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相手はそんなこと望んでいませんよ

2011年1月10日 月曜日

 保育所保育指針 第四章 指導計画作成の基本の中で「環境の構成」において環境構成には、子どもが環境にかかわりながら生じた偶発的な出来事を生かす側面とがあります。したがって、ある特定の活動を想定して大人主導で展開させるための環境ではなく、子どもの気づき、発想や工夫を大切にしながら、子どもと共に環境の再構成をしていくことが大切です。

 以上のように指針では、指導計画立案の時や保育実践をするに当たって、子どもの気付きや発想や工夫を大切にすることと明確に示されています。子どもの立場になれないが、相手に少しでも近づこうとする姿勢、そして、子どもの眼・耳・手・足になろうとすることで働きかける言葉や与える教材が変化していくことを六歳の女の子から教えられました。物を与えればいいという大人主導の態度だけでは相手に通じないこと、そして能力に合っていなければ合わせてあげる気持ちを持つことが大切と明示しています。乳幼児に対して、もっと頑張らないでどうするのと言う保育から、保育者の考えた物や教材、そして人や雰囲気が合っていなければ再度その乳幼児のために環境を見直し、能力に相応しいための環境に再構成することで生きる力が沸いてきます。相手の能力や気持ちに合わす事が子どもの意欲を出すには重要ということを与えられました。それは、筋ジストロフィーの女の子からでした。この子は転ぶと自分では身体を支えることができないため頭を保護する目的でヘッドプロテクターを着けていました。そのプロテクターには頭を保護するため鉛が入っていてとても重いものでした。立つことも歩くことも許されていないが何にでも挑戦しよう、頑張ってやりたいという生きる力を持っている子でした。

 ある日の保育室での出来事から今までの教育観を基から変える出来事に出会い心に残る場となりました。それは、それまで楽しいことを見せてあげれば喜ぶ、面白いことをしてあげれば嬉しいと思い込んでいる私でした。この考えが根本的に「貴方は間違っていますよ」『相手はそんなこと望んでいませんよ』ということを生涯持ち続ける大きなキッカケを与えられました。

 その日、保育室には白く厚い紙で子どもたちが作った「ウサギのヘリコプター」が置いてありました。それは子どもが手で持って落とすとくるくる回転してヘリコプターの二枚のプロペラの羽根のようで胴体にウサギの顔が描かれてウサギがくるくると回りながら落ちていく紙のおもちゃでした。ソレを見つけると『先生、見たい』と言うので一度落とすと、くるくる回るのを見て「自分もやりたい」と言うのでヘッドプロテクターを着けたまま抱き上げてウサギのヘリコプターを持たせるとウサギのヘリコプターは見事にくるくると回りながら落ちるのでした。『もう一回やりたい』というのでしっかりと抱いて持たせると嬉しそうににこにこと笑顔を私に見せるのでした。今度もゆっくりと抱いて持たせると同じようにくるくると回りながら落ち始めると『あっはは、あっはは』と楽しそうに笑うのでした。下までウサギのヘリコプターは回りながら落ちてぴたと停まると『もう、一回して』と言うので三回目も同じように抱いて持たせて落とすと『わっはっは・わっはっは』と大きな笑い声が響くのでした。

 しかし、そこには女の子が手からウサギのヘリコプターを落とすとヘリコプターのくるくると回るプロペラは全く見えていません。ヘッドプロテクターの重さのためにすぐに眼で追いかけることが出来ない女の子でした。私は、見せてあげれば喜ぶ、触ってもたせて落とせば楽しいと思い込んでいる自分の傲慢さ・「先生、先生といつも言われていると相手を見下して礼を欠く態度」思い上がり「つけあがること・うぬぼれる」の態度を持って子どもに接していることを気づかせられました。そこにはヘリコプターを落として楽しむことでなく、私に抱かれて肌と肌のぬくもりを与えられて楽しいから『もう一回して』という気持ちを見つけることが出来なかった今までの自分の教育観を見直すチャンスとなりました。そこで、改めてこの立てない子でも落として楽しめるウサギのヘリコプターとは何かを一生懸命考える場が与えられたのでした。立つことができない子が座っていても落として楽しめるヘリコプター、『そうだ、ソレは小さくて、軽くて持つことが出来る大きさ』ということを見つけている私でした。大きな厚い紙から小さくて・薄くて・軽い、この立てない子に相応しいもの「新聞紙」でした。この新聞紙のヘリコプターを立てない子に座らせて与えるとか細い指でそっと落とすとひらひらときれいに回り二人で『きれい』と歓声を上げて楽しむ場面ができるのでした。この小さくて軽くて周囲にいつもある環境を見つける眼と再構成の大切さをこの日から教えられたのでした。

 幼児期の教育で、乳幼児に対して多く教え・与えれば発達するという考えだけでは、一人ひとりの子どもの発達を保障することは出来ない。乳幼児の目線になって考えることの大切さを教えられたのでした。

 環境の構成は、目標をより具体的に設定したねらいや内容を乳幼児が経験できるように物的、人的、自然事象、ただの空間だけでなく愛のある雰囲気など総合的にとらえて環境を構成すること。しかし、乳幼児と共に環境の再構成をする眼を持つことが保育のプロとして重要であるということを教えてくれた六歳の女の子との触れ合いでした。



園長  飯田和也

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