかない場合があります。じっくりと一緒に行動することで少し理解できることもあります。一緒になって水の流れを見ている、砂をそっと落として音を聞いてみる、紙のひらひらする音や動く間から見える景色を見ることで言葉かけが変わる場合もあります。やらせようとしてもなかなか思うようにいかないときに、その子のリズムにあった言葉かけ「グルグル・ぴょんぴょん・タッタツタ」といった働きかけ、また、絵カード・写真を場面によって示し、説明する方法など一人一人のこだわりにふさわしい働きかけが求められます。

正面から向き合うことを嫌な子がいれば背中から入ったり、横からそっと入るなどの配慮をすることで心を開く場合も見られます。

自閉児の立場になって援助をする場合の留意点を記入します。

 

自閉児とのかかわり

ある夜、教え子から電話がかかりました。「先生、お久しぶりです。息子のHが養護学校に入ることができました。これまで二年間、保育園に通うことができたのは先生のアドバイスのお陰です。保育園では、先生たちから教えられて、砂を型抜きに入れて叩いて落とすことができるようになりました。言葉はまだ出ませんが、卒園の時に、他の子どもたちから愛されている姿を見られたのも、先生のあの一言のお陰です」という電話でした。もう少し詳しく説明しますと、H君は自閉症で、保育園になかなか入ることが許されていない地域に住んでいました。それで、この教え子から「Hが保育園に行けるように市長や教育長にお願いに行くのですが、どのように要望したらいいですか」という相談をもらったのです。その時に「この子はほかの子どもたちのそばにいるだけでいい、子どもを見てるだけでいい、匂いをかぐだけでいい、声を聴いているだけでいいので保育園に入れてください」と言ってごらんなさい」とアドバイスをしていました。このお願いが受け入れられて、保育園に入園することができたのです。電話をもらったのは、H君の卒園の時でした。

この教え子はさらに、「運動会で手をにぎってくれた男の子、いつも手をつないでくれた女の子と一緒に卒園できました。時々、ほかの子を噛んだりすることもあったので、最後の日にその女の子のお母さんにお詫びを言いに行ったら「H君から優しさを貰いました」と言われて泣いてしまいました。こんな言葉を言ってもらったのは初めてでした。この子が生まれて来て本当に良かったと思いました」と涙声で伝えてきました。そして「今度障害児の大会があり、大勢の前で体験発表をすることになりました。私にはそのような能力はありませんが、保育園の先生たちに感謝の気持ちを伝え、お礼も言いたいと思い、お引き受けました。発表するにあたって先生の言葉がどうしても欲しくて電話しました。申し訳ありませんが、あの時の言葉をもう一度言ってください。その言葉を聞いて大勢の前で発表したいのです。そこで「そばにいるだけでいい、匂いをかぐだけでいい・こどもに見つめられるだけでいい。子どもの声やとりの声を一緒に聞いているだけでいいよ」ということを話すと(先生、また新たな感動で違って聞こえます。素晴らしい言葉をありがとうございます。でも本当は、Hを授かったことをまだまだ受け入れることはできません。先生、泣いていいですか)と言って電話口で声を上げて泣いていました。

このような母親に対して共に泣いてあげられることしかできない場合があります。子育てに悩み、苦しむ親に対して(一人でいいから共に泣いている人を見つけ、辛い時、苦しい時を乗り切って子どもを授かった喜び、生きる喜びと生きる力)を共有して欲しいと願わざるを得ません。

 

演習10 知恵遅れの子への援助「縄跳びの体験から跳べた喜び、もっと跳びたいという意欲まで保障しているか点検・評価」

一回目 知恵遅れの子になり紐で跳びますが失敗します「どのような援助しますか」

 

二回目 知恵遅れなりに考えて跳びました。「一回目と異なったところを見つけましたか」発達三つの柱「知識・技能・思考力・判断力・表現力・非認知能力」を基本にして一つでいいので身につけるための援助を工夫してください。

