岐阜県中津川市 学校法人 緑ヶ丘学園 誠和幼稚園|誠和幼稚園ブログ

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立たせようとするのでなく立ちたいという意欲を与える

2011年1月10日 月曜日

 まだ立つことが出来ない子をなんとか立たせようという押し付ける働きかけでなく、自分から立ちたいと言う意欲を味わう場を作ることが重要ということを教えられました。それは、六歳の筋ジストロフィーの女の子との出会いからでした。筋ジストロフィーという病気のために立ちたくても立つことができない、歩くことも出来ない子どもでした。

 周囲の人々は何とか立たせようとしてマッサージに通ったり、 様々な努力をしても自分から立つことができない状態でした。そして時々会う機会が与えられことになり保育室でレストランごっこをしたり、車に乗ったつもりになるという自動車ごっこを して遊んでいる時でした。椅子に一緒に座り、膝の間に入って外を見ていると黄色い蝶が飛んできたときに、「あ、蝶ちょが飛んでいる」と言うと立てなかった女の子が自分から「蝶ちょ見たい」と言って、窓に身体を押し付けて必死になって立って蝶ちょを見ている姿が見られたのでした。

 この子は自分では立てないのに蝶ちょを見たいという意欲から自分で数秒間立っているという場面に出会い感動を覚えたのでした。また、次の出会いでは、同じく椅子に座って窓から見える山や畑や大きな木を見せていると、窓の下に小さなかわいらしい黄色い花が咲いていたのを私が見つけたとき「あ、黄色い花が咲いている」と言うと「見せて、見せて」とひじで必死に支えて窓枠につかまって見ようとする姿が見られました。この場でも女の子に対して、立たせようというのでなく「見たい」から立っているという場を保障することも大切と教えられました。

 さらに次の出会いでは、立つことが出来ないために床にごろごろと寝転がったり、座ってレストランごっこで遊んでいるとたまたま保育室の傍に、柿の木に真っ赤な実が一つ残っているのを見つけると女の子は「柿見たい」と言うので窓に近づき見ようとして窓を開けると、近くで茶色のきれいな小さな鳥が竹の棒の先端に止まっているのが見えました。この女の子でも手が届くような近くでピッピッと鳴いている姿を見つけると「捕って・捕って」と掴まえようとして窓枠に身体をぶっつけて一人で掴まり立って、「捕って・捕って」と手を出していました。

 この数秒間という間、女の子は茶色の可愛い鳥に対して手を出し、鳥を捕りたいために身体を全身で使い窓にしがみついて立っている姿を見ることが出来感動を味わったことがあります。このときも、この立つことも歩くことも出来ない女の子を立たせようということでなく、鳥を捕まえたいから必死に立っているという姿から押し付けるのでなく人間の持っている自分から○○したいという意欲・ 生きる力を気づかせることを子どもたちに気づかせることが重要と教えられたのでした。乳幼児に親として大事なことと思って触れ合う時、子どもの持っている無限の可能性を見つける眼をもつこと、そして、そのために子どもの眼や耳や口、手、足になれないが理解しようという心をもって触れ合う大切さをこの子から教えられました。

 しかし、この女の子は18歳近くになって出合ったときに、立つことも歩くことも出来ない状態で、母親にベビーカーに押されて会いに来たのでした。手を握り足に触ると骨は針金のように細く、身体はぐにゃぐにゃでおなかから半分に折れてしまうほど筋力が弱くなっていました。動くのは左手の指数本だけ「先生とパソコンを習ってやりとりしよう」 というと元気な明るい声で「先生頑張る」と言って別れました。その後母親から「イイダ先生に会いたい」と言って会いたがっていましたが体調を崩し亡くなりましたという報告があり、短い生涯の女の子でした。その時「生きる力」を教えられたこの子からの出会いを大切にした教育者になろうと思いました。



園長  飯田和也

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