保育の基本 62  保護者へのかかわり「聴き上手」について

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飯田和也「保育の基本」 バックナンバー

飯田和也の保育の基本として次のように出来ています。少しでも乳幼児の保育に役立てていただければ幸いです。

     保育の基本

 

1  保育の基本とは 「ねらいは子どもの姿からの立案ではない」

2  養護と教育の一体化

3  指導計画記入ポイントと要録記入 日案記入の基礎として新任や実習生指導に

4      ラポート「心理的融和感」を味あわせるには、レッテルを貼らず愛のある雰囲気

5       行事の捉え方と実践 入園式から卒園式までの事例

6       乳幼児との触れ合いと保護者への対応の基本

7   要録記入ポイント 主観を入れないで100字ぐらいで姿・支援・援助を

8   保育課程を基本に指導計画立案と実践

9   知的障害児理解と援助

10 愛されていると感じる雰囲気の立案と実践の重要さ 温かい雰囲気「ありがとう」

 

11 保育の記録とは「実習生への提言」5領域で姿・支援・変容を具体的に記入

12 自己点検・評価1 目標から援助まで、そして改善になること

13 自己点検・自己評価2 四月からどのような発達特性での援助したか

 

14 気になる子への保育実践1

15 自己点検・自己評価・改善への一考察 保育力が高まる改善か

16 養護と教育の一体化 1 養護の基本と内容の統一すること

17 環境構成「雰囲気の立案」により援助の立案が具体的となる

18 保護者支援について 子どもの発達を見つめ具体的に伝えること

19 自己点検・自己評価について2

20 気になる子への保育1

 

21 保護者支援の一考察 七夕・クリスマスなどの発表会を通して発達を親に伝える

22 子どもの発達を支える言葉かけとは 絵を描いた時のほめ方

23 保育所保育指針第二章 子どもの発達が何故保育には大切かの一考察

 

24 乳児保育の基本とは かわいいと笑顔・やさしくわかる言葉・ぬくもりなど

25 乳幼児保育の基本「保護者支援について」安易な励ましをしない・子ども授かった

26  o/1歳の指導計画と記入ポイント 保育課程をもとにねらいから

27 保育「0/1歳児」の点検・評価から改善 養護に包まれていたか

28 予想される活動の考え方と記入について 昭和の保育ではない

29   0/1歳児の指導計画立案の具体例 ねらい・内容・環境・予想・援助とは

30   生きる力を身につける環境構成と発達支援とは 困った体験を

 

31   筋ジストロフィーの子どもから教えられた「ねらい」

32   筋ジストロフィーの子どもから教えられる環境の再構成とは

 

33   自閉児の保育実践1  食事

34   自閉児の保育実践2 言葉とトイレ

35   自閉児の保育実践3 朝の会・こだわり・加配について 

 

36   記録はだらだら書かない偏りをなくす 発達の特性をとらえ具体的に記入

37   発達援助は発達を観察し相手に発達を気づかせ、共感する援助

38   発達変容を抑えた記録とは、第二章発達過程のおおむね○歳と五領域について

39   生きる力を身につける援助には共感が大切「わあ、上手は共感でない」

40   加はいについて 全員が共通の考えに結びつけるには

 

41   子どもの可能性を信じ、能力を見つける感性がプロ

42   相手の眼・耳・口・鼻・手・足になるとは、予想される活動の具体例を通して

 

43   保育実践と自己点検・評価・改善の視点「東北大地震と津波から養護と教育」

44   「頭いいね」でなく努力をほめる保育者・母親を育てる保育 参観日と懇談会

45   研修会講義内容1 点検・評価・改善への道筋 共通の保育観を持つために

46   M9.0午後246分地震発生 保育時間中

47   新任の保育者への指導について 具体的な実践を通して

48   幼保の一体化の基本1 養護の捉え方について「津波から教えられること」

49   幼保の一体化 保育課程と教育課程と指導計画の一考察 養護の書き方

50   幼保の一体化 機能の一体化について

 

51   心のケア 共に泣いてくれる人、一人いれば幸せ 「情緒の安定を図る実践」

 

52   保育の質を高めるため1 全職員が共通の保育観を持つ話し合う場と実践

53   保育の質を高める2  言葉で言い表すことができない喜怒哀楽心情を大切に

54   保育の質を高める3 保育観を共通にするための資料 指針の活かし方

55   保育の質を高める4 指導計画の立案・記入について

56   これからの幼保の一体化

57   保育の質を高める5 問いかけて「間」をとり、出来ないと悔しがり、そして助言をし「間」をとり、出来たら共感する 教育のひとつ見えない保育のため

58   保育の質を高める6  保育の内容は養護の内容と教育の内容を入れなければ津波のときの対応ができない

59   平成2年の保育指針より「命を守り、情緒の安定を図り、保健衛生的環境をつくり、生理的欲求を満たす」が養護である

 

60   保育日誌の記録の仕方とその活用

61   保育日誌とその活用2 具体的な事例

62   保護者へのかかわり『聴き上手』について

 

63   保育の質を高めるため 就学直前担当者研修1『身体的発達』

64   保育の質を高める 就学直前担当者 2 『知的発達』

65   保育の質を高める 就学直前担当者 3 『社会的・道徳的発達』

66   指導計画『週日案』と日誌について

 

67   保護者に望まれる保育士のあり方 1

68   保護者に望まれる保育士のあり方 2

69   指導計画に養護の立案がない場合、事故があると業務上過失致死罪で逮捕される場合がありますよ。

70   保育所・幼稚園・子ども園における幼児教育について 1

 

71   「自分には能力がある」と気づいた時、気づかされる時、自信・自立・意欲・確信となる研修会のあり方を探る

 