 

この演習から縄跳びを跳ばせればいいという保育から「障がい児にはそれなりの発達する力があることを見つけ、その力を自覚させ、自信を持たせ、親にも資質と能力があることを伝え、親子に一つでいいから能力があることを信じて生きていってほしいという願いをもって保育したいものです。そのためには非認知能力の中で我慢、挑戦、思いやり、プライドを見つける保育者でいたいものです。」

 

  • 障害児保育の環境 ウサギのヘリコプターを体験します。

筋ジストロフィーの子どもから「ねらい」を考えます。ウサギのヘリコプターでの体験として落としたい、しかし、うまく落ちない、その時の障がい児への環境の再構成を工夫します。上手に落とせばいいでなく、様々な障がいがあっても『ウサギのヘリコプター』を落ちた喜び、そして落としたいという意欲を味合わせるのが発達の方向性を持った『ねらい』ということを教わります。

 

保育者の思い上がりを点検・評価すると障がい児にヘリコプターを落とせばいいという保育者の思い上がり・やってあげればいい・できるようにさせればいいという保育ではありません。

筋ジストロフィーの立つことができない子どもが自分もウサギのヘリコプターを落としたいと要求してきました。そこで周囲にいる子どもたちが大きな厚紙で作ったヘリコプターを抱いて持たせて落としました。その子は持った時にけらけらと大声で笑って落としました。その子は頭にはヘッドプロテクターを付けていました。そこで教えられたことがありました。保育者の傲慢さです。

 

障がい児への教材は、大人の都合で作るのではない。子どもの眼・耳・手・足になろうという心がないと発達を見つけ・保障する保育に結び付かないことです。

演習11 ウサギのヘリコプターの大きい形を作り落とす。

小さい形のウサギのヘリコプターを作り落とす。

何故ここで小さいヘリコプターが重要か、障がい児の眼・手になりましたか。

 

障がい児への教材は障がい児に合わせることです。そして、困らせ上手で自我能力を身につけるためです。障がい児への環境の再構成を配慮が大切となります。

障がい児へのふさわしい物的環境・人的環境・温かい愛のある雰囲気です。特に、教材研究を多くの人の立場から取り入れる配慮が園で求められます。

 

筋ジストロフィーの子どもが保育室にて、「外見たい」というので窓のところに連れて行った。窓開けてというので開けると3メートルほど先のところに茶色に白いところを持ちきれいな羽根を付けた小さな鳥が竹の棒の先に止まっていた。それを見つけて二人で「わあ、かわいい、きれい」と言って大騒ぎをした。しかし。小鳥は逃げないであっちを見たり、こっちを見たりしていた。S子は「とって・とって・・」と私に言う。その時この子は顎を窓にかけて立っているではないか。それも20秒‥30秒である。顎を窓に支えながらではあるが「S子ちゃん立っているじゃない、すごいぞ」私も後ろから落ちないように30センチほど離れて励ました。小鳥をとりたい、触りたいと自分の意思で立っている状態を見て大変驚いたのであった。

この場面から「立たせようという保育から、立ちたくなる環境を工夫することで立てた喜び、そして、もっと立っていたいという意欲に結び付くのではないかという保育を教えられたのでありました。」

ねらい「心情・意欲・態度」を考える中で立った喜び、もっと立ちたい、工夫する態度を味合わせるには環境を工夫することも大事ということを教えられた茶色のかわいい小鳥は私にとって一生の宝物の一つでした。

 

 

演習 12 しろい紙を与えられて、「好きな絵を上手に描いて」と言われ

たらどうしますか。 共感の在り方を体験します。

白い紙に好きな絵を上手に描いてと言われてすぐに描けません。

その時、どのような援助をしますか。

 

好きな絵描いた後、「隣同士ほめあってください。」

 

