研修資料 第4号 2歳児の公開保育から「子どもに約束をする言葉かけと保育者同士の連携の課題」

NO IMAGE

研修資料 第4号 2歳児の公開保育から「子どもに約束をする言葉かけと保育者同士の連携の課題」

研修資料 第4号 2歳児の公開保育から「子どもに約束をする言葉かけと保育者同士の連携の課題」

飯田 和也

 

二歳児の保育で子どもたちを静かに聞かせるために「壁ぺったんするよ」とい

う言葉をかけて22名が壁に背中をくっつけて座る保育場面が見られました。

この保育場面を二歳児の三つの柱「資質と能力」を発達で「どのように学ぶか」

を分析してアクティブラーニングに結び付けてみます。

・知識 背中を壁にぺったんと引っ付けて座って先生の話を聞く約束を知る。

技能 身体をぺったんと壁につけて座る身体的なこなし。

・思考力 ホールのぺったんとする壁がどこにあるか発見する力

判断力 友達が壁を見つけて座る場所で空いている場所を判断する力

表現力 自分なりにお尻から座ると座りやすい、背中を全部つけなくても

座る形をする力

非認知能力 挑戦=早く空いている場所を見つけ一番に挑戦する力

おもいやり=友達の座っているのを邪魔しない力

忍耐=先生の話を最後まで我慢して聞く力

このように生きる力を身につけて社会に出てからの生き抜く力の基本を

育てる幼児教育が求められます。三つの柱が小学校以上の生きる力「アクティ

ブラーニング」に結び付く教育の原点にもなります。二歳児にとっては将来生

きる力の基礎がこんなにもあるので見つけてね。気づかせてね、認めてね、自

信つけて生きる力を与えてください。そんな保育場面といえます。

さらに二歳児の発達を偏らないで点検・評価するのに五領域で捉えると

幅広い幼児教育に結び付きます。

健康    自分でけがをしないように転ばない、壁でぶつからないで座る。

人間関係  友達に座っているので順番を自分から守って座る。

環境    ホールと壁を理解して自分で座る

言葉    先生の話を聞いて理解する

表現    静かに聞いて座る

 

発達を偏らない点検・評価して主体的に生きる力の発達支援に結び付け

る幼児教育が小学校以上の教育の基礎になります。

そして、保育者は大きなけがをさせない環境構成とコロナやインフルエンザ

にかからないように始める前に消毒をしたり、保育室の空気を入れ替えたり

温度調節を大人がする養護を大切にします。

このような二歳児の養護と教育をここでかかわっている全員の保育者が把握した発達を共有して保育実践に臨みます。気になる子を含めた22名の発達を保障するため、五人の保育者の連携がここで問われます。

 

「壁ぺったんこ」という保育は多くの保育園・こども園・幼稚園で見られ

上にあげた発達している場があることを一人一人の保育者が三つの柱と

五領域を会得して共有していなければ二歳児の発達を保障することに結び

付きません。

静かに座らせればいい・座っていればいいというのではありません。しかし、五人の保育者は子どもたちが「壁ぺったんこ」して座っても全く言葉をかけることはありませんでした。連携が見られなく全員のこどもたちが座ったにも関わらず先生たちの発達支援の言葉がありませんでした。

 

問題点 上にあげた三つの柱と五領域で二歳児を観察すれば、二歳児ができた、やれた、守った、わかったという心「主体性」を鋭い感性で見つけて「共感」でき発達を促すはずです。できなかったということは前日なり当日の打ち合わせが三つの柱と五領域で共有することが丁寧でなかったということです。

このように複数の保育者が「誰かが言うだろう・自分が言わなくてもわかるだろう・全員のこどもたちが座ったので次の保育する準備すればいい・けがをしていないのでいい」と保育者がアクティブラーニング「自分で〇〇する主体的」でない参加しているだけという状態、消極的な保育と言わざるを得ません。これだけでは、こどもが不幸です。

 

改善=必ず養護「命を守り、情緒の安定を図る、五領域の健康でない」教育=発達・主体的な生きる力を身につけるため主体的な場を見つけ支援する保育の打ち合わせをする。その時三つの柱と五領域で点検することです。

リーダーは指示することにとらわれる場合は、補助の先生にできた子には〇〇先生、動けない子には××先生、転んだ場合には▽▽先生に連携を依頼する。 また、具体的な共感として「わあ、上手に座ったね」だけでなく友達に邪魔しなかったね。「友達を押さないで座ったね」「静かに聞いているようになったね」子どもたちは言わないが、守った、静かにした、我慢できたという資質と能力を身につけている場面を周囲から認め・受け入れ・愛されることで発達が保障されます。

困難を乗り切る力が身に付き、自信を持ち、我慢して最後までやり遂げ、愛されているから人の話を聞く態度が育ちます。壁ぺったんこは、座らせれば聞くだけでなく三つの柱と発達を偏らない五領域で見つけ、二歳児が将来の生きる力の基礎を身につけること。発達が学校教育につながっていると理解し深めたいものです。

 

飯田和也の「保育の基本」カテゴリの最新記事