あなたの見方が変わったら中学二年生から見た日本の幼児教育の現状

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あなたの見方が変わったら中学二年生から見た日本の幼児教育の現状

全国中学生人権作文・最優秀賞〈あなたの見方が変わったら〉鈴木悠比君

中学二年生から見た日本の幼児教育の現状

誠和幼稚園の卒園児で弟の障がいの子は年少組に在籍し担任と加配、そして看護師の資格をもった事務員等全員がかかわっているケースです。

   元名古屋柳城短大教授    統括園長 飯田 和也

 中日新聞に載り多くの人が泣きました。母親「短大の教え子・そして以前当園の教諭」と出会い涙でした。要約を次にします。

 僕の弟は、先天性食道閉鎖症・超低出生体重児で首に穴をあけ気管切開をして呼吸器をつけていた。手足にマヒがあって思うように動かすことが出来ない。

〈四月の入園は難しいかもしれない〉そう言われた昨年秋頃のこと。支援クラスがある園に入園できないかもしれない。

 僕の両親は、弟の入園をぎりぎりまで悩んでいた。それは医療ケアが必要な子らに対して積極的な受け入れがないことを知ったからだ。あきらめていた時、僕が通っていた幼稚園の先生から〈みんなでみなと君にとってよい方法を探していこう。みんなで支えながらやっていこう〉支援クラスのない園に入園できるなんて正直驚いた。受け入れてくれる場所があって本当に良かった。その後〈私たち職員も、子どもたちも、みなと君から学ばせてもらう事が沢山あると思う。みんなにとって本当に良い経験になるよ〉先生が入園を一押ししてくれる言葉をかけてくれた。母は先生たちの気持ちが嬉しくて涙が出たという。

 僕は、弟の事を一人の子として受け入れてくれた先生たちに本当に感謝している。今年の夏、弟は幼稚園の踊りの発表会に参加する事が出来た。弟は歩けないので、車輪つきの台におかれた椅子に座って登場した。皆と同じように踊れない身体だけど、椅子に座りながら両隣りの友だちにハグしてもらったり、踊りに合せて手拍子したりする弟はほんとうにうれしそうだった。生き生きした特別な顔をしていた。踊りが終わると、母の周りにいたお母さんたちが〈良かったね・よかったね〉と母の肩を叩いて、一緒に涙を流してくれた。あれだけ弟の入園を悩んだ両親が、弟を入園させてよかったと思えたのは、周りの人たちのお陰だと思う。

 今、園生活をたのしめている弟は、幸せだ。不便な事があっても、不幸ではないと思う。僕たち家族を幸せな気持ちにさせてくれるのは、弟が入園できるように考えて、一歩ふみだしてくれた先生たちのお陰だと思う。

 あなたの見方が変わったら、世の中の考え方がほんの少しでもかわったら・・、いつか障がいがあっても、みんなに居場所があって、だれもがやりたいことをできる社会になると思う。弟の入園のように、医療ケア児を受け入れるということは、命の事を考えると、とても勇気がいることだ。でも、家庭、園、病院、みんなが意見交換する場を作って、連携をとれるように〈つながりの輪〉を広げていけば、周りの子と同じようにしてあげられることがたくさんある。幸せな気持ちにさせてあげられる事もたくさんある。〈あなたの見方が変わったら・・。〉そう言えるように、僕はこれからも周りの人たちに、弟のことを伝えていきたい。僕よりもたくさん、たくさん、頑張っている大切な弟のことを・・。

 この新聞の記事を読んで泣きました。本当に弟を愛している兄である卒園児、そしてこのように困難に出会っている中で乗り切っている母親と父親の苦しく、つらい生き方と入園の時を思い出すと泣かなくなった・食べることが少しできるようになった、友達と手をつなぐようになった、友達が〇〇できたとほめてくれることがあった。先生のぬくもりが味わえるようになった。歌を聴けて笑顔が出るようになった、だれにでも手でタッチできるようになり少しずつみなと君から子どもたちも担任も担当者も新しい発見を教えられています。

 また、全職員が机の大きさを合わせるために様々な教材や形を判断したり、車いすをみなと君の身体に合わせようと工夫したり、歩行器を家庭から借りたり支援クラスではない温かい愛のある協力体制を作ることで全職員が保育の質が高まっていることを実感しています。少しでも親に子どもを授かってよかったと思ってもらえる保育が私の願いです。

 医療ケアが必要な子どもも支援クラスがない園で温かい愛のある雰囲気が生きる力を育んでいくことが出来ます。保育園における命を守ることと情緒の安定を図る養護は幼稚園では障がいの重い軽いにかかわらず必要です。

 園だけでは命を保障することは困難です。保護者とのこまめな連携と保育室には温かい愛があり見守り、みなとくん〇〇できたねと子どもが子どもをほめる保育です。みなと君は言葉がなく泣いていた入園のころ、必ず話せるようになりますよ、それは聞いてくれる友達と先生がいるから能力を信じてあげることです。今、お兄ちゃんのクラスと一緒になると「いつき・いつき」と大きな声で呼んで声が出るまでになり周囲は感激している日が続いています。

 幼稚園・保育園・こども園には笑顔とありがとうの飛び交う子どもと子どもの温かい雰囲気が保育室にはあります。診察室や治療の場は一対一が中心ですが保育室には友達の模倣があります。二歳からまねる力はできている中でにおいをかぐだけでいいよ、見ているだけでいいよ、そばにいるだけでいいよ、声を聴くだけでいいよ、多くのこと望まないでねという温かい発達支援で少しずつ資質と能力を身につけているみなと君です。

 中学二年生の兄の言葉のように、すべての大人に・子どもたちに〈あなたの見方が変わったら・・。〉大変教えられた新聞記事12月3日でした。

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