言い方の変更として「好きな絵」から「大好きな果物一つ描いてみて」と言われて

イメージがわきます。好きな果物描いた後「わあ、上手は、誉め言葉でない」具体的に

心に届く誉め言葉を使ってみてください。

 

教材の再構成 紙の大きさ・失敗してもいい紙・

次に環境の再構成をどのようにしたらいいと思いますか。障がい児の主語になったら様々な発達の保障が見えてきます。

 

事例1 悲しみを乗り越えて『園長先生の手紙より』

「先生にも話しましたが、私自身第一子女の子を保育園で亡くしました。職員が灯油を入れた食器を放置していましたので、知らずに飲んでしまったのです。その日は、入園式の準備で他の子は登園していませんでした。1歳3ケ月で言葉が出始めてかわいい時でした。私自身毎日血を吐くような悲しみで、その職員には声を出しては言わなかったけれど『私の子を返して』『私の子を返して』と毎日泣いていたことを思い出します。さらに、園を新築した後、当園にて突然死で子どもがなくなりました。どうして私ばかりこんなことに出会わなければいけないかと、立ち直れない状態でした。『わが子を返して』私の心がどれだけいたんだかわかりますか、そのような出来事に出会い、本当のやさしさとはなにかと考えさせられました。その分、優しくなれよと教えられた様な気がいたしました。今の私に感謝することをわすれてしまうとただの『人間豚』だと思っています。みんなに支えられて今の私があり自分で物事を切り開いていく力をいただきました。悲しい思いが私にとって生きることの意味を教えてくださったのだと不幸を幸せに思えるようになりました。これからも様々な出来事に出会うであろうと思います。私はこの仕事についてよかった「保育者としての仕事」この仕事に誇りをもっていきたいとおもっています。どうぞ心の素敵な保育者を一人でも育ててください」

 

  • 指導計画 記録 評価

障がい児のねらいと内容について。

障がい児の資質と能力「三つの柱」1 知識・技能 2 思考力・判断力・表現力 3 非認知能力「知能テストでは測ることができない挑戦・我慢して最後までやり遂げる力・思いやり・自尊心」を他の子どもたちと同様に卒園までに少しでも身につける教育、そして高校卒業まで続くことを先生も保護者も理解して触れ合うことです。特に、非認知能力について温かい保育を通して障がい児が一生、生きる力の中で身につけさせたいものです。

 

養護のねらいの言葉として記入します。保育場面において障がい児が安定した生活と充実した活動ができるために保育者が行う「…図る。…する」

養護の内容「障がい児に・・適切に対応する・障がい児の〇〇を把握する・障がい児の△△を調節する・障がい児を◇◇で過ごせるようにする」など障がい児の状況に応じて保育者が適切に行うべき事項を記入します。

 

障がい児教育のねらいの言葉「障がい児が…楽しむ・味わう・広める・深める・感じる・しようとする」発達の方向性で上手でなくていい言葉を使用します。卒園までに少しでも身につくような劣等感を与えない愛のある温かい保育が求められます。

内容の言葉「障がい児が〇〇を守る・知る・見る・聴く・触る・そばにいる・においを嗅ぐ・手をつなぐ・味を知る・もとに戻す」等指導したい言葉を使用します。

 

子どもに「ごめんね」というとき

ある保育所の園長先生から手紙をいただき大変反省する文面と思い紹介します。短大の二年生が保育所で実習した後、反省会で園長として『一人一人を大切にしましたか、充実して遊べていましたか、子どもたちの気分はどうでしたか、満足にできましたか』といったことを話しはじめた所学生が泣きだされ、どうしたのかと尋ねても涙が止まらない状態になってその日の反省会は終わってしまいました。そして、学生が書いた反省文を読んで涙の理由がわかると同時に園長としての傲慢さを反省しました。その反省文には『実習ではみられているという緊張、忙しさ、全員を見なければならないこと、計画どおりにやらなくてはという焦りでいっぱいでしたが、運よくケンカも少なく、けがもなく、表面的にはスムーズに進められたと思っていたので、反省会でどうだったか気付かされた時、上手に『先生』をやることばかり考え、全体を動かすことばかり気にして、今日の一人一人の子どもの気持ち、状態をくみ取るという一番大切なことを怠っていたことにも気づかなかった自分が情けなかったし、何より、子どもたちに『ごめんね』という気持ちでいっぱいで涙が出てきました。二度とこんな失敗はしたくないと・・』

