保育の基本102 フィリピンの小さな学校から異年齢保育の在り方を教えられた

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ドーナツクラブ 九月四日 プールと七・八・九月生まれの誕生会です

残暑お見舞い申し上げます。幼稚園も27日に二学期が始まりました。毎日プールで歓声が上がり元気な姿が見られます。

ドーナッツクラブもプールに入りたいと思います。また誕生会をしてパネルシアターを見て楽しむ会をします。暑い中ですが製作をしたり歌ったりして全年齢児が夏ならではの体験を通して思いでを作っていただければ幸いです。お待ちしています。

保育の基本102 フィリピンの小さな学校から異年齢保育の在り方を教えられた

                                  飯田 和也

 

 学校を見学すると朝の場面では、一人ひとりが同年齢だけでなく異年齢の友達や先生からも温かい笑顔あふれる挨拶をしていた。年中の子どもが転んだ場面では高学年の男の子がさっと近づいて「○○大丈夫」と声をかけて抱き上げていた、周囲には心配な顔と、ちょっと転んだなという雰囲気が満ち溢れていた。この幼稚園から中学生まで百数十人のキリスト教主義の小さな学校の行事を始めてみて考えさせられました。

 

最初にフィリピンの建国の歴史、そして住んでいる市の説明がビデオで映し出され、子どもの司会により国歌を全員が胸に手を当てて歌いました。この光景は、すべての行事が始まる前に必ず行われていました。

また、子どもが祈りをささげ職員も一緒にした後、発表会となりました。

 

女の子の司会により一番年下の子の歌と木琴・太鼓・鉄琴などの打楽器を中心にマイクを持って伝う姿が見られました。服装を見ると女の子は、スカートや刺繍の入った服とスカーフ、男の子は半ズボンに白いシャツでした。次に、年長の子どもたちは上が白いシャツ、下は赤色のスカートやズボンという衣装で着飾り鶏の動きをまねしたチッキンダンス、

そして、一年生から劇などで一人ひとりが台詞を言ったり、歌ったり、高学年は子どものギター伴奏で歌ったり、演技をしたり、中学生は全員が息のあったダンスを見せてくれました。

 

また、各教室では五歳児はゴルフのパターでのゲームをしていました。年上の子どもたちや親がパターゴルフを楽しむ姿がありまねをして四歳児もおもちゃのパターを振り回していました。また他の教室では、一人ひとりが作った品物や描かれた絵では自分の作品を他の子どもや親に説明し自慢する姿がみられたのも日本と同じでした。

また、五年生のクラスでは前日まで保護者には内緒でグループによるパイナップルジュースやシェークが造られ、サービスしている姿が見られ人気をよんでいました。先生の指導もなく生徒により工夫され主体的な活動として友達と積極的にかかわり社会的知識や先生に頼ることなく自分たちで考え工夫する知的発達、年下の子や体の不自由な子などを思いやる道徳的発達が様々な箇所に見られました。

学校の食堂では、保護者全員が持ち寄ったポークや鶏肉バーべキュー、焼いたお菓子やパン、チャーハン、フィリピンの各地のお菓子や名物などが出され、ジュースは二十円で売られ基金にしていました。子どもたちが主体となり保護者も協力し発表会を見たり、食べたり、楽しんでいる光景が見られました。地域全体で子育てをしている温かい雰囲気の環境がありました。

 

衣装や歌、踊りは日本の行事と変わりませんでしたが、国歌を歌う姿や祈りを通して感謝する態度から国を大切にすること、参加者全員が協力する姿が見られました。どこの国でもある「いじめ」について聞くと校長先生や担任が間に入り、解決するきっかけを与えているということでした。

 

少人数の学校ならでの対応が見られました。教育の中心は教え込んで記憶させるのでなく、自分でレポートを作成し創造力を培っている教育が見られました。すべての学校と言うのではありませんが異年齢保育や学校教育を考える上で参考となる見学でした。

 