72   幼児教育について 2 五領域で捉え偏った支援でなく「生きる力」を育てる

73   幼児教育について『発表会』3 踊らせるだけでなく主体的な行動を身につける

74   幼児教育について『合奏』4 合奏を通して知的・身体的・道徳的発達を身につける

75   合奏における教育のあり方・援助について1 具体的な立案「健康と人間関係」

76   合奏における教育のあり方2 具体的な立案「環境・言葉・表現」

 

77   リーダーの条件と資質 基本1 理事長・園長

78   リーダーの条件と資質 基本2 主任として

79   リーダーの条件と資質 基本3 具体的な例

 

80   絵を描く場面より教育を考える

保育の基本 62  保護者へのかかわり「聴き上手」について

                         東海学園大学  飯田 和也

 

 最近保護者との関わり方で困難な事が見られます。今回は、保護者を大切にする態度として参考にしていただけれは゛幸いです。

 

 保育者として保護者へのかかわりの基本は、保護者が話したくなる気持ちをもち、言葉に言い表すことが出来ない喜怒哀楽「心情」を受け入れてくれたという時間の共有ができ、自分の考えや行動を再確認し、次への改善のきっかけを与えられたと感じることも大切になります。しかし、保育者として保護者に対して「してはならない態度」があります。次にいくつかまとめてみました。

 

  保護者の話す内容を聞こうとしない態度があります。保護者の話に対して『保護者の話しだから話す内容は程度が低い』と決め付けてしまい最初から聞いていないという態度があります。『○○先生、子どもの××のことで悩んでいます』と言う問いかけに対して『そんな簡単なことは自分に聞いてこなくても判るようなもの』という気持ちで答えてしまうと言葉の使い方が上から目線になり、保護者は次に相談したくないと言う気持ちに結びつきます。

 

  保護者が「先生、うちの子は言葉が話すようになって挨拶出来るので大丈夫でしようか」と言うと『お母さん、そうでないでしょう、話すことはできています。しかし、××と△△は出来ていません、又□□は少しです。・・は全くだめです。』このように保育の中で言葉について聞いている保護者に対して聞きたくないデータを使って保護者に説明する時間を与えないですぐと結論に結びつける態度により話したくないという気持ちを与える場合があります。

 

  保護者は自分と同じ考えと思い込む態度をする場合があります。この保護者は今まで付き合っていて同じような考えだから当然、保育のことを理解しているからしっかり聴く態度をしなくていいという考えで聞こうとしない場合があります。一見すると明るく、くよくよしない雰囲気を持っていて自分と同じような性格や考えだから『お母さんなら大丈夫・大丈夫、心配しなくていいですよ。私もそうだったから』と言う態度により『もうこの先生は本当に自分のこと判ってくれていなかった』と言う気持ちを与えることがあります。

 

  保護者が話しているのに周囲の音や子どもたちの動きに気をとられたり、チラチラと他を見たり、『上の空』で聞いて集中力の欠如している態度をする保育者がいます。面接している時・講習会や職員会議で時計をちらっと見る保育者は心ここにあらずという態度で保護者からは相談したくない保育者になります。

 

  保護者に対して「自分の聴きたいことしか聞かない態度」の保育者がいます。聴くときにゆとりがないために保護者にとっては、話したくない相手となります、様々なことをきいてもらう中で心を開くことが出来ます、しかし、この聴きたいことしかきこうとしない保育者は、自分のことしか頭にない人間的に魅力が少ない先生となり、話したい相手から外されます。その場だけでなく長い付き合いが出来る人間的なかかわることができる相手を保護者は求めています。

 

  保護者の考えをいう時間を与えないで、保育者の思いとか願い、意見ばかりを話して独占してしまう保育者の態度には聞く意欲がなくなり相談をしない相手になってしまいます。

このような保育者として保護者にしてはならない態度を注意したいものです。ではどのような態度が保護者にふさわしいかまとめました。

 

 

  相談を受ける時は、時間を○○分と決めて「あなたのために腰を落ち着けてじっくりと時間を割いて聞いていますよ」そして特別な関心を持っていますよという態度を示すことで相手は心を開くことが出来ます。

  立ったままでなく相手の視線に近い高さになり、椅子に座って遠すぎず近すぎない距離を保つことも大切になります。保育者は立ったまま、相手は座ったままでは覗き込まれている、上から目線で見られて緊張して話す意欲をなくしてしまいます

  眼を見て話すといわれますがまっすぐに眼だけ見るのでなく、時々眼の周囲にあるほほを見ることも大切になります。眼だけ見つめられることで緊張する場合となります。

  椅子に座った時に真正面で向き合うのでなく少し中心からずらせて斜めに座ることで、相手は少し安心して話を聴く雰囲気にもなります。

  相手の言葉にならない喜怒哀楽『心情』を理解しようとする心で『うなづいたり』『相槌をしたり』少しを取って沈黙の時も大切にすることで保護者は考えるが与えられます。せっかちな態度では心を開くことが出来ない場合も在ります。間は魔物を大切にしたいものです

  「お母さん頑張ってね、お母さんだから出来る」と言う安易な励ましをするのでなく『今、○○頑張っていますね』と相手の心情を共感し、共に泣くだけで相手は癒される場合もあります。

 

 

このような聴き上手な態度乳幼児の発達を見つける眼を持っていますよ、そして、発達を子どもに気づかせる大切さと発達をお母さんに具体的に伝えることを通して子どもを授かった喜びを一緒に味あわせたいという願いをもつことで保護者は心を開き、快い感覚となり先生と出会えてよかったという時間が共有できます。

大きな助言はできない時があるかも知れないが『共に泣くだけ』の時も大切にして一生のつながりとなる出会いに結びつけるのが保育者の生きがいのひとつと言えるのではないでしょうか。

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