このような文の中で『何より子どもたちにごめんね』という気持ちでいっぱいで涙がという個所から、私たち保育を十分経験している者が反省すべきことに気付き恥ずかしくなりました。経験から子どもを動かすことに慣れ、それを一つの技術と思い込んでいる傲慢さを反省しました。

子どもの思いを大切に一人一人に丁寧にかかわることを十分周知していながら一日の保育を振り返ったとき、子どもたちに『ごめんね』といえるような評価・反省しているだろうか。忙しい忙しいという言葉で逃げているような気がします。実習生でこのようなことに気付けることに感心し、また、気付かせてくれたことに感謝し一言書かせていただきました。今までの保育の在り方を反省する園長先生からの手紙です。

 

 

環境構成 物的・人的・温かい愛のある雰囲気

エアコン・ストーブを付けて部屋を暖めておく。笑顔で元気に挨拶する先生や友達の姿を見せ温かい雰囲気を作る。

 

障がい児の予想される活動は一生恨まれないために重要です。

例、ほうきの柄が眼に突き刺さりつぶれた

 

・みんな片づけてと言われて、指がつぶれた。

 

保育科の学生「十八歳」のレポートより「私の右足には直径7-8センチぐらいの傷があります。この傷は、私が保育園の時車に引かれたものです散歩の帰りに園の眼の前で・・・。当時の痛みとかは忘れてしまったけれど、あの時の光景は今でもうっすらと記憶に残っています。だんだん成長するにつれて傷も大きくなっていき、先生を恨むという気持ちは全くないのですが、この傷がなければ・・・とよく思います。子どもというのは大人の想像以上の行動をします。一歩違えれば命にかかわることもあります。私は十分すぎる環境づくりと援助をしていきたいと思います」このような十八歳になっても保育園の時の傷が深く残っている学生の気持ちを保育者として反省しなければならないと思います。そして、どうしてこのような保育になったかということは、次のレポートから教えられました。それは「前回のレポートで先生はご存じかと思いますが、私は、他にも園の傘立てから落ちて額を縫ったり鉄棒から頭から落ちたり、転んで粘土ケースで鼻を切ったり散々です。「この時、すべて先生はいませんでした。」私がおてんばだから仕方ないと言えばそれまでですが、そうなることが予測されない幼児だから保育者は必要なのだと思います。しかし、これだけのチョットした傷なら笑って「私のことだよ」といえますが、あの交通事故の話は「私のことだよ」と笑って言うことはできません。チョットした傷は友達とも冗談で終わりますが、足の傷は真剣にかわいそうと思われたり、同情されるからです。物心つく前に作った傷は、はっきり言って生まれ持ってついたようなものです、、、。私の右足の傷・・・。

このようなレポートから、この子の日常の行動を見ていたら散歩に行ったときにどのような行動をするか予想ができるはずです。しかし、すべて先生は見ていませんでした。一人一人の子どもの行動を見ていなければ「予想される行動」は予想できず、一生恨まれる保育になってしまうということを肝に銘じて保育しなければなりません。

 

演習13 紐が置いてあります。「どのようにかかわるかを予想してください」

 