 異年齢保育の原点である社会的発達や道徳的発達には温かい愛のある環境としての相手を受け入れ・認める雰囲気が重要と言う確認も出来ました。

 保育者として朝から笑顔の人的環境があり、養護に包まれて教育があるという基本も確認されました。朝登園した姿のまま命を守り、帰りには親に渡す原点がありました。

 異年齢集団では、年上、同年齢、年下とのかかわりにより人的環境としてのモデルがあり、良い見本も悪い見本も子ども同士のかかわりから生ずるために保育者は絶えず一人ひとりの個人差・家庭環境・育った地域・社会環境を考慮した指導計画の立案と実践をしなければならない事が重要といえます。

 休み時間や教師がいない時の子ども同士の関わりによって、身体的・知的・情緒的・社会的・道徳的発達を保障する保育者集団として温かい雰囲気の中で保育や知識を高める努力が求められるという事を再確認した次第です。

 特に、教え込むだけでなく保育指針第二章子どもの発達「自分で○○する」主体的な生き方ができるには関わりたくなる友だちとして同年齢だけでなく年上や年下の集団や調べたくなる事物、作りたくなる品物を計画的に準備することと言えます。

 

 保育者として問いかけして考えるをとり、失敗を共に悔しがり、そして、改めて助言をし考えるを取り、出来た時に一緒に具体的に喜んで共感する友だちや先生の集団が必要になります。この異年齢や保育者の温かい愛のある雰囲気により辛い時・悲しい事・嫌な事を乗り切る生きる力を身につける教育に結びつくには、国を大切にしたり、住んでいる地域を愛したり、周囲にいる人々を思いやる考えや共通にする態度が求められます。

 

私立では仏教やキリスト教など様々な宗教の祈り「心からの感謝や願いなど」を通して身につける教育があります。

公立では国や地域を大事にする理念と方針を明確にした園全体の計画と実践を共通にすることが重要になります。

異年齢集団の中で力関係や立場による違いにより喧嘩した時の悔しさ・苦しさ、人とかかわった時の喜び、できたときの満足感など言葉に言えない喜怒哀楽(心情)を共感してくれる先生や友だちが一人でもいる教育をすることが大切と言えます。

 

そして、子ども同士の中に自分で考え・工夫した時、共感されることで一つ自信を持つ場が与えられます。異年齢保育には多種多様に子どもたちが存在していることを把握した教育を実践しなければなりません。

年少児が自分で脱いだり・着たり・排泄したり、自分で食べたり片付けたり出来たときに異年齢の子どもたちが出来たことを当たり前と受け止めないで「認め・ほめる」ことで自信ができ自立となります。友達から認められ・愛されることでもっと自分からやりたいという意欲に結びつきます。この異年齢児からの援助を受けることにより「これでいいのだという」確信となり生きる喜びと生きる力が与えられます。

自分一人だけが生きていければいいという生き方でなく地域・社会・国を意識した幼児教育として、異年齢集団における関わりから人や地域を大切にする生き方を身につけることになります。

 

特に、異年齢のかかわりから胸に手を当てて国歌を真剣に歌う姿、発表会の始まりのときの熱心に祈る姿やサッカーゲームが終わったときに四歳児も五歳児もよそ見をしないで感謝して祈る姿がありました。年下の子が真剣に祈っていれば年上としてふざけることが出来ない、又、年下としてまじめに歌い、踊っている年上が人的環境として刺激となってルールを守り、まねる態度に結びつきます。

 

年上の子などの良い・悪いモデルを観察することで、身体的発達として危険な事や危険に近づかない、自分の体を守る生き方に結びつきます。また、知的発達として言葉遣い・言葉の使い方を聞くことで言葉が増えたりします。さらにかかわりたくなる刺激やかかわりたくない人から模倣する能力が育ち知的発達にも結びつきます。

出会いが複雑なことで様々な感動する心をもつことが異年齢集団には見られます。多種多様な友達とのかかわりから社会的発達として人とのかかわりからルールがあり、守る事、相手の立場を理解し道徳的発達のひとつ思いやる心を身につける教育が出来ます。

 

異年齢保育の計画と実践を深めるための参考事例になったフィリピンでの見学でした。

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