障がい児への援助の立案と実践、障がいの程度と種類、そして個人差を考慮することになります。立案は「笑顔で〇〇する。手をつなぐだけでいいよ。見ているだけでいいよ。失敗してもいいよ。優しく言葉をかける。目線を合わせ笑顔で〇〇ちゃんおはようと元気に挨拶する。元気よく言えて気持ちイイねと笑顔で認め、ほめる。おうちの人と一緒で嬉しいねと受け入れ、共感する。お店やさんの途中でトイレに行きたくなっちゃうと困るから今行こうねと声をかけ、優しく見守る」

子どもがすぐに答えられないとき、また、絵がさっと描けないとき、「今、考えているのだね。」と愛する言葉で発達援助の宝ものを気づくことです。

立案には「笑顔で〇〇する」という記入があれば障がいの子どもたちが愛されている・認められている・受け入れられているといった感覚になり保育室で安心して発達する場が与えられます。ねらいの発達の方向性を障がい児は求めています。何故ならばすぐに結果を出すことが苦手な子どもたちで5 年先10年先に花開く子どもたちとしんじた援助をしたいものです。

保育園の時は折り紙だけしかできなくて絵は形にならなかった子どもが、高校生になって素晴らしい彫刻が認められる子がいます。この子のように〇〇と決めつけない幼児期にしたいものです。

 

加配との連携について、できないことを加配の先生に頼むだけでなくリーダーとしてねらいの体験している場を協力して見つけ共感、また保護者に入園から今まで伸びたことを記録して伝えて、信頼関係を確立するために加配と連携が大事になります。

発達の方向性は相手の保育観と発達援助の在り方を共有するまで話さないとプロにはなれません。リーダーは補助の保育者にできない箇所だけを手伝ってもらう時、ねらいの中で楽しむ・味わっている、広めている、深めているという発達の方向性を見つけて、共感してもらうことも大切です。悪い箇所ばかりを見つけて治そうとしないことです。治そうとするモデルが他の子どもたちに模倣となりクラスの中で叱ること、注意ばかりしていると、悪い雰囲気に結び付きそこのクラスから障がい児は逃げ出したくなります。

リーダーと加配の先生は障がい児の発達している箇所を見つけ、連携してほめ、安心できる雰囲気を作ることです。保護者には丁寧に入園したときに比較すると、三つの柱の知識・技能だけでなく新しい発見をしている場、違いを見つけている判断力、障がい児なりに表現を見つけて伝えることが、加配の保育者と連携して温かい雰囲気を伝えることで信頼してもらえます。特に、我慢して最後までやり遂げる知能テストでは測ることができない能力、さらには友達に「思いやり」の大切さを味合わせている障がい児保育を保護者や他のクラスにも伝えたいものです。

 

  • 家庭及び関係機関の連携

無理解な保護者への対応

事実と意見を分けて具体的に発達を伝える。感想文や日記では通じない。入園してから具体的に五領域で分析して伝えること。入園当初を必ず事実のみつたえる努力をして数か月したら発達していることを具体的に伝える時間を持つこと。わが子を否定する親に対して自分の子どものいいところを10か所言ってみてくださいと「いいところ」を言ってもらいます。言えない親はわが子をよく見ていません。受け入れてない保護者に対して保育の中で「よく見ていますよ」「このように受け入れていますよ」という姿勢を示すことです。そして、家庭でも保育室のように温かい雰囲気を気づかせてくださいと伝えることで障がい児保育の必要さを理解してもらいます。

 

演習14 相手のノートにいいところを10か所書きます。

ここで隣の人のノート交換してこの三日間の中でいいところを見たと思います。相手のノートにいいところ10か所記入してください。

書き終わったらお互いがいいところを紹介しあってください。すると、その時ホールの中には笑顔が湧きます。大声が出てきます。体を触る場合も出てきます。悪い箇所を言うのでなく受け入れられている、認められている、褒められることで温かい愛のある雰囲気が出てきます。この温かい雰囲気を味わってください。この雰囲気を障がい児保育に取り入れるのが今回の研修効果です。

 

演習15 面接について 先生役と母親役への対応・二人一組になって面談のポイント

椅子を準備します。 1二人の距離感 2 相手のどこをみますか。3 怖い冷たい表情 4 笑顔 5 足を組んで・腕組みして威張った態度 6 方向 7 心を込めて・特別な関心をもって聴こうとしていますよ

人を育てる・一緒に高まるのが今回の研修です。

 

私の体験として、父親が生き続けることはもう長くないと宣告を受けていました。見舞いに行った最後のころ、父親が『お前だけだな、飲めるだけでいいよといってくれるのは・ありがとう』という言葉が出ていました。多くの見舞いに来る人は「頑張って栄養ドリンクをもっと飲んで・生きていて」という中でした。次の日病院から危篤ですというので二時間かけて病室に行くと15分後にピーピーと心電図は止まり、あ、待っててくれたなという場面になり、最後の言葉が印象的でした。

ある本の中で、病院の看護師と患者のやり取りで『看護師さん、私もうダメと違いますか」Aという患者が言ったとすると『Aさん、何言ってるのそんな弱音を吐いちゃだめよ。もっと頑張らないと」という励ましをします。この言葉は(安易な励まし)に結びつきます。患者は自分の寿命を感じて、弱音を吐きたいという気持ち、弱音を吐かして欲しいという気持ちです。そのような時に(そんな事言ってはダメ、もっとガンバラなくては)これでは患者は何も言えなくなってしまいます。患者は最後の交わりを求めています。 患者が弱音を吐きたいときに励まされるほど「やるせない」ということです。

「もっとがんばって生きて」より「今までがんばっているね」という言葉を患者は得ることでお見舞いの人と心の交わりを求めていることを理解した態度ができます。

患者の言葉には心から耳を傾けて、特別な関心をもってという気持ちが大切で(あなた死ぬ人、私もやがては死ぬ人)という人間的な関係として大切といえます。障がい児の恐れ、不安・孤独・悩みに同じようになることはできなくても、その子の言葉や心に耳を傾けて気持ちを分かろうとする努力が障がい児保育には必要といえます。

 

聴き上手とは

1こどもの話す内容を聴こうとしない態度2こどもがお母さん…だよ」というとそうでないでしょう〇〇でしょうと自分のデータだけを使い子どもが説明する時間を与えない。・3こどもは自分と同じ考えと思い込む態度。4子どもが話しているのにうわの空。5自分の聴きたいことしか聞かない態度のお母さん。6子どもが自分の考えを言う時間を与えないで自分のことばかり話して独占するお母さん。7子どもに聞き取れない早口や小さい声、はっきりしない発音。8子どもの心を受け入れないでこどもより自分はなんでも知っている、優れていることを示さなければならないと思っているお母さん。

このように聴き上手になるためにはしてはならない態度を注意したいものです。

 

親に言葉ノート作成させることの重要さ。しゃべらせることにとらわれた指導でなく、子どもがしゃべることができた喜びを受け入れ・認めることで自分には言葉を話す能力があることを自覚します。そして母親はこんなにも話す言葉があったと確認することで子どもが大きくなったことで嬉しくなります。そしてさらにもっと聞きたいとなり、聞いてくれるお母さんができて笑顔があふれて温かい雰囲気が親子に生じてかかわりが増えることで聞いてくれるお母さんとなり言葉が増える図式に結び付きます。

 

障がい児がいじめられた時、犯人捜しをしていませんか。

地域を含めた愛のある雰囲気を作る努力をしませんか。いじめが社会の中で様々見られます。保育園・こども園・・幼稚園・学校・地域において子どもたちの勘違い・思い違いによる言動から始まることがあります。友達に無視された、悪口言われた・〇〇症といわれ、正しい情報を得ないで見て見ぬふりをしている先生や傍観の大人の問題もあります。いじめが発覚して慌てて犯人捜しをしたり、いじめの知識を身に着けるための話し合いをして家庭とクラスで犯人捜しの指導している場合が見られ子ども不在の時間が見られます。いじめ対策の一つとして(やめて・その場から離れて・助けを求めて」といった消極的な話し合いを指導している場面もあります。クラスの中や家庭で親や先生にいえる子はいいが、障がいのある子の自分を出せない子の対応には的確とは言えません。

いじめをしているこどもいじめを受けている子どもの周囲にいる傍観の子どもたちをどのように温かく対応するかが親も先生も重要です。見て見ぬふりをさせる教育・かかわらないふれあいでなく、いじめを少しでもしないためのクラス・学校・家庭・地域の取り組みが重要といえます。犯人捜しをする前に、他人の悪い箇所や欠点を見つけて批判する家族でなく、保育園のいいとこ、学校のいいとこ、先生の素晴らしいとこ、友だちのいいとこ、障がい児のいいところを家族で話し合う温かい愛のある雰囲気を作ったらいかがでしようか。家庭の中でおかあさんのいいところ一つ言い合う日、お父さんと楽しかった遊びを言う日、クラスの先生のいいところいう日、友だちのいいところ一つ見つけて発表する日、地域のいいところどこか見つける日等温かい愛のある雰囲気を保育園と学校・家庭で作ることで、自分は認められている、受け入れられている、愛されている感覚になります。いじめを作らない地域が楽しい、学校が大好き、友だちと生きる喜びを与えられる日を作ることです。地域=街には温かい愛の雰囲気がいじめ対策には大切といえます。

 

「将来の夢」小学校六年 T

僕の姉には、障がいがあります。ダウン症です。姉は、上手には歩けないし走れません。声は出るけれど話せません。食事や着替えも一人ではできません。いつも誰かに助けてもらわないと何もできません。でも、姉は不思議な力を持っています。それはすっごくステキな笑顔でみんなをなごませる力です。姉は、どんな時でもニコニコ笑いながら僕の顔をのぞきこんできます。そんな姉を見ていると僕までなんだか笑えてきます。

僕の母はT市にできるDで働くことになりました。それで春休みにDに研修に行ったため、僕もついていきました。Dとは、どんな障がいがある子もない子も家族の人が安心して預けて仕事や用事がすむように子育てを支援するところです。僕はDの子と一緒に過ごしました。一緒にいる中で大変だなあと思うことがいくつもありました。例えば勝手にどこかへ行ってしまったり、人と接することが苦手で仲良くしたいのに叩いてしまったり、いやな事をいやといえずに大声で泣いたりしてパニックを起こしたりする子もいます。

僕も母が留守の時姉をみています。その時も言うことをきいてくれなくて、自分で降りられない階段に登ったりして大変だったことが何度もあります。だけど僕はDでみんなと一緒にいて楽しかったです。それはDにいる子が手をつないだ時やボールで遊んだ時に姉のようなステキな笑顔を見せたからです。そんな笑顔が日本中にもっともっとたくさんなるようにと四年生の時から僕には夢が見つかりました。それはプロ野球選手になることです。でもただのプロ野球選手ではありません。もちろん自分の好きな野球をやって仕事ができることが一番ですが、その野球でもらったお金でみんなの笑顔を増やしたいのです。例えば、元プロ野球の赤星選手が盗塁した数だけ車椅子を寄付していたように、僕も自分のよいところを活かしたプレーやバッテングした数だけ障がいのある人に寄付ができるプロ野球選手になりたいです。

母が勤めるDのように障がいのある人もない人もまたその家族の人も、みんなが笑顔になれる施設を作りたいです。また、思いが耐えられない人たちのために相手がその人のわかる道具を開発したり、そんな道具を寄付したりしたいです。

もう一つプロ野球選手になりたい理由があります。僕をサポートしてくれる父や母に恩返しをすることです。父は僕と同じで野球が大好きです。ぼくは野球好きの父が野球している姿を見て野球を好きになりました。今も父は僕が野球が上手になるように野球の本を買って基礎から教えてくれたり、バッテングセンターに連れて行ってくれたり、いつもどんなに疲れていてもトレーニングに付き合ってくれて世話をしてくれます。そんな父や母を笑顔にしたいです。この夢を胸に僕の周りの人や僕を支えてくれるみんなを笑顔に出来るようこれからも頑張っていきたいです。

 

「支えあう家族・姉としての願い」小学校六年

私の弟は自閉症です。皆さんは自閉症という言葉を聞いたことがありますか?

自閉症は生まれつき脳に障害があると言われています。名前を呼んでも振り向かなかったり、眼が合わなかったり、人との交渉が苦手です。そして、「おかしくないのに笑う」「石をいつまでも並べたりなどの不思議な遊びをする」「理由不明のかんしゃくを起す」などの特徴があります。千人に一・五人くらいの割合で生まれてくるそうです。自閉症の人は一人一人それぞれ症状が違っています。私の弟Hはしゃべれません。だから、自分の気持ちを他の人に伝えることができません。私は早くしゃべれるようになって欲しいとずっと思っていました。そんなある日、Hが「チャッチャッ」としゃべったのです。それはお茶が欲しいということでした。何歳のことだったとおもいますか? 小学一年生でした。みなさんは「えっ、初めてしゃべったのが小学一年生なの」と思うでしょうが家族は喜びでいっぱいでした。やっと自分の気持ちを伝える、しゃべることができたんだと、うれしくてたまりませんでした。Hは自分の思い通りにならないとき、パニックを起こすことがあります。父や母の手や足を強くつねったり噛みついたりするのです。その時父と母はどうしてパニックになったのか原因を考えてHの気持ちを言葉にします。「もう一人の弟Tの泣く声が嫌だったんだね」というように指でペケを作りHにみせるのです。それでHはおちつく事があります。Hの事で苦労している父と母の様子を見ていると、私は悲しくて、いつも泣いてしまうのです。

「なんでHは自閉症なの」「私にできることはないの」「なんで神様はHを自閉症にしたの」って不思議に思いながら、自然に涙があふれだしているのです。でも、時々思います。どうしてHが私の父と母に生まれてきたのだろうと…。それは父と母がHを大切に育ててくれるだろうと、神様が思ったからだと思います。

私がHのためにできること。それは、私は明るい性格なのでいつも笑顔でいるって、とても大切で楽しいことをHから学びました。私が笑顔でいれば、きっとHも笑顔でいることです。だってHが笑うと私の方までつられて笑ってしまうのです。笑顔でいれば、きっとH も笑顔でいられると思うようになりました。

トランポリンを跳んでいる時、プールやお風呂に入っている時、大好きな音楽を聴いている時のHの笑顔。お父さんは「Hの笑顔は素敵だね」ってよく言います。Hが笑うと、私たちみんな幸せな気持ちになります。Hの笑顔は私たちにとってかけがえのないもの、私たちが守らなければいけないものだと思いました。Hがいつも笑顔でいられるように、生活しやすいように工夫していきたいです。これからも家族が支えあい、笑顔がいっぱいでいられますように。

・・・それが私の願いです・・・

 

 

エドゥワード・セガン「フランス」知的障害教育の開拓者として有名な教育学者

彼の言葉の中で障がい児や保育をするにあたって影響を受けた箇所を紹介します。

 

彼らの視覚、聴覚、その他の感覚を発達させるのと同じく、彼らの愛情の感覚を発達させるには、新しい道具や新しい教師が必要なのでない。必要なのは彼らの感じる力にまで届かせてやることなのである。

この箇所から障がい児や保護者への愛のあるふれあいが大切という教育の原点を教わりました。今まで大学・幼児教育など続けられる源となり感謝して終わりにします。

 

参考文献 セガン著

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